■セガサターンソフトレビュー(シューティング2) |
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■超時空要塞マクロス ー愛・おぼえていますかー |
・ジャンル:横スクロールシューティング ・メーカー:バンダイビジュアル ・発売日:1997年6月6日 ・クリア状況:エンディング(NORMAL & HARD) | ||
1984年に公開された同名劇場版アニメーションのゲーム化。『マクロス』『オーガス』『サザンクロス』は日曜日のお昼にチャンネルを合わせていましたが幼い頃なので記憶が定かではなく、映画もテレビで観た程度と、原作に思い入れを持たない立場からの感想です。 自機のバルキリーがファイター・ガウォーク・バトロイドの三形態に変形するアニメの設定を、どのように再現すべきかの加減が難しいところ。好きな時に好きなだけ変形出来ても使い分けの必要が低ければ無意味で、面毎に固定しては折角の売りを放棄したみたい。そこで選択されたのが、自由に変形可能ながら使い分けはほぼ不必要、ステージによっては強制固定の方式で、良き妥協点だと思います。 ただし、弾数無制限の誘導ミサイルを放ち続けるだけで構わない緩過ぎのバランスに、シューティングの魅力は認められません。攻撃手段のオートサーチ・マイクロミサイル・ボンバーの形態を各2種類から選べるのは戦略の幅を広げたようで、利便性を一方に片寄らせては駄目でしょう。難易度をハードにすれば、自機に対する画面の割合が狭くて敵弾を避け辛い欠点も。『マクロス』と言えば1990年代のアーケードにも獲得点数によりステージをクリアしていく作品があり、そちらは結構面白く遊べたのに。 ゲームオーバー知らずでエンディングに到達した人が少なくないであろう簡単さも、劇場版の追体験に重点を置いて制作されたのでしょうから、演出やムービーの価値さえ高ければ文句に繋がりません。しかし、主題歌が流れる最終面を代表に演出は良好ながら、ムービーが流れるべきシーンの大半が止め絵とナレーションとは参りました。2枚組のディスクの使用量が約21分と約39分では容量による制約とも受け取れず、そもそもこれって流用部分を考慮せずとも1枚で足りる計算に。 シューティングとして三流、アニメーションとして二流で、誉める箇所が見付かりません。ただ、胃を痛くさせるような嫌味は感じられず、TVゲームを最初から最後まであっさりとプレイしたい時には向いています。 |
バルクスラッシュ |
・ジャンル:3Dシューティング ・メーカー:ハドソン ・発売日:1997年7月11日 ・クリア状況:全エンディング&ボーナルビジュアル(NORMAL) ナビ無し+ノーコンテニュー(HARD) | ||
飛行機とロボットへ無制限に変形可能な機動兵器を自機として、同乗した美少女ナビゲーターから声で指示を受けつつ、ポリゴンのフィールドでターゲットを破壊してゆきます。 軽快なレスポンスを筆頭に高水準の操作性、邪魔にならない範囲で飾られたグラフィック、常に明瞭な視界を保つカメラ、三次元に広大でありながら密度も濃い戦場、何時も良好な処理及び読み込みの速度と、このジャンルにお約束な問題を一切有しません。舞台や目的が多様な面構成に、自機の変形と敵機の連鎖爆発による戦略性を取り入れ、数々の巨大ボスは無骨な威圧感を誇示してプレイヤーの破壊衝動を刺激し、シューティングとしての資質も優れます。それでいて攻略パターンに融通が利き、「豪快に攻めたいなら飛行機」「緻密に稼ぎたいならロボット」くらいの遊び方でも咎められず、非常に望ましいゲームバランスだと思いました。 そんな基本を押さえた土壌で花咲くのが、7人の美少女ナビゲーター。マップとレーダーを敢えて不親切にされては、ターゲットの方向を即座に教えてくれるナビゲーションが自ずと大助かりで、喋りっ放しの美声とアニメしまくりのフェイスウィンドウも、驚きに値しました。優等生の後輩・能天気なアイドル・頼もしい上官・謎の幼女等と、プロフィールを見比べて誰にしようかなと悩む楽しみも含み、これが当然の存在になってからナビ無しでプレイすれば、実利的かつ精神的な貢献の大きさを痛感出来るでしょう。 本システムの真の売りは、育成及び恋愛要素。彼女たちとの仲が戦績に応じて三段階で深化し、ナビが詳細になったり、個別エンディングが見られたり、雑談が増えたりします。