■セガサターンソフトレビュー(パズル2)
 
●アイコン
琴線に触れたお気に入り作品。
飽きずに長期間プレイしたもの。単に長いだけは除外。
音楽・音声・効果音が優秀だったり雰囲気に合ってたり。
キャラクターの造形や描き方が魅力的。
グラフィック・ムービー・演出・特殊効果が美しい。
期待を裏切られた作品。
 
 ■ソフト一覧
 
 
■クレオパトラ・フォーチュン
・ジャンル:落ちものパズル ・メーカー:タイトー
・発売日:1997年2月14日
・クリア状況:全エンディング(NORMAL)/100面クリア(ミステリーモード)
 
  ミイラや棺を岩で囲んで消してゆく1人プレイがメインモードで、通信カラオケ→アーケード→セガサターンの経路で移植されたとのこと。全消しの度にご褒美画像が表示される美少女マスコット──パトラ子が可愛いと局地的に評判です。
 
 ブロックの隙間を埋めて積むのが定跡のジャンルの中、本作は最上部を岩で蓋すれば「囲み消し」が成立する為、中間が隙間だらけの状態からでも一気にブロックが消去され、他に無い快感が味わえます。ゲームデザインが異色かつ複雑な為、初見で好印象を持てた人は少なそうで、テトリスハイに到達するまでのハードルも高いのは否めませんが、我慢して付き合い続ける価値はありました。早めに理解すべきは、本作の目的が連鎖消しや大量消しではなく、全消しなこと。いつの間にか全消しを連発出来る程まで上達し、恍惚の表情を浮かべてしまった人も多そうです。
 まさかの左回転不可だったり、ツモや接着の間隔が極端に早い瞬間があったりの操作性は、まだ許容範囲。しかし、エンドレスではない・ハイスコアがセーブされない・カンストが容易らしいと、メインモードに必須の継続性が欠如しているのはいけません。即ち、ご褒美画像の閲覧以外のプレイ欲求は持ちにくく、私はノーコンテニューのエンディングを見て即疎遠になりました。自己記録更新に励める作りなら、一生ものだったかもしれないのに。
 
 50面+50面の『なぞぷよ』モードについて。こちらはセーブに対応し、リスタートがYボタンで1発と遊び易さは合格だし、難易度曲線や解法に揺らぎがあるのも好意的に捉えられました。欲を言えば、総当たり攻撃が困難なので試行錯誤の辛さの緩和に、ヒントは欲しいですね。あと、パッケージからしてパトラ子の人気を利用する気満々にも拘らず、ゲーム中ではオープニングとエンディングでちょろっと出るだけなのが期待外れ。キャラクター性を楽しませる中間デモでモチベーションを保たせる配慮が、この手のモードでは必要でしょう。尚、定番の『ぷよぷよ』モードもあるかと思いきや、対人戦限定では評価に値しません。
 
 ゲームデザイン・操作性・継続性・キャラクター性を兼ね備えたアクションパズルが当時は発売されており、ゲームデザインのみで勝負の本作は商品として見劣りしますね。
 
 
 
■ぷよぷよSUN
・ジャンル:落ちものパズル ・メーカー:コンパイル
・発売日:1997年2月14日
・クリア状況:全エンディング(マスター)/カウンターストップ(とことん)
 
  言わずと知れた落ちものパズルの代名詞、第三弾。アーケードからの移植で、当時は対戦台で遊んでいました。
 
 対戦形式の落ちものパズルの雛形を確立した『ぷよぷよ』に、相殺の導入で発展を遂げた『ぷよぷよ通』も、まだ煮詰まってはいませんでした。私が感じる一番の弱点は、連鎖数の増加と共におじゃまぷよがとめどなく溢れ、フィールド上での逆転性が乏しいところ。今作で改められはしなかったものの、代わりに「太陽ぷよ」なるルールの追加で定跡を少し揺るがし、初心者と上級者の隔たりも若干ながら埋まった為、対人戦向けでは成功でしょう。ただし、その仕様に大きな問題が。
 太陽ぷよの主な害は、元々狭いフィールドがより狭苦しくなったこと。今までのぷよに新しいぷよが加わったのだから当然で、太陽ぷよはノーマルぷよやおじゃまぷよと役割を同化すべきでした。落下の間がじれったく、位置の指定も出来ないのに頻出して、プレイヤーの逸る気持ちを逆撫でし続けます。1人用で黙々とハイスコアを狙っていると、これらの性質が合わさって悲劇をもたらします。相当な時間と労力を注いで遂に仕込んだ大連鎖、限界まで粘って最後の1マスを残し、待ちに待った意中の色のノーマルぷよがネクスト欄に──そんな歓喜の瞬間、唐突に発火点を埋めてしまうのこそ、他ならぬ太陽ぷよなのです。せめて、ゲームオーバーに直結する左から3列目には降らない配慮があってもいいのに、こやつには何度泣かされたことか。
 
