The words of a song
Meow of kitten
 
 
 
 黒猫の瞳で
97/01/15制作
 
 
冷たい空気と風が吹く
死んだように静かな 暗い冬の街で
体をそこらに隠すけど
こんな寒い日だから 気休めにもならない僕
闇と同じ色した毛並み
光り目立つ二つの瞳
みんな怖がらないで 怖くなんかないから
 
雪の降る夜 独りっきりの 僕は黒猫
 
 
ガラスの窓からこぼれる灯
飼われ猫の姿が ちらりちらり見える
暖かな部屋で目を細め
おいしそうな食事を 当たり前に食べてる彼
雪のように綺麗な毛並み
気品のある二つの瞳
とても幸せな彼 今までもこれからも
 
そっと優しく 抱かれてみたい 僕は黒猫
 
 
 
 
 
 
操られし猫じゃらし
97/03/05制作
 
 
服の編み目にくるまれて
好きな方へ歩けない
エスカレーター 乗ってるみたい
 
ナルニアへの扉 あればいいなと
願うだけじゃ ダメだと教えてくれた
 
星のかけらのシャーベット
一口でも食べたなら
次の星夜を 待つのがつらい
 
五線紙に ト音記号と 音符を置こう
 
 
虹を彩る七色が
ケンカばかりしてるから
下界の人は 夜が恋しい
 
金魚鉢の中は 宇宙のように
神秘的で 見てると吸い込まれそう
 
これで…最後にしよう
 
 
 
 
 
 
恋猫心は難しい
97/04/17制作 ⇒Postface
 
 
真ん丸で 綺麗好きな君は
最近ちょっと変だね
心ここにあらず そんな雰囲気
 
お向かいの カーテン気にしてる
横目づかいで毎日
食事の時くらい 落ち着きなさい
 
「恋をしてるよ」 教えてあげても
絶対に認めない 素直じゃないから
 
「恋をしてるよ」 どうすればいいの?
ソワソワするだけで また明日が来る
これじゃロマンス 枯れて当然よ
 
 
夜の街 散歩中の君に
思いがけない機会を
授けて下さった アルテミス様
 
偶然に 視線が重なった
月の瞳に射られて
小さな体には 電気が走る
 
「恋が実るよ」 一瞬のチャンス
花束の用意すら 間に合わないほど
 
「恋が実るよ」 わかっているよね
キョロキョロするだけじゃ 無意味なんだって
早くしないと 逃げられちゃうかも
 
 
「恋をしてるよ」 お互いさまにね
オロオロとするだけの 可愛らしい君
次の言葉を ずっと待ってたの
 
 
 
 
 
 
ネコ科夜行性/ヒョウでもトラでもなくて
97/07/30制作
 
 
月が鮮やかになるほど
この細い眼は 冴えてしまうから
「まるで夜行性の猫ね」
口をそろえて みんなに言われる
 
バレてたんだ
知られたくない 最大の秘密を
 
今にヒゲが生えたりして
今に熱い物が苦手になったりして
まさかとは思うんだけどね
 
 
星の宴が始まると
外に出たくて 体がウズウズ
だけどガイシュツキンシレイ
部屋はさながら 牢獄みたいね
 
易しくない
その気になれる 本当の理由は
 
今に爪が伸びたりして
今に宙返りが得意になったりして
分の悪い賭け事だけどね
 
 
小判より ミルクの方が うれしいな
 
もしもヒゲが生えたりして
もしも熱い物が苦手になったりして
まさかとは思うんだけどね
 
もしも爪が伸びたりして
もしも宙返りが得意になったりして
分の悪い賭け事だけどね
 
 
 
 
 
 
一匹のセラピスト
97/08/26制作
 
 
退屈 しのぎに 僕の所へと
その時 あなたは 少し不機嫌で
愛玩猫の僕と
飼い主であるあなた
 
尻尾や 喉元 好きに撫でさせて
あくびを 見せたら それで満足げ
心理学者の僕と
クランケであるあなた
 
お皿いっぱいのキャットフード
クランケからの 最高の謝礼がこれ
 
 
普段は お互い 仲の良くはない
時には ケンカの 一歩手前まで
非社交的な僕と
気分屋であるあなた
 
それでも 僕らは 持ちつ持たれつで
そこそこ うまくは いける関係の
心理学者の僕と
クランケであるあなた
 
一人と一匹のプライベート
守りあうのが この部屋に住まうルール
 
 
虚しく なるのは 猫も人間も
死にたく なるのは 多分あなただけ
心理学者の僕と
クランケであるあなた
 
 
 
 
 
 
そんなこともあったりして 〜仮説猫族進化論
97/08/30制作
 
 
テリトリーの争いで 頭いっぱいの猫は
月の裏側のことなんて考えない
 
当たり前のお話しが 当たり前でなくなる日
人はどうやってこの星を支配するの?
 
