ドリームキャスト用のブラウザ『ドリームパスポート』は、メジャーバージョンアップだけでも1998年11月から2001年8月までに「2」「3」「プレミヤ」と進化してゆきましたが、ユーザーの要望をちっとも反映しないばかりか、不可解なことに退化の一途を辿った箇所も多々なのが困りもの。中でも「プレミヤ」に至っては、追加機能が不要・既存機能は性能低下・UIの劣化・ダイヤルアップだと回線切断が頻発と、最新かつ最後の改良版を待ち焦がれるドリームキャストユーザーに、セガからの失礼な置き土産となりました。そこで当時の鬱憤を晴らすべく、自分にとっての理想像を実現可能そうな範囲で書き連ねてみます。 ・ホームページの実装 「2」のマイナーチェンジ版「ブロードバンドパスポート」に限って存在。こんな単純で便利な機能を、敢えて付けない理由が不明です。 ・ブックマークのフォルダの実装 「2」以降は全てのブックマークを縦一列に表示しか不可能。「1」では縦横に並ぶので選択の手間は軽い反面、サイト名やURLがカーソルを合わせないとわからない弱点が。結局のところ、多くのユーザーがHTMLやJava Scriptで自分用のリンク集を作って対策としました。 ・メニューのコマンド変更の実装 「3」のブックマークでは「編集する」だったり、「プレミヤ」のLトリガーのメニューでは「ch@b」だったり、カーソルの初期位置が本当に滅茶苦茶で、存在自体が邪魔なコマンドも目立ちます。 ・ユーザー辞書の実装 「2」より電源を切るまでの変換履歴は実装された反面、後は進化どころか「プレミヤ」で大幅に記憶量減少。ユーザーは名前やパスワード等の頻出語を、F1〜11キーによるワンタッチ入力で代用しました。ビジュアルメモリに手動で登録→起動時にオートロード→各変換履歴の最上部に配置の流れで、実装が難しいとは思えません。 ・裏技の標準化 「3」以降に搭載された、ソース表示やコントロールパッドの特殊操作が可能になる、非常に便利な裏技。開発終了間際に実装してデバッグ等の関係で裏技扱いにしたのでしょうが、「プレミヤ」でも起動の度にAボタンを押しながらスタートボタンを連打しなければいけません。 ・高解像度モードの復活 VGAボックス使用向けの表示モード。パソコン風のレイアウトになってウェブサイト制作者に重宝されるも、「1」だけで消滅。 ・処理速度の向上 「1」がシンプルさ故か最速で、ウェイトと化す設定を全てオフにしても「プレミヤ」は及ばず。ドリームキャストによるインターネット接続は通信速度の遅さより、処理速度の遅さがネックでした。 ・テキストエリアの入力遅延の解消 「2」でテキストエリアにおける酷い入力遅延が発生して超絶大不評を買ったにも拘らず、「プレミヤ」でも改善無し。要望を反映しない姿勢の最たるケースですね。 ・フォーム送信限界量の向上 「1」では150Kbyteが限界で、ジオシティーズのゲストブックを編集出来ない事案が多発したのを受け、「2」では倍程度に向上したと思いきや、「プレミヤ」でまさかの50Kbyteに退化。ウェブサイト制作者に痛い足枷です。 ・スタイルシートへの対応 21世紀に入るとブログが普及し、背景=灰色・文字=黒色・レイアウト=縦長一列としか表示出来ないページが増えました。表示出来る内はまだマシで、下に続く。 ・ユニコードへの対応 文字化けで読めもしないページも続出。この頃より携帯電話向け変換やウェブページ翻訳サービスを用い、文字コードを変換して凌ぐ方法がユーザーに浸透しました。せめて、日本語とアルファベットだけでも読めれば。 2011年6月までパソコンを買わずにドリームキャストでインターネットに接続していた奴ですら、こんな風に悪評ばかりが浮んでは消えてゆかないドリームパスポートも、ライバルであるプレイステーション2のブラウザ群との比較では、実用性に勝るとのこと。セガがハード事業から撤退せず、当初のアナウンス通りに半年単位でのバージョンアップが続けられていれば、家庭用ゲーム機向けブラウザの決定版として名声を残せたのかもしれません。 |
|