 太陽ぷよへの恨み辛みを除いても、拙さが目立ちます。代表的なのが無価値なオプションで、長々しい読み込み時間に堪え兼ねてカットインと消え方の設定を切り替えても、1秒たりとも短くなりません。難易度設定により基本点を数倍に変更させるのも、難しくすれば高得点ならともかく実際は逆で、しかもランキングは一緒くたなんて何も考えていませんね。
 ポーズが利かない時間があったり、スタートで飛び散る星がネクスト欄を隠したり、長編のエンディングとスタッフロールを飛ばせなかったり、ぷよの配布に電源パターンがあったり、「とことん」のスコアがカウンターストップせず0点に戻ったり。以上の今作が抱える固有の欠点に、『新型くるりんPA!』のレビューでの指摘が加わります、CPUの思考ルーチンは相変わらず旧世代的で、難易度を上げてもぷよの落下速度によって調整され、方向キーの斜め下を入力しても反応無く、大勢のキャラクターも1人用では3人しか選べず、ソフトリセットからプレイ再開までの道のりが遠い。このような『ぷよぷよ』の名前の上に胡坐をかいた様が、コンパイルの行く末を暗示していたかのようとは大袈裟でしょうか。
 
 『ぷよぷよ』を純粋に楽しませる能力では、メガドライブ版の初代の方が優秀だと思います。
 
 
 
■続ぐっすんおよよ
・ジャンル:アクションパズル ・メーカー:バンプレスト
・発売日:1997年2月28日
・クリア状況:全エンディング/全問(つめ)
       2340段(おのぼり)/8段(だんいにんてい)
 
  1993年のアイレム製アーケードゲームが元で、セガサターン向け前作『ぐっすんおよよ・S』は未プレイ。横視点の固定画面内で一定の法則に従って歩き回るキャラクターを、落下してくるブロックと爆弾を使って出口まで導く、落ちものパズルとアクションパズルの合いの子です。
 
 足元のブロックに沿って歩き、高さがあれば1段なら登るが2段以上だとUターン。モンスターやデスブロックに触れる、画面外に落ちる、ブロックに潰される、ブロックが積み上がる、時間制限で発生の水に溺れるが死亡条件。ルールは独創的でありながら理解が容易で、類似作を見掛けられないのが最大の魅力です。真面目に順路を作るのは最初だけで、やがては落下物で強引に出口へ押し込むようになるのは好みが分かれそうとは言え、見た目よりも薄いパズル性は親しみ易さに繋がっています。
 アクション性が強い分、癖が強い操作性は難。極めて遅い自然落下と、レバー下で接着したら瞬時に登場するネクストは相性最悪。真横の落下ブロックに反応してキャラクターが逃げ出す時、当たり判定がはみ出して一段上のデスブロックに串刺しにされてしまうのも解せません。他に悪い点はセーブ&ロードが手動なのと、一枚絵がお下手さんなこと。これらの不満は快適な読み込みと、プレイヤーを盛り立てる豊富な音声と、楽譜付の絵描き歌や見応えのある設定資料集が微笑を誘う文章と共に収録された充実の説明書で、帳消しとしましょう。
 
 アーケード版と同趣旨の「のーまるもーど」は小休止を挟みつつ100面まで続き、4面に1個ずつ隠された宝物を揃えて最終ステージをクリアすれば真のエンディング。長丁場のお供に無条件のセーブ&コンテニューはもちろん、宝物を取れなかった時のフォローにラウンドセレクトも可能な親切設計です。ステージ毎にクリアタイムが保存されますし、裏技の「変態モード」ではシナリオと面構成が変化して、これだけでも1本のゲームソフトとして許される分量では。細かな違いながら中間デモとエンディングに、1Pキャラ用・2Pキャラ用・同時プレイ用を用意したのも抜かりありません。
 しかし、アーケードの仕様にセーブとラウンドセレクトを乗せたのは考えもの。同じ面を好きな時に何度でもやり直せるので、残機とスコアが無意味化してしまいました。これらを増やすアイテムの価値も0になり、一直線にステージクリアの雑なプレイを招いていますから、家庭用としての矛盾を減らすリファインが欲しいですね。
 