(考えるのも莫迦らしい)
 
月にロケットを 飛ばしてまで知りたかった
そして知ったあと また新たなクエスチョンが
日々人々を進化させる
 
 
発情期の最中で 瞳がハートの猫は
きっと彼氏とか彼女とかいればいいの
 
夢のようなお話しが 夢のようでなくなる日
猫は猫のままこの星を支配できる?
 
(何が起こるかわからない)
 
いつか猫族が 大反乱始めるため
とある科学者が 開発した思考回路
すぐ猫たちを進化させる
 
 
(信じちゃうのも莫迦らしい)
 
 
 
 
 
 
ひっかき傷の愛撫
97/12/20制作
 
 
泣かないでよ こんなこと初めてだよ
泣かないでよ もしかして僕が悪いの?
(この思いが伝わればいいのに)
 
泣かないでよ そんな顔見せないでよ
泣かないでよ こっちまで泣きそになるよ
 
本当なら抱きしめてあげたい
けれどダメ…! 足の鋭いツメのせいで
 
白の肌を傷つけてしまうの
だから僕 君が抱きしめてくれるまで
…待ちぼうけ
 
 
泣かないでよ 右頬のえくぼ見せて
泣かないでよ 君のこと不安になるよ
(テレパシーが伝わればいのに)
 
泣かないでよ いつだって明るくいて!
泣かないでよ いつまでも困らせないで
 
どうしたって伝わらない思い
イヤになる 足の鋭いツメが邪魔で
 
隣にいる僕の温もりから
必要な 愛を全部満たしてほしい
…わかってね
 
 
本当なら抱きしめてあげたい
けれどダメ…! 足の鋭いツメのせいで
 
白の肌を傷つけてしまうの
だから僕 君が抱きしめてくれるまで
…待ちぼうけ
 
 
 
 
 
 
Miaow
98/02/18制作 ⇒Postface
 
 
無邪気に明るい 満月空
呼んでもいないのに (ここに) 帰ってくる
せっかく忘れた イヤな記憶
窓辺でたたずみ (あの日) モノローグを
 
こんな綺麗な夜だった
ゴミみたいに 捨てられたのは
 
 
愛され愛した ご主人様
ボクらを残して (月へ) 逃げていった
あれからずいぶん 経ったけれど
心の傷口 (ヒドク) 今も痛む
 
いくら鳴いても届かない
この声まで 忘れちゃったの?
 
 
涙がわりの流れ星
ボクのどこが いけなかったの?
 
(Miaow...)
 
 
 
 
 
 
丸まって眠るソファー
98/08/15制作 ⇒Postface
 
 
また朝が来たみたい
窓のカーテンが その境界線
拒否しても拒否しても
時間の流れは 止まってくれない
もうイヤになったよ
人間でいるのに
……そう
小さな躯に 大きな愛情
貰える 仔猫に させてくれません?
お澄まししてても 咎められないで
自由に 生きれる そんなのがいいよ
 
 
また夜が来たみたい
闇の優しさが 唯一の味方
心地よい静寂は
やがて訪れる 最後の日のよう
ゼイタクは言わない
幸せが恋しい
……ただ
優雅な仕草と 高貴な風格
備える 仔猫に 生まれ変わりたい
気ままに出掛けて 勝手に眠って
それでも 主人に 愛されるような
 
 
……そう
小さな躯に 大きな愛情
貰える 仔猫に させてくれません?
お澄まししてても 咎められないで
自由に 生きれる そんなのがいいよ
 
 
また朝は来るみたい
次に起きた時 仔猫でいるよう
丸まって寝ていよう
一番いい場所 フカフカのソファー
……うん
 
 
また 朝が 来た みたい
 
 
 
 
 
