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──── Liner note
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Be influenced ──
 
アイテムと心模様。
読んだ本・聞いた音楽・エトセトラ。
 
 
 
●03/12/21
◆天高く、雲は流れ 14 (冴木忍・ライトノベル)
 
 10月の発売後にすぐに読み終えていたのですが、印象薄くて大した感想も思い浮かばず、ここに書くのは後回しにしてました。それで当然のように内容のほとんどを忘れてしまった、と言う惰性で買ってる人にはありがちな状況に。一生懸命思い出しながら書きます。
 13巻かけて広げて広げて広げ過ぎた大風呂敷をようやく畳み出した14巻では、遂に間引きまで始まった様子。必然性の無い死は普通なら怒りたくもなるところだけど、誰が誰なのか覚えてられないほど多いキャラクターの行動を、作者がまるで操れていなかったので英断だと思いました。それでいいのでしょうか。
 
●03/12/12
◆失はれる物語 (乙一・小説)
 
 文庫から短編の再収録と書きおろし中編のハードカバー。『Calling You』は細部が修正されており、詳しくは日記に。ただ、お互いの存在を確かめ合うやり取りの簡略化と、主人公が精一杯の勇気でおどけた際の相手のツッコミがカットされたのは、彼女の隠された明るさが滲み出た微笑ましい場面だっただけに、勿体無い感じ。あと『しあわせは子猫のかたち』が「小猫」になっているのは、改題か誤植か。
 書き下ろし作品は、いつもの作者らしい話。人の死が呼ぶミステリーに惹きつけられ、それを説き明かしていく仮定で何かしらの心の変化を得る人々。構成や設定に目新しいものはありませんけど、最後まで飽きさせないのがお見事です。不満だったのは、ある登場人物に物語が用意した結末に、少し空虚な気分にさせられたところ。そのキャラクターには随分と思い入れが出来ていたので、最後はもっと別の選択肢を選んで欲しかったです。とは言え、そう思わせるのこそ狙い通りなのでしょう。
 
●03/12/01
◆くつしたをかくせ! (乙一/羽住都・絵本)
 
 乙一の小説を手にしたのは、羽住都の表紙イラストに惹かれたのがきっかけ。そんなお二方の連名には心躍るものがあり、期待に胸膨らませて1ページ目をめくります。そして読み終えて、期待は見事なまでに裏切られていました。
 このお話には、展開もオチもありません。ただ「靴下をどこに隠してもプレゼントが届く」と言う思い尽きしか存在せず、物語として不成立な印象です。こんなに失望させられた主たる原因は、最後の一行にあります。例えば、これが「サンタを恐れていたはずの大人たちも、どこか嬉しげだった」や「贈りものは、お願いした通りだった」だったりしたら、深みが加えられたと思うんですけど。とても残念な作品でした。
 
●03/11/22
◆phony phonic (capsule・CD)
 
 天真爛漫さいっぱいだった前作と比べると、割とお淑やかな雰囲気になっていて、少し物足りなさは感じましたけど。音の鳴らし方、言葉の用い方、唄声の響かせ方、やっぱり好みです。作り手からの「このアルバムを買った人たちは、こーゆーのが好きでしょ」なんて問い掛けが聞こえてくる様。特に『idol fancy』は『プラスチックガール』の姉妹作風で、非常に良し。
 敢えて苦言を呈すれば、使っている形容詞や小道具が早くも被り過ぎなこと。違う曲でも前と似た歌詞・同じ歌詞が続く点は、言葉選びにもう少し工夫が欲しいところです。
 
●03/11/10
◆夏帽子 (長野まゆみ・小説)
 
 長野まゆみを読むのは数年振り。宮沢賢治風で緩やかに心浸れる素敵な異空間を描いたものか、はたまた少年同士の愛の営みをひたすら思うままに描いたものか、彼女の作品は両極端のものが目立つので要注意なのです。例えば『夏至南風』や『行ってみたいな、童話の国』なんて、予備知識を持たずに買うと大怪我すること請け合いでしょう。以上、出血多量経験者からの忠告でした。
 この『夏帽子』には幸いなことに後者の要素は一切無く、落ち着いて安心して読み進めます。先生が生徒たちに見せる幾つもの綺麗を読者に伝えるため、一つ一つの文章に深く思い込められた意味・状況・光景。こちらも丁寧に一つ一つ想像してゆくと、まるで物語の中に入ったような感覚を味わえます。物語に心を委ねる気持ち良さが、ほんのり体感出来る作品です。
 
●03/11/02
◆玻璃ノ薔薇 (五代ゆう・小説)
 
 興味の無いゲームのノベライズなので迷ったものの、表紙におけるTOKIO松岡のあまりに熱い視線に絆されて購入。物語は終始、主人公の記録したメモとして進められます。そのお蔭で余分な描写が極力省かれていて読みやすく、展開の魅力と意外さに引き込まれました。慎重に最高階まで築いていったトランプのタワーを、天辺で崩してしまうようなカタルシス。今までの著作と比べると、純粋な面白さで群を抜いてますね。
 ただ、メモ書きとするには無理がある文章量なので、読み手としては普通の一人称として処理した方が納得出来ると思います。あと少し気になったのが、最後の最後に挙げられる3つの言葉。現在において政治問題といて利用されている歴史の出来事を同列に並べてしまったのには、例え主人公の言葉≠作者の言葉だとしても、ちょっとした違和感がありました。最後に、しばし『瑠璃ノ薔薇』だと勘違いしていたことを懺悔します。
 