 モードは他に4つあり、工夫いっぱいで飽きさせません。パズル性の低い「のーまるもーど」の対極なのが落下ブロックが各面固定の「つめもーど」で、リアルタイムの操作はそのままに思考型へと生まれ変わった『ぐっすんおよよ』は実に新鮮。ただ、合計で40問しかない上に、最難の超級者コースですら別解が見付かる甘さが惜しいです。惜しい繋がりで言えば、対戦形式の落ちものパズルを模した「たいせんもーど」が対人戦専用なのも同様で、その練られたルールはCPU戦が可能であれば相当に面白かったでしょう。
 一方、ブロックをひたすら積んでいく「おのぼりもーど」は、説明書の「1P専用の不毛なブロック積みが楽しめます」なる紹介文から芸の無いエンドレスモードかと思わせて、大木→岩壁→山脈→雲→太陽系→無限に広がる大宇宙と移り変わる背景や、記録による簡単なデモもあって意外な凝り様。次々に変化するBGMと耳に度々届く応援にしても、単調な作業に嬉しい気遣いです。自分の不注意以外ではゲームオーバーにならず、ループに突入する2000段の到達に2時間は必要な為、一度でも好記録が出ると次に遊ぶ機会が巡って来ないかもしれませんけど。
 
 以上のモードは適当な心持ちで遊べますが、最後に控える「だんいにんていもーど」は『バーチャファイター2』のパロディで楽しげな雰囲気とは裏腹に、ぬるま湯に浸かっていたプレイヤーをきつく咎めます。ランダムが基本のツモと出現が唐突なモンスターが運の比重を非常に高めている本作で、「全20面をクリア」「1人も死なない」「全てのフードを取る」「全ての子ぐっすんを助ける」を同時に達成しろなんて、厳しいや難しいを通り越して理不尽。制限時間の短いステージで不必要なブロックばかりツモるわ、絶対に助けられない状況でモンスターが現れるわ、不可抗力でアイテムが画面外に落ちるわ、クリアまでに40分は掛かるわで、こんなにも足枷を填められて士気を保てるはずがないでしょう。
 1段は○○で、2段は○○+△△で、3段は○○+△△+□□で…と段位の判定基準が上乗せで設定された為、○○を満たせない時点で1段以下が確定するのも、挑戦意欲を萎えさせる一因。そして、死に物狂いで前述の条件を達成しても、「9段になるには最速タイムを叩きだせ!」との非情な命令が出るのです。目指すべき具体的なタイムがわからないのはともかく、言われなくても当モードでは常に最善手を指し続けており、挑戦者には急ぐ余地が残されていないのに。ネタ元みたく15段があったりした日のことも想像し、ここで私は挫折しました。
 
 お気に入り作品の『続ぐっすんおよよ』ですが、「だんいにんていもーど」は二度とプレイしないでしょう。
 
 
 
■キューブバトラー デバッカー翔編
・ジャンル:パズル ・メーカー:やのまん
・発売日:1997年2月28日
・クリア状況:エンディング(NORMAL or HARD)
 
  『日灼けの想い出+姫くり』『ボディスペシャル264』の系譜に連なる、動画のジグソーパズル。絵柄が熱血系のアニメに、ゲームシステムが対戦形式に、ピースがキューブ状に変わり、面影は残っていません。
 
 パズルはプレイヤーとCPUに各1枚与えられ、その使用キャラクターの立ち姿がモノクロ動画で流れる3×4ピースに、カラー動画が流れる3個のキューブを回転させて正解をはめ込んでゆきます。また、双方に体力メーターが設定されており、制限時間内に指定のピースをはめ込めば相手への邪魔を兼ねた攻撃も放て、パズルを介して戦い合う体裁は十分でしょう。ただし、以上の試みでゲーム性が成立したかは微妙で、前二作のおまけ的な対戦モードの方が面白いくらいです。
 