ただ、レベル1でもナビは十分だし、レベル2でも個別エンディングが見られちゃうし、レベル3でも雑談は数言しか増えないし、ナビゲーター毎の戦績の選り好みが有名無実だし、説明書の記述とは裏腹にご褒美画像の条件と関連しないしで、育む喜びをあまり感じられません。それでも周回プレイの動機付け役は果たせており、想像と現実の落差をさて置けば愛着が持てました。 敵弾の回避は困難な為、回復アイテムの場所を覚えるまでが大変。スコアアタックが熱いはずなのに、永久パターンで台無し。物語性が最終盤のみで感情移入しにくく、首謀者2人の扱いに至っては閉口。本筋のエンディングとナビゲーターのエンディングが、水と油の関係。以上の不満はあれど、ナビゲーションと恋愛を組み込んで3Dシューティングの新しい魅力を創出した、安心品質の佳作ですね。 |
■COTTOn2 |
・ジャンル:横スクロールシューティング ・メーカー:サクセス ・発売日:1997年12月4日 ・クリア状況:全エンディング(EASY〜HARDEST) ⇒攻略ページ | ||
精神年齢5歳の魔法使い兼食欲魔人ナタ・デ・コットンと、かわいそーな18歳の妖精シルクによる、脳味噌爆裂スチャラカアクションシューティング。アーケードからの移植ですが、全然見掛けませんでした。 Aボタンでショットを撃ち、Bボタンでキャッチが出来て、Cボタンで魔法も放て、ここから先がアブノーマル。コマンドショットを繰り出すと敵を封印し、ショットの撃ち込みにより追い打ちボーナスとライフ回復ウィローが出現。封印は新たな敵を巻き込むと連爆になり、連爆はキャッチによってチェーンアタックと化し、繋げていくとボーナス点を獲得しつつ、途切れれば泡ウィローで更に得点になる。通常ショットは3+1種類の属性毎にショット・魔法・封印の特徴が変化し、Aボタンは押しっぱなしで高速移動が可能。色々と詰め込み過ぎで、プレイも画面もごちゃごちゃのはちゃめちゃです。 コマンドショットは暴発を防ぐ為か入力判定が厳しく、手元の全道具を使いこなしたいなら、てんやわんやで上を下への危険が危ない大騒ぎ。なのに、クリアだけなら適当にコマンドショットを撃ち続けるのが早道のバランスは、何だかなーと愚痴りたくなります。全長は短く、クレジットは多くで、コットンの「いっくぽ〜ん」を聞いた時点でエンディングは約束されたようなもの。難易度を上げてクリアすればオプションが増えますが大した内容ではありませんし、ノーコンテニューのご褒美も僅かです。 そこからハイスコア狙いに河岸を変えられるかが、評価の分かれ道でしょう。極限を目指さなければ現場の対応で凌げますし、ランキングに面毎の点数・最高ヒット・最高チェーンと難易度が記録されるのも高ポイント。ただ、それによって得られるのは自己満足だけで、エクステンド・エンディング分岐・隠し特典のフラグ等、スコアに連動する何かを用意すべきでした。 2つしかない自機の性能差が小さい上にデモとエンディングは同じだし、追加要素のサターンモードは敵の出現&攻撃パターン・グラフィック・スタッフロールが変わるだけとは言え、無いよりは良いので加点。コマンドショットと特殊操作の多くを説明書に無記載なのは、敢えて標準としないのが理解不能で減点です。あと、おまけに過ぎない拡張ラムカートリッジへの対応は、生身でも読み込みが早い故に笑って許せました。 |
■ティンクルスタースプライツ | C |
・ジャンル:2D対戦シューティング ・メーカー:ADK ・発売日:1997年12月18日 ・クリア状況:全エンディング(★4 or ★8+ノーコンテニュー) | ||
二分割画面の縦スクロールシューティングで対戦する業界初を謳ったネオジオ作品の移植で、演出強化のアレンジモードとお楽しみ盛り沢山のおまけディスク付。ゲームセンターでは未プレイです。 自分のフィールドで雑魚敵を撃破→相手のフィールドに敵弾が出現の基本ルール以外に覚えるべきは、お馴染みの撃ち込みと弾避けとボンバー使用のみと、目新しいゲームデザインの取っ付き易さがチャームポイント。敵弾を反撃に逆用出来たり、お邪魔キャラやボスを送り込めたり、雑魚敵の編隊を一掃する連鎖消しでブーストを得られたりと、対戦パズル風味の応用ルールは加わりますが、知らずに損せず知って得する要素に抑えており、初プレイからカジュアルに表層を楽しめるでしょう。