●03/10/26
◆HAPPYを攻略せよ (千秋・エッセイ)
 
 ファンでは全然ありませんが、年齢からは想像出来ないくらい見た目も心も可愛いままで、素振りや口調から頭の良さが伝わってくるところが嫌いではなかったり。不思議少女してる部分にも惹かれますが、実際に側にいたら困るかもしれません。
 このエッセイには題名の通り、彼女なりのハッピーが詰まってます。それは身の程をわきまえた、ほんのちっぽけなものばかり。そんな幸せを感じる価値観の置き場所が一緒だから、自然と好感を持ったのかもしれません。ただし如月さんは中日ファンなので、熱狂的阪神ファンのこの方とは相容れない運命なのです。
 
●03/10/22
◆6番目の世界 (福島聡・コミック)
 
 短編集。『空飛ぶアオイ』と変わらぬ好き勝手さのものから、淡々と静粛に語り尽くす作品まで。ヘンテコなのだけじゃなくてちゃんとしたのも描けるんだ、なんて失礼なこと思いました。アオイの印象、強すぎ。
 そんな感想を抱かせた『UFO』について。物語は物語として完璧であるほど合理的に纏め上げられ、想像の余地を必要としません。物語は物語として不完全であるほど理不尽さを残し、不可解な印象を与えます。どちらが現実世界に近しいかと言えば、後者。読者を納得させるほどの説得力を物語に用意しない作者の描き方は欠点ではなく、むしろリアリティを感じさせる長所として生きています。
 
●03/10/06
◆Greatest Hits+3 (よしもとよしとも・コミック)
 
 購入経緯は9月30日の日記に詳しく。おちゃらけだったラジオドラマ『東京防衛軍』のノリを期待して読んだ原作は、生真面目でびっくり。この本には第一部しか収録されていないので、まだ見ぬ第二部がおちゃらけなのかもしれません。
 他の収録作も4コマ以外は笑いの要素なくて。語り過ぎず、描き過ぎず、物語の行き先を読み手の感傷的な心に委ねたものが目立ちます。折り重なりつつ擦れ違う人間模様への答は、人それぞれの経験から導き出されることでしょう。
 
●03/09/05
◆鉄腕バーディー 2 (ゆうきまさみ・コミック)
 
 物語の展開はそんな急いでなくても、毎回何かしらの事件を起こしているところが、今までのゆったりとした作品と違う雰囲気。ダレ場なしで描かれているのはご本人が仰っていた通りです。そのせいで、高校生活をてんで落ち着いて過ごせないつとむが、気の毒に思えますけど。あと、街の背景や小物類の描写が非常に丁寧で、コマの隅から隅まで目を通したくなるのも珍しい。
 作中に登場する「室戸圭介.com」へ実際にジャンプしてしまったのは、私だけではありますまい。読者サービスに仕込んでくれていると信じ込んでおり、裏切られた気分でした。
 
●03/08/27
◆BLACKJACK 17 (手塚治虫・コミック)
 
 生誕30周年だそうで。古い作品は古さを差し引いて読まなければ色褪せてしまうものですが、新規ファンにも時代の差を意識させないのは手塚治虫の才能故なんでしょうね。例えば『機動警察パトレイバー』を今から読むと、携帯電話が無かったり記憶媒体がフロッピーディスクだったり、不自然さに目を瞑る必要があるのに。
 収録作で最良は、健気なピノコの奮闘を「わかってるさ…」の一言でブラックジャックが労う『台風一過』です。文庫版9巻の『目撃者』を抜いて最高のエピソードになりました。あとはちょっと無茶な設定が多くて、今まで収録が見送られてきた訳がわかるようなのが目立ちますが、余りものを一冊に纏めているのだから仕方ありません。
 
●03/08/19
◆苺ましまろ 2 (ばらスィー・コミック)
 
 帯のコピー「かわいいなあ、もう!」の発案者は普通過ぎ。捻りも面白みも全然無くて、1巻の「かわいいは、正義!」と比べたら失礼かも。「かわいいは、重罪!」とか「かわいいは、一本!」とか「かわいいは、切腹!」とか、他にも色々あるでしょうに。
 作者の筆が小慣れたせいか、ゆるゆるだった緩さが緩くなっています。それだけ内容が成熟した訳だけど、グダグダの退屈の中に溢れるほどトッピングした可愛さが本当に良かったので残念でしたが、ほんわかさせてくれるのは変わらずです。あと、新キャラの笹塚くんが可哀相で可哀相で、笑いが止まりません。
 
●03/08/16
◆ゆうきまさみのはてしない物語 地の巻 (ゆうきまさみ・エッセイ)
 
 93年〜98年連載分。どうやらこの時期の作者は、社会の不条理さに腹立たしい思いの様子。「おわびといいわけ」「はらだたしいぞニッポン」等で垣間見える苛立ちは、正義に目覚めたばかりの中学生みたいで初々しいです。恥ずかしいこと言ってるのに、照れがないよ照れが。
 エッセイでストレスを発散出来たからコミックでは肩の力が抜けて、いつでも誰でも安心して読める緩やかな作品に仕上がったのでしょうか。
 
●03/08/08
◆空飛ぶアオイ (福島聡・コミック)
 
 話に筋道なんて無く、キャラクターが好き勝手に動いて適当に展開させる、小劇団の舞台のようなノンストップ物語。今にも破綻しそうな社会の中をアオイ、ギリギリの線でしなやかに駆け巡ります。そして空を飛び回って、どのエピソードも地上に降り(墜ち)て終わってる点にくすり。滅茶苦茶なようで意外と考えられてるのかも。アオイの表情が柔らかくて、顔はあまり美人でなくても魅力的に見える点もいいですね。
 ちなみに、お勧めされて読みました。絵が可愛いとか題材がモラトリアムとかを想像してたら、どっちも全然違います。何でかなと考えて閃きました、もしかして「不思議少女好き」だから…?
 