 プレイヤーが完成させるべきパズルは主人公の立ち姿であり、絵柄はスタートからエンディングまで不変な為、1枚完成させる度に新しい絵柄を見られる元来の喜びが失われました。キューブは無制限に1ボタンで3個同時の交換が可能だから、敢えて回転で正解のピースを探す理由が小さく、ピースをキューブ状にした意味が疑われます。モノクロピースの位置が重要なのに攻撃モーションでカラーになってしまうとか、モノクロとカラーのキューブを繋げた時にカラー側を持つとはめ込めないとか、攻撃の指定ピースがカラーだとはめ込んでもキャンセルされるとか、操作もしにくいです。
 非常識なのが難易度。CPUは1人目から正攻法だと30秒で敗北必至の為、パズル無視で攻撃に専念ないし禁断のポーズ使用でしか勝てません。プレイを重ねる内、キューブはパズルの上半分と下半分に当たる2種類で、回転は左から右へ順送りされるのを理解しても、不利を覆すには至らず。ヒロインが懇切丁寧に教えてくれるチュートリアルで遊び方は即理解出来る分、全く遊ばせようとしない実情への反感が強まりました。
 
 幕間のアニメシーンは高品質で楽しめましたが、「ラスボス戦をアニメだけで全部終わらせてしまう」のって、ゲームソフトとして自殺行為だと思わなかったのでしょうか。フリー対戦モードを用意したとは言え、ストーリーモードが短い1人分だけなのも酷い。本作は手軽なのに長く遊べた前2作の引き立たせ役に過ぎません。
 
 
 
■花組対戦コラムス
・ジャンル:落ちものパズル ・メーカー:セガ
・発売日:1997年3月28日
・クリア状況:「オールクリア、おめでとう!」(ふつうorむずかしい)
 
  『サクラ大戦』のキャラクターが総出演する落ちものパズルで、『コラムス』をアレンジしたルールを採用。
 
 次々に切り替わってゆくフィールドの壁紙と、傍らでせっせとパッドを操作するチビキャラが画面を賑わせます。神秘的な映像と音楽に身を委ね、黙々と宝石を消し続けることが美徳な『コラムス』に、そんな楽しげなリアクションや応援を添えては雰囲気ぶち壊しかと思いきや、ひたすら明るく健全なプレイも意外に乙です。本編では見せるに見せられなかったであろうキャラクターたちの弾けっぷりは、入れ込んだファンにすればイメージを崩されるかもしれませんが、自分はお構い無しでくすくす笑わされました。
 勝ち抜き・ストーリー・パズル・エンドレス・2人用とモードが充実していたり、宝石のグラフィックを変更出来たり、ポーズ時の音声がキャラクター毎に違ったり、20種類以上のエンディングを余すところ無く保存したり、手間を惜しまない姿勢が貫かれています。特にCGは量が多いのに丁寧で、半年後に発売された『蒸気ラジヲショウ』のように、お下手さんな絵が紛れ込んだりはしません。また、特別公演の主役の座を争う「シンデレラ」では、負けた時点で黒子や馬に配役されてしまいますが、キャラクターと配役の組み合わせの数だけ画像と台詞を用意。たかが勝利デモとコンテニューに、ご苦労様でした。
 
 難易度は過度に抑えられ、面クリア式の「パズルルール」に至っては裏面含めてパズル性を感じないものの、これは対象ユーザーへの配慮でしょう。少しまだるっこしいのは、隠れキャラを選ぶ際に毎回コマンドを要求される幾つかのモードで、オプションでコマンドが確認可能とは言え、一度登場させれば記憶されるモードがあるのに何故か。エンドレスでハイスコアを狙う「クラシックルール」で、レベルが上がっても基本点が変わらないのは気になりますけど、通常ルールの欠点は以上で済みます。
 ただし、肝心の対戦時のシステムが話になりません。宝石を消して気合いが満杯になる度に選択肢が表示され、流れを完全にせき止めるのは閉口。『コラムス』に『サクラ大戦』の特徴を融合させた発想は買いますが、あからさまに悪化したテンポを問題視しないのは信じ難いです。攻防の力関係が後者に傾いており、波状攻撃を浴びてもこつこつ消しつつレベル1の防御を繰り返せば絶対に打ち破れない上に、攻撃実行時の不可解な間とレベルを溜めれば気合いの必要値が上昇する足枷から、その波状攻撃すら成立困難とは恐れ入ります。攻撃を送り込むライン量とカウント数で個性付けしたのに、防御は消去するライン量だけの設定なのも不公平。量が多く数は少ない攻撃を持つマリアと、量は少なく数が多い攻撃を持つ紅蘭を比較すれば、どちらが一方的に不利か明白でしょう。
 