そして、先手不利のバランスによって我慢合戦を強いられる深層はマニアックでもあり、熟練者ならボスの押し付け合いや処理落ちの制御で、相当な熱戦も望めますね。 ただし、完全分離のフィールドにおける間接的な対戦形式の為、相手が弾避けにミスしなければ絶対にダメージを与えられないにも拘らず、ステージクリアを独力で決める手段が存在しない欠陥が。ほとんど何もしていないのに自爆されるわ、強烈な攻撃を送り込み続けたのに無傷で切り抜けられるわと、CPU戦で納得し難い勝敗が頻発しますから。この不満は超高性能機体と鉄壁アルゴリズムを擁する最終ステージで爆発し、竜馬の躓きをフリーコンテニューで待ち焦がれるしか対策は無いと悟ってしまう程で、ボスを送り込めば1ダメージが確定とか、規定のタイム経過で勝利とか、大胆な改良が欲しいです。あと、激しい攻撃は処理落ちして避け易い分、単発の攻撃の方が恐ろしいのも不条理で、もしや対人戦ばかりテストプレイしたのでは。 何だかんだで、本作の魅力はコミカルファンタジーの少女漫画調を隠れ蓑に、開発者の趣向が弾けたキャラクターで大半を占める為、上記の指摘は野暮かもしれません。なにせ、金髪魔法少女・高露出度幼女・関西弁獣耳女子・褐色生意気小娘・片言日本語眼鏡っ娘・巨乳天然母親と、媚び媚びな設定が女性陣に目白押し。こんな系統のキャラクターと一心同体になって遊びたい軟派ゲーマーの欲求を、よくぞ真摯に取り込んだものです。それでいて画風や台詞回しは万人向けの清涼感を保っており、いわゆるギャルゲーに拒絶反応を起こす人も先入観を捨てれば、この理想郷で幸せになれるでしょう。まずは妙な中毒性を含んで起動の度についつい見てしまう、珠玉のオープニングアニメでパッチテストを。 実のところ、アーケードモードはキャラ絵が下手っぴで漫才デモにボイスも無く、売りのはずのキャラクターを持て余し気味。しかし、本領はアレンジモードとおまけディスクで発揮されており、プレイヤーとキャラクターを繋ぐ架け橋として作品全体の満足度を底上げしてくれました。両要素は他機種版に収録されていないみたいなので、2020年現在でもセガサターン版が最高の『ティンクルスタースプライツ』と言えそうですね。 自機が普通に飛行機だったら本作の評価は…なんて意地悪な見解は浮かびますが、ゲームソフトにとって大切なプレイアビリティも整っており、キャラクターに好感を抱けなくても駄作とはならないでしょう。 |
■GUNGRIFFON II |
・ジャンル:3Dシューティング ・メーカー:ゲームアーツ ・発売日:1998年4月23日 ・クリア状況:エンディング(EASY〜EXPERT) | ||
前作からゲームシステムと時代背景を踏襲し、2人同時プレイ等の別モードやリプレイが備えられ、ユーザーの要望に応える続編に仕上がりました。 大絶賛されたオープニングムービーが消えてしまい、ゲーム画面もどこか淋しくなり、前作経験者は首を傾げたかも。そんな初見の不安を覆すのが、欠点を尽く潰した実際のプレイ感覚。前作でストレスの元となった攻撃命中と敵機撃破の明確化及び、武器選択・ATM自動誘導・僚機による援護・ボム的な支援攻撃の追加により、人当たりが随分と柔らかくなりました。かと言って上級者も無下にせず、天井の高い難易度選択と複数のマップによるサバイバルモードでやり込み欲を刺激しており、幅広い層に受け入れられるべく制作した意志が伝わってきます。 自機と同種の歩行兵器のみならず、果ては対空車両まで全12機種に乗れるのが新たな売り。動きが鈍速な代わりに少々の被弾はどこ吹く風のエレファントも、抜群の機動力と引き換えに装甲が脆弱なスーパーコブラも、別段の取り柄を持たない90式戦車も、慣れ親しんだ方法で同じように操作出来るのは二重丸です。あと、ブリーフィングで流れるベルリン・リリィの厭戦放送なる演出が、状況解説と感情移入に効果抜群で特大の花丸。最初は皮肉たっぷりの明るい口調が、戦局の複雑化に伴い次第に重たくなっていくので、先の展開が気になって仕方ありませんでした。彼女の声を聞きたいが為に実戦で懸命になれたのは、プレイヤーと名も無き主人公が一体化した証拠だと言えましょう。 補給の形態が面倒になり、弾切れの武器にもカーソルが合い、無線と厭戦放送の一部が聞き取りにくく、相変わらずエンディングが簡素で、改悪点の存在と短所の残存は否めません。