 
ミイのとっておきスウィーツLIFE
02/11/12制作 ⇒Postface
 
 
騒がしくて薄汚い都会の中
嘘と見栄で着飾った 女の子たちたくさん
そんな街で元仔猫のミイとしては
可愛さなら負けないよ! なんて叫ぶのであった

猫じゃらしを追う瞳も
今夜の獲物を 見つけだしたなら
獣の魔性で 色めき輝く
 
ママと別れたあの夜に 誓いをたてた
「アタシ絶対人間になる」
毎夜探した流れ星 叶えてくれた
だけど最近ちょっと後悔
 
猫の方がよっぽど 気貴く生きられるもの
 
 
無表情が溢れかえる交差点に
ダイエットに苦労する 女の子たちたくさん
そんな訳で甘いもの派のミイとしては
アタシだって痩せたいよ! なんて思うのであった
 
カツオブシを探す鼻は
どんどん衰え 使えなくなった
3時のおやつは ココアとエクレア
 
猫とサヨナラした時に おまじないした
「アタシはきっと幸せになる」
ママがでてくる夢見ても 甘えなかった
なのに今ではスネてばっかり
 
猫でいれば誰でも 可愛がってくれたのに
 
 
ミルク粥をなめる舌に
懐かしい気分 味わわせられる
待ちどうしかった 「ただいま」の声が
 
人とバイバイしたいから おまじないした
「アタシやっぱり仔猫でいいよ…」
こんなワガママないけれど 叶えてくれる?
だってそろそろ泣きそうだよう
 
猫の良さに今頃 気づいた莫迦なアタシも
 
 
朝日の差す通学路を散歩すれば
嬉しそうに指を指す 女の子たちたくさん
そんな日々に現仔猫のミイとしては
可愛さなら負けないよ♪ なんて澄ますのであった
 
 
 
 
 
 
鳴き真似しくしく
02/12/26制作
 
 
花の育てる色は あどけない壊れもの
ひらひら ひらひら 音なく散ってゆく
僕の演じる猫は 小汚い紛いもの
ぶるぶる ぶるぶる 小さく震えてる
 
瞼が腫れた君を慰めたいから
僕をかまって かまって下さい
夢まで追いかけても気づいてくれない
猫の鳴き真似 上手になったよ?
 
 
虹の彩る空は なけなしの光りもの
ふわふわ ふわふわ 優雅に浮かんでる
僕の偽る猫は 置き去りのなくしもの
そわそわ そわそわ 悲しく待ちぼうけ
 
鋭い爪はチョコでコーティングしたし
僕を守って 守ってお願い
甘えてじゃれついても無視してばっかり
猫の鳴き声 嫌いになったの?
 
 
君の愛する人は 大切な宝もの
きらきら きらきら 素敵な微笑みで
僕の操る猫は 嫌われの独りもの
しくしく しくしく 鳴かずに泣いている
 
 
 
 
 
 
このこネこのこ
03/04/22/制作
 
 
シッポないんだね ツメも短いし
ミミは顔の横にあるの?
何か珍しい 躯してるよね
あんまり可愛くないよね…あ、ゴメン
 
どうして…泣いちゃうのかな?
 
もしよかったら 貸してあげるよ シッポ
アタシのご自慢 フサフサのシッポ
なまめかしく揺らして歩けば
みんなの視線も 虜にしちゃうよ
 
 
ヒトミ小さいね ヒゲも見えないし
毛並みあるの頭だけ?
だから布巻いて 隠しているんだ
隠すほどイイ躯でも…あ、ゴメン
 
そろそろ…泣き疲れない?
 
しょうがないから 譲ったげるよ ヒトミ
アタシの象徴 グリーンのヒトミ
得意技の上目使いには
カタブツオトコも とろけてしまうよ
 
 
ところで…この子猫の子?
 
もし違ったら 試してみなよ コネコ
アタシとおんなじ ホンモノのコネコ
シッポつけてヒトミ色めけば
今より全然 可愛くなれるよ
 
そしたら涙も 自然に止まるよ
 
 
 
 
 
 
フォックステール
06/03/01/制作
 
 
鉄で象られた体躯の中 サラサラと
水銀の血を流す僕たちは
みんなで仲良く 狐の尻尾にじゃらされている
 
瞳にはめ込んだ琥珀玉の キラキラと
青銅の鉤爪を照準に
狙いを定めて 捕らえて放してまた逃げられる
 
遊び疲れたら 丸くなって もうおやすみ
タマも ミケも クロも
 
 
鋳型から生まれた体躯の中 カチカチと
歯車の音鳴らす僕たちは
みんなで一緒に お皿のオイルを美味しく舐める
 
尻尾の役割果たす鎖の ジャラジャラと
針金のヒゲ先をたるませて
毎日飽きずに おんなじ食事を欲しがっている
 
お腹いっぱいで 横になって もうおねんね
トラも ミイも シロも
 
 
遊んでは眠って 食べては眠って
数え切れない程 繰り返し過ごしたとある日
床に倒れたまま 動かなくなった
仲間が現れて 心から不思議に思った
これは一体 どう言う意味?
 
 
やがてその不思議は広まり出し バタバタと
ほんの数日後には僕だけが
みんなに残され いつしか最後の一匹になる
 
倒れて動かない仲間からは カチカチと
歯車の音消えていることは
わかっていたけど 気づけた時にはもう手遅れだった
 
命の証が 聞こえなくて もうお別れ
カレも キミも ボクも
 
 
誰も動かなくなった この部屋で
全自動猫じゃらし機だけが今も ゆらゆら
 
 
 
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