 対戦のシステムを是正すれば、名作まで上り詰めるかもしれません。
 
 
 
■パズルボブル3
・ジャンル:アクションパズル ・メーカー:タイトー
・発売日:1997年3月28日
・クリア状況:全エンディング(NORMAL or VERY HARD)/七段(チャレンジ)
 
  据置機から携帯電話まで、未だあらゆるハードで増殖を続けている定番作品で、当時のアーケードの最新作を移植。ビリヤードを模したルールでお馴染みです。
 
 このシリーズがゲームセンターで長期間人気を博した理由は、何よりもプレイ時間の長さ。実力が伴わないと3分でゲームオーバーが全盛だった頃に、少し慣れれば十数分も遊べる懐の深さが支持されたと考えられ、内容が面白いからこそヒットしたとは言い難いです。そんな弱点の改善を試みた様子は窺えますが、元々のゲームシステムが汎用性に乏しい構造であり、やはり『パズルボブル』以上でも以下でもない完成形に終わっています。それを長所と見るか短所と見るか、プレイヤーによって評価は分かれるでしょう。
 
 しかし、明らかな手抜きが目に付くのは、誰にとっても誉められないこと。当時の水準に及ばないグラフィックと音声はセガサターン版でも健在で、ゲームシステムで新しい面白さを提示出来ないなら外観の充実を図って欲しいですね。バランス調整がおざなりどころかなおざりに近く、難易度を最高にしてもラスボスが自滅するのは要改善でしょう。アーケードからの移植作にありがちな欠陥で、モードやキャラクターの選択及びネームエントリーの時間制限が非常に短いままなのも印象が悪く、家の中で「どれにしようかな?」と自由に悩ませたくない理由を私は思い付きません。
 淋しいのがエンディングです。パズル系モードでは最終ゾーンによって、対戦系モードではキャラクターによって変化するものの、どれもこれもストーリーとキャラクターに関連が薄く、たったの数秒で終了。難易度めにゅーもゲームレベルも裏モードも無関係らしく、クリアの度にしょんぼりさせられました。
 
 家庭用独自のチャレンジモードとコレクションモードは、意外に無価値。前者は時間が必要な割に段位が漠然と表示されるだけで、記録を伸ばしたくさせる工夫が足りません。また、特定の色を先に消さないとクリアが厳しい面が多いのにツモは相変わらずランダムで、自身の腕とは無関係な乱数によって不当な評価を下されがちです。後者の全1026ラウンド収録は凄い売りに思えましたが、セーブに非対応で挑戦者がいるのでしょうか。そんなので説明書に「オールクリアに挑戦だ!!」と書かれても…。
 
 
 
■モンスタースライダー
・ジャンル:落ちものパズル ・メーカー:ダットジャパン
・発売日:1997年3月28日
・クリア状況:全エンディング(難しい)
 
  裏ジャケットによれば「傾きが変わる!?空前の落ちゲー誕生!!」とのことで、文字通り左方に傾斜したフィールドを任意にスライドが可能な『ぷよぷよ』です。
 
 落ちものパズルの雛形にジャストアイデアを付けただけの気配がするも、意外に楽しさの独創性が低くありません。これは攻撃面では連鎖と連鎖の橋渡し役として、守備面ではブロックの整理や悪あがきとしてスライドの利用率を高くしつつ、回数制限や使用条件を設けなかったのが要因でしょう。接点が6方向のブロックを3つ繋げるだけで消えてしまう為に大連鎖が仕込みにくい弱点も、最初から6色を降らして釣り合いを取っています。
 しかし、軽過ぎる操作感とブロック接着の早さからフィールド上部では意図した配置が難しくなり、難易度も控えめながら敵の必殺技に酷い苛めが揃っているのが難。特に魔女が使う「相手の方向ボタンを一切無効化」は凶悪で、これを連発されると逆立ちしたって勝てないのに、彼女の登場は12人中4人目。酔いを誘われて直視出来ない程に画面が揺れる、ゴーレムの「フィールドを視覚的に邪魔」も辛いです。
 