自分は戦闘エリアから出続けるとゲームオーバーなのに敵はお構い無しなのと、互いが静止中に照準を反応させた射撃ですら命中が確定しないのは修正を求めます。クリア必須な上に、コマンドが複雑な上に、受け付けが2P側のみな上に、起動の度に入力を要求する各種裏技も旧態依然で、技術的な問題よりもくだらない配慮不足が目立つのは勿体無いですね。 ツインスティックへの対応にしろ、2人で操作するダブルシーターにしろ、2人で戦場に出られる協力プレイにしろ、ルールの凝った魅惑のVSプレイにしろ、家庭用としては画期的なLIVEカメラにしろ、今作は恩恵に浴せない購入者が大半な要素への拘りが異様だったりします。特に本体・ゲームディスク・ディスプレイが2つずつ必要な協力・VS・カメラは、楽しめた人がどの程度いるのか疑問です。前作において対戦への対応を発表しておきながら断念した経緯があり、開発陣のインタビューからも相当に力を入れた様子が窺えましたが、上記の指摘を踏まえれば労力の注ぎ方を間違えているのでは。せめてVSだけでも、分割画面やCPU戦で誰もが遊べるように作らないと。 上質な完成形でありながら、悪い意味でのゲームアーツらしさを継承したのが残念です。 |
■SEGA AGES/ギャラクシーフォースII | G |
・ジャンル:3Dシューティング ・メーカー:セガ ・発売日:1998年7月2日 ・クリア状況:エンディング(EASY & NORMAL+ノーコンテニュー) | ||
1988年に登場の体感ゲームで、SF映画『スターウォーズ』のような世界を三次元的に表した、当時のアーケード業界におけるセガの力量が滲み出る作品。セガサターン版で初見かつ初体験でした。 書籍で数枚の止め絵を見ただけで嘆息した程に画面が豪華絢爛で、こんな規格外品を家庭で楽しめる日が来るのだろうかと諦めの気持ちを小学生の頃に抱かされており、起動には小さな緊張感を伴いました。幸いにも静止画の魅力は動画になっても損なわれず、今では廃れた方式での映像表現である点が経年劣化を防いでおり、グラフィックは生誕20年を超えた現在でも通用するでしょう。派手派手しくても下品に陥らない美術センスも然ることながら、6つのステージは火山に雲にとテーマが多彩で、プロミネンスから巨大戦艦まで見せ場が尽きない演出力には脱帽。ただ、移植の具合がわからない境遇がプラスに働いた可能性は、頭から消さないでおきます。 シューティングとしての第一印象は、映像を堪能させる為なのか有り体に言えば無味乾燥に他ならず、ショットは撃ちっ放し・ミサイルは連発・スロットルは適当の、何が面白いのか理解出来ない迷子状態がしばし継続。エクステンドやアイテムが無いばかりか、ダメージを一定量耐えるシールドまで使い捨てなのはシンプル過ぎで、得点でシールドが復活するくらいのフィーチャーは付けるべきでしょう。あと、背後から現れる敵機と不可抗力での衝突が多発しており、レーダーの採用か自機位置の再考が欲しいですね。他に、ゲームオーバー判定用のエネルギーが引き継がれてゆく弊害で、詰まった際に実力とエネルギーのどちらが足りないのか悩ましかったりも。 そんな芳しくない感想が、プレイの継続で次第に変化していきました。ミサイル発射中にロックオンは無理だから撃ち洩らし防止に同時攻撃が重要で、撃破数が上がればエネルギーを加算しつつダメージも減少。スロットルは最高速が理想だが、曲がり角での減速は必須だったり不要だったりするので、速度調整が上手に決まると快感。このように一つ一つのパーツが正しい向きで繋がっており、ゲームシステムの均整が取れていたのです。攻略への努力は必ず報われる運びとなり、各種甘やかし欠如の割にクリアが難しくないバランスは、偶然の産物だとしても理想的でした。 視点を移し、セガサターンソフトのパッケージとして評価を下せば、赤点です。タイトル画面からスタートボタンを受け付けるまでが長い上に、起動とリセットの度にオプションに入らねばキーコンフィグが反映されないバグは、プレイヤーの胃痛を誘う複合技。背景の流れを目測する以外に現在速度を知れず、説明書が不親切な追い打ちもあり、スロットルの仕組みを掴むまでに時間を要したのは私だけではないでしょう。