●03/07/31
◆苺ましまろ 1 (ばらスィー・コミック)
 
 帯のコピー「かわいいは、正義!」の発案者は罪作り過ぎ。作者も内容も全然知らないのに、衝動買いさせられました。
 事件もイベントも無い普通の日常を、キャラクターの行動の可愛さだけで味付けしたコミック。登場人物が16歳+12歳×3人だけ、男の登場シーンが全体通して数コマしかない等、徹底した可愛さ至上主義にほんわか。いじられキャラが微笑ましい美羽に、妙に感情移入している自分が可笑しかったです。序盤は顔の作りが同じで、見分けが困難なのはご愛敬。
 
●03/07/18
◆鉄腕バーディー 1 (ゆうきまさみ・コミック)
 
 『週刊少年サンデー』の連載が打ち切りだったせいか、掲載誌を変えての新作。その上、長年放置されていた作品のリメイク版とくれば、ファンの心境もかなり追い詰められます。本当に大丈夫なんでしょうか。
 旧作にも久々に目を通してみたら、新作よりも面白くて困りました。展開に味があって主人公との距離が近く感じられますから、総書き直しではなくて印象的なエピソードはもっと使い回してくれたらいいのに。新作で取り分け良かったところは、105Pで父親をからかって「してやったり」風な姉貴の笑顔。満面にかーっとしていて、実に良いです。
 
●03/07/11
◆ZOO (乙一・小説)
 
 雑誌掲載分の短編集。各話ごと全然違う魅力が感じられて、最後まで飽きさせません。書きおろしから98年の作品まで、間隔が開いている点も好材料ですね。ライトもダークも様々な作風が揃い、入門用として勧めるのに便利そうな逸品です。
 収録作の中では『カザリとヨーコ』が1番のお気に入り。屈託のない女の子の清々しい描写が気持ち良いです。そんな主人公像のせいで痛々しい場面をコミカルに表現するから余計に悲しくさせられて、作者を卑怯に思うこと請け合い。他には『Closet』も好き。肝の部分は珍しいって不思議に思ってたんですよ、思ってたんですけど見事にまた。悔しい。
 
●03/07/02
◆撫子の華 (諫山実生・CD)
 
 昨夏のこと。NHK『みんなのうた』で見初めた曲があって、いつの間にかそのことを忘れていて、なぜか最近になって突然思い出して、無性に聞きたくなって、でも曲名もアーティスト名も知らなくて、唯一覚えてたサビの歌詞で検索して、この方の『恋花火』だとわかって。そんな長い道のりを経て出会えたアルバムです。
 未熟でも精一杯の想いを伝えようとする様子を、夏の光景と重ね合わせる歌詞がとっても良くて。White berry/JITTERIN'JINNの『夏祭り』に心揺れる人なら、きっと気に入るはず。こんな可愛いく微笑ましい恋愛が題材の作品が好きで、逆に生々しかったり性描写が伴ったりだと冷めてしまうのは、精神的にお子様な証でしょうか。
 
●03/06/27
◆GOTH (大岩ケンヂ・コミック)
 
 乙一の出世作『GOTH リストカット事件』のコミック版。今では人気者になられて嬉しい反面、ひっそり応援していた者としては少し淋しさを感じます。なんて言いつつ、ファンになったのは『失踪HOLIDAY』からなので、そんな大きい顔が出来る程でもないのは極秘です。
 不安の種だったトリックの表現方法はかなりあっさりで、全編通じて淡々としてるんですよね。こちらを先に読むと真相を知った時の衝撃が無くなってしまい、原作の楽しみが半減しそう。コミックをきっかけに原作を読む人ではなくて、原作を読んだ上でコミックで読み直したい人向けの作品。
 
●03/06/23
◆夢幻万華鏡2 ーうつろふ花蔭ー (冴木忍・ライトノベル)
 
 散々と文句言いつつも今のところ全作品購入中、冴木忍。今までの似非ファンタジー群の酷さと比べると、ライトノベルとして読める仕上がりです。登場人物に余計な個性を付けてていない点に好感で、主役は主役の扱いをして脇役は脇役の扱いをする、身分を弁えた描き方になっています。これが出来ていない時期の長かったこと。
 真相は当事者に語らせすぎだけど、読後感は清々しいから成功でしょう。舞台は日本、主役は男性、笑いは無し、短編。ファンタジーや長編に無理に走らず今作のような方向性の物語を目指せば、まだ彼女は大丈夫だと思うのですが。
 
●03/06/14
◆小悩みさん (小林光恵・エッセイ)
 