 ストーリーモードは1人分、バックアップに非対応、オプションが貧弱と、予算や納期による制約か商品として最低限要求されるボリュームに届いていません。キャラクター毎のエンディングは当然として、規定のスライド回数以内に全消しを狙うモードも欲しかったですね。とは言え、レベル達人のスタッフロールに音声収録中の素の喋りが流れたり、エンドレスモードでは全キャラクターが選べたり、ミニゲームがあったり、CD-DAに台詞集が入っていたりと、可能な範囲で頑張った様子は伝わってきます。あと、落ちものパズルに欠かせない漫才デモの出来も良し。声優は音響スタッフないし、検索してもほとんど引っ掛からない名前ばかりなのにハマった配役で、どこのどなたか存じませんが熱演をご苦労様でした。
 
 見逃せないのが、上から下まで満開のお莫迦さ。曲名が「ドンデンが壊死」「白い牙ってイイな。トワイライト→ナイト」等と大ふざけなのに始まり、究極は全音声が津軽弁になる裏技。この為だけに方言指導まで用意し、音声の収録量を倍に増やすなんて、愛すべきお莫迦さんだこと。
 
 
 
■マジカルドロップIII 〜とれたて増刊号〜
・ジャンル:アクションパズル ・メーカー:データイースト
・発売日:1997年6月20日
・クリア状況:全エンディング(全モード)/マジカル(ひたすら)
 
  世界一忙しいゲームと言っても過言ではないアクションパズルの第三作で、アーケードからの移植。シリーズ共通の特徴は、縦に並べなければ消えないドロップと、連鎖中にも操作を受け付けることです。
 
 タロットカードがモチーフのキャラクターたちは作を重ねる毎に増加し、遂に元ネタの大アルカナカードを上回る24人の大所帯となりました。それでいて外見と性格を描き分けられているのだから、凄まじい作り込み。ドット絵が粗くて画風に乱れがあり、何十連鎖も起こるのにリアクションが3種類しかなく、読み込み短縮の為か音声不鮮明なのは、その一糸乱れぬ愛くるしさの前に「可愛いは正義」の精神で無罪とするしかありません。ただ、個人的な好みだとこの幼児っぽい可愛さより、初代アーケード版の小生意気な可愛さの方が上ですね。
 キャラクター関連で凝っているのは、プレイ画面に表示される一人称と二人称。ボーイッシュな女の子のジャスティスなら「ボク」「キミ」で、大阪弁を話すジャッジメントなら「ウチ」「アンタ」で、赤ん坊のサンなら「ばぶぅ」「だぁ〜」で、アニョ〜ンなフールなら「ホニョ」「アニョ」等と、使用キャラクターと特定の組み合わせに応じて書き替えられて幸せ気分を誘います。そんな和気あいあいとした雰囲気の中、何人かのストーリーは暗く重く血なまぐさかったりして、面食らいましたけど。
 
 一瞬の判断の遅れが命取りとなる本作で最重要な操作性は、セガサターンパッドとの相性抜群。どんなに素早く入力してもちゃんと追随してくれて、決して簡単ではない完全攻略の心強い味方です。ボタンの割り当て・ピエロの動き方・アイテムの取り方の設定も可能で、こちらに慣れてゲームセンターだと操りにくいくらいでした。スタッフロールの早送りや、あらゆる項目を記録する成績表や、2人用の「たいせん」で様々なルールを用意したのもまた、そつがありません。特に成績表は遊んだ分だけ情報が積み重なっていくので、寿命の相当な延長に貢献してくれますね。
 
 内容に話題を移すと、モードが多彩なのは喜ばしいものの、過剰な細分化が逆効果に。通常の勝ち抜き方式「おはなし」は、24人全員と戦う「むずかしい」以外では不完全なエンディングしか見られないなら、敵が少ないだけの「かんたん」「ふつう」は余計でしょう。レベル100到達を目指す「ひたすら」も同様で、必要を感じないならプレイしなければ良さそうではありますが、前述の成績表に別個の記録ページが用意されており、心情的に一通りクリアせざるを得ないんです。
 攻撃パターンから出現するアイテムドロップまで、明確な強弱があるキャラクターバランスも好みではありません。結局はノルマ消化合戦になるとは言え、専門誌の記事によれば性能の分類は至極複雑で絶対に自力解明が不可能なのに、説明書に僅かな記載しかないのが減点です。また、一定数を超えた連鎖が無意味なのは相変わらず、過剰な攻撃を抑止したいなら20連鎖で80個消すとノルマを100減らすように、連鎖数をノルマの減少に上乗せしてはどうでしょう。あと、長丁場かつ忙殺必至な「ひたすら」で、使用キャラクターが8人に限定されるのが解せません。「すごろく」では物語の制作の手間を考えて納得すれど、全員使える「おはなし」との違いがチビキャラの有無しか認められない「ひたすら」では、手抜きに感じますね。
 