レースゲームみたくアクセルとブレーキの関係なのか、ボタンを押す度に順送りか逆送りで切り替わるのか、未入力が中速でボタンをホールドして高速か低速を選ぶのか、そもそもデジタル的なのかアナログ的なのか、疑問解消に余計な苦労を味わわされました。 追加機能のリプレイは、バックアップメモリーを用いずとも1プレイを全編自動記録してくれる手軽さを、フリーコンテニューと同一化した発想が見事。再生と途中参加を繰り返せば理論上最高の操作を追求出来るので、プレイヤーの腕を問わず有益です。しかし、早送りと頭出しが不可能だわ、ポーズ中にコマンドを受け付けないわ、備え付けのモデルプレイすら同期ズレが起きるわで、使い心地は不合格。リセットや再スタートで勝手にデータが消えるのも、開発者からすればパワーメモリーへの保存が前提なのでしょうが、1600もの空き容量を要求されては容易でありません。空き容量不足に関しては、起動時に毎回「はい」「いいえ」を選ばせるのが面倒なばかりか、その文字の色分けが判別不能で意図せずマルチプレーヤー画面に戻された人も多いかと。 この辺りのらしからぬ低品質の理由は、スタッフロールで明かされます。 |
■ソルディバイド | G |
・ジャンル:横スクロールシューティング ・メーカー:アトラス/彩京 ・発売日:1998年7月2日 ・クリア状況:全エンディング(1人用・2人用・オリジナル/Normal or VeryHard) | ||
長射程のショット・連続攻撃可能な斬り・多彩で派手な魔法を併用して突き進む、1997年の彩京製アーケードゲームの忠実移植とオリジナルモードの2本立て。寺田克也の手掛けた渋き装いの主人公3人が滑らかなモーションを見せ、敵も躍動感に富む巨大なモンスターと、緻密で重厚なビジュアルです。 彩京の作品群では低人気で続編も出ませんでしたが、その原因はゲームデザインの異質さに尽きます。近距離で絶え間無く斬りを決めていき、危険が迫れば魔法で緊急回避が定跡のプレイ感覚は、シューティングよりもベルトスクロールアクションに近く、それが浸透せずプレイヤー層が狭められたのでしょう。参考までに、ゲーマーにとっての予備知識が素直に通用しない新しい作風は、近年だとマイルストーン『ラジルギ』にて通じるものを感じました。 既存の同ジャンルに似た画面構成と操作形態に騙され、遠距離でショットを放つだけでは、高耐久力の敵に次々とダメージを負わされてお手上げになりますが、惜しげ無く出現する各種回復薬と強力な割に制限の緩い魔法の加護で、力押しが通用するバランスに早変わり。ただ、とんとん拍子で進める反作用から緩急に乏しいは否めず、ショットが有効な雑魚を斬りで倒して得点を稼いだり、魔法で瞬殺可能なボスと正々堂々戦ったり、遊び手の工夫で弱点を補ってあげる必要はあります。舞台は独特で魅力的なのに、物語が凡庸なのも減点ですね。 移植度は見た目に完璧ながら雑な部分も散見され、面中の読み込みと斬るタイミングを狂わす処理落ちにストレスを誘われない訳ではありません。同時押し必須だった魔法に専用ボタンを割り当てたのなら、パッドでは入力が成立しにくい斬り上げ・斬り下ろしにも気を回して欲しく、中間デモをスキップすると先手を取られて不利になるのも据え置き。クイックスタートの追加とハイスコアの保存方法で制作センスの高さを窺わせる分、もう一頑張りを開発陣に求めます。 成長・アイテム・セーブを追加したオリジナルモードは、期待外れ。宮殿と地下洞窟を行き来して自キャラを強化するRPG風の作りなのに、全長は上級者なら初プレイでクリア可能な程に短く、成長の頭打ちが早いのとレアアイテムが無い為、狙いが空振りしています。しかも、3人分のエンディングを見るまでに合計6回の帰還で済んだ僅かな所要時間に、不満は多く見付かりました。 死亡のペナルティが厳しいのに帰還用のアイテムが最初から最後まで通過しても出なかったり、鍵の出現率が低くて開かない宝箱が大量に溜まったり、アイテムのストック数が少なくて整理が大変だったり。ストック数は5回目と10回目の帰還で増加すると後に知りましたが、前述通りの実情と合っていません。ただ、元の何倍ものステージに新規のモンスターまで用意してくれた、おまけと捉えれば豪華なのかも。 自分にとって数少ない1コインで1周クリアしたアーケードのシューティングで、ついつい評価が甘くなる点は差し引いて下さい。 |