 小悩みとはいわばどうでもいい悩み、とのこと。悩みは当人にしかわからない深刻なものと相場が決まってますが、これは初っ端から「どうでもいい」と言い切っているので、臆する必要なく安心して筆者の神経質さをくすくす笑えます。
 でも意外とこれ、同じ悩みを真剣に持ってる人はたくさんいそう。両親の呼びかけ方、食事姿を見られるのが嫌、妙に気になる自分の息遣い、どれも心当たりある内容だったし。特にうつぶね寝用の枕の件には、元うつぶせ寝派としては思わず頷かされました。ちなみに如月さんの今の寝相は、体は右向いて顔は上向いて目にはアイピローを乗せてと、かなりアクロバティック。
 
●03/06/08
◆吹け、南の風3 [開戦への序曲] (秋山完・SF)
 
 寡作なのに残念なのが、初見の名称が出るとどんな場面でも長々と解説文を挿入する傾向が強くなってることで、一秒を争う状況で入れられる茶々には興醒めしてします。故に仕方無く斜め読みしましたが、その斜め読んだ隙間に伏線があったりするんですよね。特に今作は物語の進行に無関係な伏線が散りばめられており、少なからず読み逃がしていたようです。
 冷酷と融和が織りなす劇的なシナリオなのに、間延びした印象を持ったのは上記の理由だと思われます。この物語で描かれた出来事は少なく、600ページは多過ぎ。必要な文章のみで語られるマネーゲームの辺りは入り込んで読めた分、ぞんざいな部分が気になりました。
 
●03/05/31
◆晴明鬼伝 (五代ゆう・小説)
 
 彼女にしては珍しく、小説作法に気になる点が多々。語り口や解説文の基準が統一されていない、行いや心変わりに対して用意される動機と真相に説得力が欠けている、数人の重要人物が描き足らずで存在感と人物像が曖昧、カタカナ人名が浮いている、クライマックスの不必要性、等。あと読み解き間違いかもしれませんが、主人公の年齢に矛盾を感じました。
 なんて文句はたくさん出てくるものの、物語自体は面白かったです。振り仮名の欲しい漢字だらけ、文庫なのに分厚い、時代背景さっぱり、なのに先が気になって一気に読み終えましたから。次も期待してます。
 
●03/05/23
◆ブラック・ジャック『90.0%』の苦悩 (豊福きこう・文庫)
 
 去年の夏に初めて興味を持った新米手塚ファンも、こんなデータ本に手を出すまでに成長しました。本編も大方読み終えたところで、文庫化のタイミングもばっちり。
 データ主義で読み解かれた結果、内容は興味深いものからどうでもいいことまで盛り沢山。データ以外にも『おとずれた思い出』における、ピノコとピノコの姉とのやり取りが読めたのは嬉しい。一番感心したのはあとがきで、奥さんと知り合うきっかけが自分の本だなんて、作家冥利でしょう。
 
●03/05/16
◆トラペジスト (カヒミ・カリィ・CD)
 
 ようやく聞き出したので、遅ればせながら感想を。90年代後半頃からCDが出る度に唸ってしまうくらい方向性が違ってましたけど、ここ数作はイメージが固持されています。ここまで芸術指向・映像的表現を目指すなら、映画を撮る選択肢の方が妥当では。全体を通して聞くのが前提で「この一曲を聞きたい」と思わせないところも、短所だと感じますね。
 もし新規にファンになる方がいらっしゃれば。発売順に聞いていって、束縛を嫌う奔放な女の子が煙草の香りの似合う女性へと少しずつ変化してゆく様を追うと、年月と人の移り変わりを味わえて楽しいかもしれません。個人的にはこのアルバム、賛美歌を聞きに行ったらお経を読まれてしまった感じですけど…。
 
●03/05/11
◆花とアリス 特別篇 Filming H&A vol.1(DVD)
 
 久々にコンビニでお菓子を買おうとして、見掛けた品。キットカットにDVDとストラップ付で300円、ある意味100円ショップではありませんか。
 映像の感想を書きたいところですが、DVDプレーヤーもパソコンもPS2も持っていない如月さんは、残念ながらディスクを再生出来る環境にいません。Tommy february6のCDについてたのも、購入から1年以上経っても未だ見られずです。じゃあ何で買ったんだと自問すれば、恐るべしはキットカットの魔力かと。
 
●03/05/03
◆ゆうきまさみのはてしない物語 天の巻 (ゆうきまさみ・エッセイ)
 
 20年近く続いている雑誌上の連載を纏めた単行本の文庫化。雑誌も単行本もチェックしていないので、内容は非常に古くても新鮮な気持ちで読めました。年表が付いていたり、対談が収録されていたり、この手の盛り沢山な本は大好きです。楽しみをいっぱい詰め込んだ、おもちゃ箱みたいで。
 実写版『パトレイバー』のキャスト投票で、黒崎役の東山紀之と三田村邦彦が同票になっていますが、この2人は1990年だと同列に語られていたのでしょうか。今では信じられません。
 
●03/05/01
◆息子の唇 (内田春菊・小説)
 
 短編集。彼女の作品は「駄目な男にウンザリする女」の形式が多くて、読む側はいつも嫌な気持ちにさせられるんだけど。今作は珍しく、幸せの形を家族の括りで象った物語が少なからずありました。今まで否定の対象でしかなかったなかった男の描き方が異なるのは、作者自身の価値観が変わったせいなのでしょうか。
 『レース』の我が子に初めて可愛いと思った瞬間の描写は凄く印象的。『長い影』は似たような経験ありで自分の記憶を省みました。『才能のないやつは死んだほうがいい』の終わり方は、むしろ救いがあるのでは。
 