 『マジカルドロップ』に由来する不満点を除けば、エンディング目的でもハイスコア狙いでも長期間遊べてプレイアビリティも洗練されており、完璧に近いです。ただし、パッドの消耗には覚悟を。
 
 
 
■ぱすてるみゅーず
・ジャンル:アクションパズル ・メーカー:ソフトオフィス
・発売日:1997年10月23日
・クリア状況:全エンディング(ふつうorつらい)
 
  オリジナルはプレイステーション。真横からの視点と、斜め下に傾いたフィールドと、放物線を描く玉と、玉の進路を阻むボスキャラが独創的です。
 
 発射台から打ち出した真ん丸い玉を3個繋げて消してゆくことから、どうしても『パズルボブル』の真似だと揶揄されがちですが、そのゲーム性は異なります。大雑把に表現すれば、一手一手に緻密な戦略が求められてデジタル色の強い『パズルボブル』に対し、思い付きに従って次々に玉を発射するアナログ色の強い『ぱすてるみゅーず』と言えるでしょう。開発者が影響を受けた類似ジャンルのゲームは『パズルボブル』よりも、フィールドと玉の位置関係からセイブ開発『戦球』に近く感じられました。つまり、借り物の印象は拭えませんけど。
 そんな特徴の利点として、指1本だけでプレイ可能な手軽さが挙げられます。本来はボタンを押す前に方向キーで角度の調整が必要ながら、少しくらいミスを続けても構わないので大丈夫。制限時間を悩み抜いて最善手を放つより、玉の色を見た瞬間に即発射をリズミカルに繰り返す方が、適度な爽快感を味わえてお勧めです。
 
 モードはメインのステージクリア方式に加え、対戦・エンドレス・タイムアタック50面に、隠し要素としてエンドレスを変形させたスコアアタックと、タイムアタックのエキスパート30面。この中では、それまでのアナログ色から一転してデジタル色を強めた、エキスパートモードの存在が光ります。時として玉を消したことで取り返しがつかなくなり、見た目は同じなのに感覚は別のゲームのようで、これは『パズルボブル』よりもルールの汎用性が優位な証拠。ランキングもモード毎に保存され、再挑戦への意欲を刺激してくれます。Rボタンで出現させられるラインにゲームオーバー防止装置が備わっていないのと、メインモードにキャラクターとコースの選択があるのにエンディングが共通なのを差し引いても、アクションパズルとしての根幹は合格です。
 
 それなのに、作風の構築を見事なまでに失敗している為、評価は落第点まで転落。奇々怪々な容姿の敵キャラに、シュールなムービーに、可愛らしい題名から掛け離れた何もかもには呆然でした。ストーリーやキャラクターの設定に音楽を扱いながら、BGMが場違いで効果音が耳障りなのは酷いとしか言い様がありません。
 更に駄目なのが、裏技の不備。量がやたらと多い上に、立ち上げの度にコマンドが必要と、時代錯誤なのです。玉の軌跡に残像・ランキング表示・発射角度の微調整・特定のモードで使用キャラクター変更・特定のモードでゲームオーバー後にポーズ等の効果がありますが、標準装備して然るべきこれらを面倒な裏技扱いにした意図は何なのやら。ゲーム内でコマンドを教えてもらえないものが大半なのに、その中にはCPU対戦やスコアアタックのような重要なモードまで含まれ、二重で困ります。
 
 当時の雑誌や現在のインターネット上で開示された情報も不完全で、一般的なユーザーが本作の全容を掴むのは大変です。それは果たして、開発者の望むところだったのでしょうか。
 
 
⇒参考ツリー
 
 
 
■SEGA AGES/コラムス アーケードコレクション
・ジャンル:落ちものパズル ・メーカー:セガ
・発売日:1997年10月30日
・クリア状況:全秘宝石/全スペシャルオプション/宝石数カンスト
       LEVEL295(コラムス・HARD)/全ステージ(II・EASY)
       全エンディング(スタック・HARD)/名人(97・HARD)
 