●03/04/22
◆天高く、雲は流れ 13 (冴木忍・ライトノベル)
 
 シリーズが始まったのが95年で、そろそろ終わってくれないかな…と呆れていたのが6〜7巻辺り。当時はまさか13巻まで続いて、しかも未だ完結していないとは思いもしませんでした。昔はこの人のファンサイトしてたんです、今では考えられませんけど。
 長い間だらだらしていた反動か、流石にそろそろクライマックスのようで。刊行ペースが悪いので話の流れも忘れているし、登場人物が多過ぎて誰が誰やらわからなくなっています。かと言って、最初から読み返すほどの作品でもないし、ここまで来たら完結は見届けたいしで、どうしましょう。
 
●03/04/02
◆スワロウテイル (岩井俊二・小説)
 
 猥雑で力強い世界に被せられる、あの歌声に魅せられて。この映画観たい!と思ったのが高校生の頃で、未だに観てなかったりするのは如月さんの悪い癖です。今更になりますが、とりあえず文庫で読んでみました。
 世界観にしろシナリオにしろ序盤から大風呂敷を広げているのに、伏線を終盤でちゃんと全部消化しちゃうところが物語として美しかったです。終息のさせ方も、何とも映画屋さんらしい。残念だったのはアゲハの存在意義が語り部以外にないことで、もっと率先してお話に加わってくれるとより良かったと思います。
 
●03/03/31
◆CUTIE CINEMA REPLAY (capsule・CD)
 
 たわい無い日常やふとした言葉を音楽とリズムで装飾した幸せいっぱいのアルバムは、いわゆる渋谷系のガーリーポップス。登場するアイテムが可愛くてセンス良くて楽しくて、夢見るおシャレ願望をぎゅんぎゅん刺激してくれます。深夜番組のエンディングテーマだったプラスチックガール目当てで買ったけど、収録曲みんな素敵な作品で大当たり。
 この手の楽曲は歌詞にカタカナが多くなるので、いっそのこと「カタカナポップス」なんてジャンルを作って一括りにすることを提唱します。
 
●03/03/28
◆殺風景 (熊木杏里・CD)
 
 覚えておきたいことを記録するケータイのメモ機能にあった「熊木杏」の文字。何だっけと思い出そうとしている内に、偶然にもお店で当CDが目に飛び込んできました。もしかして、と賭けで購入。
 そんな出会い方だったこのアルバム、久々に曲単位でなくアーティスト単位で惚れてしまいそうな内容で、野暮ったさや苦味がない新鮮なフォークでした。ただ曲に少しも聞き覚えが無く、メモとCDに関連性があったのかは今も不明です。
 
●03/03/21
◆パンゲアの娘 KUNIE 5 (ゆうきまさみ・コミック)
 
 ずっと手に入らなかった第5巻、発売から半年でようやく店頭で見付けました。探していた本に書店で出会える喜びは、入手が難しいアイテムはさっさとオンラインで注文するようになってから、久しく味わえなかった感覚です。
 連載は打ち切りだったのに伏線を出来る限り纏めて終わっているのは、物語や読者への恩返しになっています。最後に暴かれた真相の意味は全然伝わってきませんが、もしやわからないのが仕様…?
 
●03/03/16
◆ピーターパン (ディズニークラシックス・文庫)
 
 綺麗な装丁に魅せられて、ディズニーはあまり好きじゃないのに購入。好きになれない理由は色々ありますが、説明が難しいのでまたの日に。
 名作と誉れ高い物語は知っておかないと、なんて動機で『不思議の国のアリス』や『アニー』を読みましたが、悲しいかな感想は芳しくなく、これもまた。永遠の子どもの意味合いが、物語に全然無いような。こんな感想を持つこと自体、純粋さを失った証拠だったりして。
 
●03/02/26
◆It's a wonderful feeling (RAMJET PULLEY・CD)
 
 深夜に放送しているGIZA系アーティストの宣伝番組で、ふと耳にした瞬間に気になったので購入。偶然にも、ずっと前に心惹かれた童夢のCMソングも彼女たちの曲だったようで、気になるべくして気になったみたいです。
 何気なく回すチャンネルを音楽に耳奪われて止めた先には、いつもそこにGIZAの姿があるような気が。rumania montevideoにしろ、GARNET CROWにしろ、菅崎茜にしろ。でも悲しいかなこのレーベル、聞き飽きるのも早い。今作も例外ではなく、数回の再生で棚の奥にお別れしました。
 
●03/02/20
◆BLACKJACK (手塚治虫・コミック文庫)
 
 人伝てで聞いた粗筋のせいか、ブラックジャックは「法外な手術費を請求」するカオティックイビルな人間だという先入観があったので、実際の「自分の利益を相殺」するカオティックグッドな性格に、愛しさを感じてしまいます。ずっと冷酷非道な悪役だと思い込んでいた分、揺り戻しが強いです。
 秋からコツコツと集め始めて、一応の区切りとなるコミック文庫11巻まで読み終えました。この巻にはピノコが全然出てこなくて寂しいのです。
 
●03/02/04
◆パンゲアの娘 KUNIE (ゆうきまさみ・コミック)
 
 『究極超人あ〜る』で楽しげな高校生活に憧れ、『機動警察パトレイバー』で初めてコミックで社会的な物語に触れ、『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』で図らずも主人公と一部同じ人生を後追い。一連のサンデー連載作品は、自分にとって掛け替えの無い存在です。
 あまり人気の出なかった今作もそれなりに好きですが、秋に発売されたはずの最終巻を未だに店頭で見掛けられません。やっぱり、打ち切りだったせいでしょうか。それは作者にとってはもちろん、読者にとっても痛いのです。
 
●03/01/30
◆赤川次郎 (作家)
 
 面接で訊かれる「趣味は何ですか?」の質問には「読書です」と答えていました。すると決まって「最近読んだのは誰?」と返されるので、流石の如月さんもここでライトノベル作家を口にするほど世間知らずではなく、無難に赤川次郎を選択。しかしこれは大嘘、高校時代に一冊読んだだけなのです。
 去年の秋口から彼の作品に触れ始めたのは、そんな事情から。月に一冊ずつ刊行ペースよりも遅い速度で読み始め、感想としては『ふたり』みたいに玉もあれば、『晩夏』みたいに石もあるなーと。
 
●03/01/16
◆めるへんめーかー (イラストレーター)
 
 素敵なお名前ままに柔らかしたイラストを描かれる方。イラストレーターは一枚絵にはときめくもコミックを買うと色々な意味で幻滅なんてことが多いけれど、この方はコマ割りだったり物語だったり、とても独創的なところがお気に入りでした。
 ふと、その存在を数年振りに思い出したご自身のサイトに数年ぶりに伺ってみると…あ、相変わらず。出産されたのも結構前だったはずなので、そろそろ少しくらい更新されているだろうと期待していたのですが。
 
●03/01/07
◆半落ち (横山秀夫・ミステリー)
 
 2002年に読んだ本で最も気に入ったのは、見事「このミステリーがすごい!」で第2位になった乙一の『GOTH リストカット事件』でした。じゃあ第1位のこの作品は更に凄いのかと、単純な動機で購入。理想的な消費者です。
 いくら読めどまるで明らかにならない謎と、徐々に残り少なくなるページ数に、内心ドキドキしながら文字を一つ一つ噛み締めました。そして、本当に最後の最後で全ての解決が幾重の波のごとく押し寄せて、待たせただけ膨らんだ期待を裏切らなかったのは良。謎が解決した時点で物語を急に締めずに、穏やかに幕が引いていくエピローグは欲しかったですね。
 
●03/01/03
◆さみしさの周波数 (乙一・ライトノベル)
 
 以下、ネタバレを含む独白です。収録作フィルムの中の少女の真相は「彼女を殺した犯人=彼女の父親=先生」なのかと思い込んでいたので、「父親=4年後死亡」に少々混乱。正しくは「写真の男の子=先生」でしたっけ?
 それで「犯罪心理学上〜」の件から、「先生=死体損壊」も考え過ぎだったらしくて。「先生=彼女の死を知らなかった」旨はあったけど「もしそうなら…」の意味がよく掴めないし。挑むような口調の一人称に何度読み返しても迷わされてしまい、作者の意図を全く掴めない情けなさです。
 
●03/01/02
◆千原兄弟 (お笑いコンビ)
 
 二回連続でお笑い。お正月特番で久々に目にしたネタ、しかもいつものコントではなく初めて見た漫才に嬉しくなりました。もちろん「バカドラミちゃん」のような古のコントだと、もっと嬉しかったですが。やったー、ニコニコイヤリングや。
 ジャリズムやメッセンジャーと共に、第三期の二丁目ブームの先頭にいたのが彼ら。フリートークの巧みさに、間違い無くダウンタウンの後釜なのだと皆が信じていたのに、先に全国区になったのは同じ兄弟コンビでも中川家の方でした。芸の世界は無情ですね。
 
●02/12/31
◆笑い飯 (お笑いコンビ)
 
 M-1グランプリの決勝進出者で唯一の初耳のコンビ名で出番早く終われと見ていたら、適当な技術と斬新なネタ構成にハマってしまいました。
 残念ながら審査員ウケはイマイチで、惜しくも1000万円獲得はなりませんでしたが。翌日放送のオールザッツ漫才ではトーナメントにて見事優勝を果たし、20万円を手にされました。本当におめでとうございます、賞金の差がごっさ気の毒です。
 
●02/12/18
◆お散歩ブック (杉浦さやか・文庫)
 
 近頃は登場人物の名前を覚えたり情景を想像する必要のある小説よりは、イラストブック風な本の方が気軽に読めて好みだったりします。なぜだか読むスピードに頭の処理速度が全然追いつかなくなってしまってて、困りものなのです。
 この作品の著者のように、何事もなく過ぎてゆく日常からちょっとした楽しみや幸せを探しだせる人。自分にはなかなか出来ないことなので、少し羨ましくなるのです。このような生活を送るには、多少の絵心が必須なんだなと思ったりもしました。それもまた、自分には縁の無い技術であります。
 
●02/12/02
◆双子の騎士 (手塚治虫・コミック文庫)
 
 今更ながら『ブラックジャック』に魅せられて手塚治虫作品にハマり少しずつ勉強中、とは言えまだまだひよっこなのでお手柔らかにお願いします。グルーヴィジョンズのチャッピー好き=ユニセックス&ボーイッシュ好きを自覚していますから、先頃読んだ『リボンの騎士』と共にこちらもチェックしておくべき作品でしょう。
 連載作品とは思えないような、次々と区切りなく演じられる活劇が最大の魅力。あと、曲線が醸し出すパピの妙な色気も印象に残りました。
 