  3個1組で落下してくる宝石を縦横斜めに同色3個以上を並べて消してゆく、落ちものパズルの系譜では『テトリス』と『ぷよぷよ』の中間的存在。1990年から1997年に掛けてアーケードに登場した4作品の忠実収録に、様々なおまけもあります。
 
 家庭用移植に当たり、通算の宝石消去数に応じて特典が得られるようになりました。インストカードや攻略アドバイスの他、宝石や効果音を変更出来るのは、とても面白い試み。更に、提示条件をクリアして秘宝石を集める目的まで加わり、ただの移植で終わらせずに偉いですね。
 新作の発売と同時に旧作の価値が急落するアーケード業界で、当シリーズは趣旨を毎回変更しつつ制作された為、収録作が一つも無駄になっていません。それは全作品が万能ではない裏返しで、フィールドの広さや宝石の落下位置、魔法石の効果に2度消しの可・不可、そしてゲームオーバーの判定まで異なるのですから、アーケード版を未体験だと取っ付きにくい側面もあるでしょう。
 
 『コラムス』はエンドレスモード。数多の続編を生み出した原点で、まともなスコアアタックが可能な唯一の作品です。ただし、メガドライブ版のようにオリジナルモードが選べる訳でもなく、メガCD『セガクラシック アーケードコレクション』版のようにタイトル画面でBGMが流れる訳でもなく、旧機種に勝るのはランキングのセーブくらい。ポーズで宝石が隠されてしまう、特有の難点もあります。
 
 『コラムスII』はフラッシュコラムスと名付けられた、パズルモード。アーケードでの1コインクリアが実現可能とは到底思えない程に、難易度が最悪凶悪極悪です。ランダムな宝石の落下パターンの大半がクリア不能で、それを何十回ものコンテニューで解消しろなんて、パズルゲームとして失格です。バリエーションの増えた宝石のグラフィックは妙に判別しにくく、消したらフィールドが狭くなるガイコツ石は次々に増殖し、徒に時間を引き延ばすだけのボーナスステージは2面毎に挿入され、我慢比べでもさせたいのでしょうか。
 購入日に2時間掛けて20面まで進むも、以後は封印。そこで、設定をイージーにし、宝石を見易くする為にスペシャルオプションを「CAT」にし、途中セーブ不可なので5時間の暇を用意し、いざ全69面制覇に挑戦すると…予定を大幅オーバーした9時間後、エンディングやスタッフロールも無しに、1面と同じ配列の70面が始まりました。唖然。尚、2019年のインタビュー記事で「幻の第70面」が発覚しています。
 
 『スタックコラムス』は勝ち抜き式の対戦モード。送り込みのタイミングを自分で決められるのと、相手の溜めた攻撃力を連鎖で無効化出来るルールが噛み合み、そのゲーム性には独特の魅力があるものの、固い操作性と貧相なグラフィックが災いしたのか、行き付けのゲームセンターからは早々に撤去されて悲しんだものです。コンテニューの有無で結末が変わり、真のエンディングは必見だと謳われています。うん、納得。
 
 『コラムス97』は『コラムス』を改良したエンドレスモード。きらびやかなグラフィックは宝石の視認性を悪化させ、極端に速度を増した連鎖の過程がプレイヤーの思考時間を奪っており、アーケードでの初印象は非常に悪かったです。上級者向けと言うより、インカムを稼ぐ為に意地悪になった感じで。フィールドは広くなり、魔宝石の出現するタイミングを教えてくれ、ゲームオーバーの判定が緩くなり、中休みを兼ねたスタッフロール付きで、根は親切だと後々に気付きました。
 今までは優しく消去していた宝石を、今作では激しく破壊します。そこに素晴らしい効果音と快適なゲームスピードが融合して気持ち良さは倍増、こちらに慣れると動作の鈍い『コラムス』には戻れません。しかし、『コラムス97』はスコアが無い欠点を抱え、5つの観点から評価が下る段位認定も名人になってしまえばそれまでと、『コラムス』の代替品として完璧とは言い難いのが不満です。尚、こうなった理由は「特許対策」とのこと。
 
 落ちものパズル好きには必携だと思いますが、パズルゲームとして常軌を逸した『コラムスII』を踏まえれば、コンプリート欲の強い人にはお勧め出来ません。
 
 
 
 
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