●02/11/28
◆one-room survival (セラニポージ・CD)
 
 発売から1週間後に無事入手、一部の方にはお気を遣わせて申し訳ありませんでした。不安の種だった新ヴォーカルはそうと言われなかったら全然気づかなかったかもしれない、結構な適役です。さて、ゲーム本編の新作でネジはこの変化に気づくのでしょうか。
 見る者を惹き付けて離さなかった前作の素晴らしいジャケット、及びアーティストイメージがアルバムのどこからも消え去っているのは、全く理解出来ません。セラニポージと言う仮想人格の創造手が、彼女の魅力を理解していなかった表れでしょう。
 
●02/11/25
◆サロメ (ワイルド・文学)
 
 その昔、吹奏楽コンクールにおいて演奏した自由曲が『サロメ』で、二度と聞きたくない曲でもあります。しかし、大阪代表になれたのは今でもちょっとした自慢で、トランペットで最も吹いた時間の長い曲になるかもしれません。
 10年を経てようやく原作を読んだら、拍子抜けしたのはクライマックスの踊りの場面。本ではたったの1行だけで済まされるなんて、魂込めて練習して演奏したので虚しくなりました。
 
●02/11/21
◆階段 (乙一・ホラー・アンソロジー『悪夢制御装置』)
 
 乙一のホラー作品と言えば、ぐちゃぐちゃな猟奇描写を上品な表現で覆い隠した印象がありますが、今回は得意の叙述トリックも無い至って大人しい作りで、楽しめたかは微妙でした。
 しかし、この「叙述トリック無し」こそが今回の叙述トリックの可能性もあり、また作者の術中にハマってしまったのかも。
 
●02/11/19
◆ベルナのしっぽ (郡司ななえ・ノンフィクション)
 
 盲導犬の話は『盲導犬サーブ』以来で、十数年振り。社会問題に無関心ではないのに、今まで盲導犬に対して興味を向けていませんでした。街中で見掛ける機会がたまにでもあれば違ってくるのかも。
 読み終えてから気持ちを整理してみると、読書中は筆者よりベルナに感情移入していたようです。嬉しさも焼き持ちも苦しみも、みんな自分のことのように感じたので。それでわかったのは、犬はやっぱりご主人様が大好きってこと。
 
●02/11/12
◆クリスマスナイツ 冬季限定版 (TVゲーム)
 
 一番好きな季節は冬で、一番好きな時間は夜で、一番好きな天気は雪で。冬も夜も雪も揃った本作に心奪われるのは当然で、冬が近付くと思い出したようにプレイしています。予約さえすれば送料手数料のみで配布されたゲームソフトですが、その電話が異様に繋がらなかったことは有名でしょう。繋がったのに手続きの途中で切れてしまった時の、喪失感たるや。
 ちなみに、本編はA−LIFEの人口計画が失敗してしまい、ハードの限界を越える程にメピアンたちが大繁殖した結果、処理落ちが著しくまともに飛べなくなってます。噂のピアンタワーも見られなくて、困ったものです。
 
●02/11/06
◆石の目 (乙一・小説)
 
 最近の如月さんは乙一ぞっこんラバーズ状態で、何ヶ月か彼の作品に触れられないと禁断症状が出ます。そんな訳で未読だった旧作を、文庫化待てずに購入してしまいました。対処療法ですね。
 4つ収録された短編はどれも特異な設定で、一貫した作風はまるで感じられませんでしたが。読後にほんのり漂う清らかな心の揺らぎだけは、読む側の期待を裏切らずに必ず潜ませてくれているようです。
 
●02/11/03
◆Oops! (はな・エッセイ)
 
 勉強しなくても英語が話せるようになったらいいね、なんて甘い文句に魅せられて。そんな都合良い話が転がってるはずないのだけれど「英語勉強しよう」系の本って、エッセイ風味の内容でしか読み終えたことなかったりするので、身につかなくても楽しく読めてついでにフレーズを1つ2つ覚えられれば、十分おっけーなのです。
 ご購入の際は、著者自筆のふにゃりんことしたイラストを目印にどうぞ。ふにゃりんこは誉め言葉です。
 
●02/10/27
◆しあわせにゃんこのしあわせにするにゃん (松井知子・心理テスト)
 
 表紙からイラストから奥付けまで、可愛さに完全支配された超ラブリーな本。そもそもタイトルが前代未聞で、恥ずかしがり屋の如月さんは口に出して読めません。今までたくさんの本と出会いましたが、最も買うのが恥ずかしかったかも。
 書店に平積みされた本は「買え」と強烈にオーラを出すものですが、これに限っては「お手数ですが手に取っては頂けないでしょうか」と実に謙虚な姿勢を漂わせてました。中身の心理テストは簡単でありきたりなものばかりで不満ありつつ、イラストのキュートさに参りました。
 
●02/10/23
◆リボンの騎士 (手塚治虫・コミック文庫)
 
 如月さんが生まれる前の前くらいの作品ですが、古さを感じさせない画風に驚かされました。可愛くて丁寧で、ほんの少し色気があって、素直に凄いと思わせれます。
 きっかけは今夏、関西の深夜枠で放送された『ブラックジャック』のOVA版で、手塚治虫にはまるで興味が無かったのにハマりました。
 
●02/10/22
◆銀河鉄道の夜 (宮沢賢治・文学)
 
 文体についてゆく自信に乏しく、国語の教科書で触れた彼の物語もあまり好きになれませんでしたし、長年読むのを躊躇していました。読み終えた満足感はあるものの感想を上手に表現出来ない如月さん、元書評サイト制作者だとか。
 とりあえず、リンゴの表記「苹果」にときめきを感じたので、真似します。青苹果、椎名苹果、苹果殺人事件。うん、いい感じ。
 
●02/10/20
◆キム・アンダーソン (写真家)
 
 セピア色の街に溶け込む児童を被写体に、花や衣服を色付かせた作品を撮る写真家。毎年のカレンダーは新しい月が来たら写真の部分だけ切り取り、壁にペタペタ貼ったりもします。
 しかし、今年は安くなるのを期待している内、店頭から商品が消えてしまいました。今になって考えると、災厄まみれの今年の自分を正月早々暗示していたかのようで、来年分はさっさと買おうと心に誓いました。
 
●02/10/16
◆だいたひかる (芸人)
 
 ピン芸の王座を決めるR−1グランプリ初代優勝者で、このテレビ放送で初めて知った芸人。Mー1と比べると大会の規模も放送時間も賞金も随分と質素なところに、哀愁は隠せません。
 レベルの高いネタの数々だったので、テレビで観る限りでは優勝は評価しすぎに思えたけど。女の子の1人喋りでゲラゲラ笑えたのは、ABC新人グランプリでの杉岡みどり──お料理ネタ以来でした。女性芸人特有の「痛さ」がなくて良かったです。
 
●02/10/15
◆佐藤琢磨 (F1ドライバー)
 
 デビュー以来、速さと安定性に欠けた走りに失望させられるも、最終戦の日本グランプリでは5位入賞。希望、不安、感動、彼のせいでどれだけ心忙しかったことでしょう。
 その昔、世界に通用するレースを演じてくれた片山右京選手と面影が重なり、瞳を潤ませてしまいました。来シーズンもお願いします、シート喪失は許して下さい。
 
●02/10/14
◆宇宙生命図鑑 (小林めぐみ・SF)
 
 幾度か売れ線への作風に変わりつつも、時折「未来派ファンタスティック長編」や「煌きのコスミック・ファンタジー」と形容されていた、初期の雰囲気を未だに書いてくれる彼女。読み終えて、ほっとしました。初期の代表作『ねこのめ』の大ファンとしては、これからもこの感覚を大切に守りながら創作して欲しいですね。
 敢えて苦言を呈すると、不必然に殺される登場人物がいなければもっと良かったのに。初期作品はキャラクターが持つ独特の倫理観や美しく趣のある世界に併せて、理不尽な死者がいない優しさも好きなので。
 
●02/10/13
◆ハッピー・バースディ (新井素子・小説)
 
 1999年『チグリスとユーフラテス』以来の新作ハードカバーとして期待大でしたが、心に残る重みが全然無くて非常に残念。最初に長々と説明される主人公のコンプレックスがまるで伏線にもならず、悪い意味で驚かされました。
 お得意の一途な思いの描写も、お馴染み素ちゃん文体もなぜだか大人しくて、彼女の作品らしく思えなかったのが正直なところ。軽い心持ちであっさりと読むのには適してそうなので、次に読み返すのは文庫化以降でしょう。
 
●02/10/12
◆CECILMANIA#203 (CECIL・CD)
 
 ドリームキャスト専用ソフト、人生介入型シミュレーション『ルーマニア#203』内で使われた音源のカバー。その性質から、ゲーム内と同じく主人公の部屋のラジオから流れる様子とシンクロさせると、より楽しめます。聞くとなく流して、たまに耳に入ってくるところを一緒に唄うといい感じ。特に『人工衛星』の「くじけそうになあってー、悪いか文句あるかー♪」のところが大好きです。
 ただ、見た目に可愛い特殊ジャケットにした反動か、歌詞カードが無いのは駄目過ぎます。送り手の送りたいものより、受け手の受けたいものを優先しないと本末転倒ですよ。
 
●02/10/11
◆pal@pop (pal@pop・CD)
 
 自分の手で表現したくてもなかなかどうして難しい想いを、代わりに表現してくれる人のアルバム。新しい価値観や世界を唄っている為か、朝が似合う楽曲が多い印象がします。胸の奥にある一つの想いをあの手この手で作品と化し、耳と目で感じられる身近な存在へ昇華させる様が素敵です。
 ただ、『スフィア』等のバージョン違いの作品は、原曲の方が圧倒的に優れています。あと、今まで聞き取り困難だった『Welcoming Morning』のサビのコーラスがちゃんと聞こえるのは、秘かな売りかもしれません。
 
●02/10/10
◆GOTH リストカット事件 (乙一・ミステリー)
 
 著者初のハードカバーとなる今作は長編だと思い込んでいたので、一章を読み終えて連作短編だと知った時には幸せ気分でした。なぜかと言えば、長い1つの物語より細かく1話ごとに完結してゆく方が、トリックを話の数だけ楽しめてお得に思えるからです。
 お気に入りなのは「犬」と「記憶」で、「声」は途中で何度も読み返して意味を理解出来た時には感動しました。もう二度と騙されないぞと構えて挑んでいるのに、またまた見事に作者の意図通りに読み進んでしまう、自分の単純さを痛感させられます。
 
 
 
 
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