──2013年──
 
⇒目次 ⇒2012年 ⇒2014年 ⇒表紙
 
  
■1月31日 30年以上知れない常識。
 
 兼ねてより不思議なのが、「情けは人の為ならず」やら「すべからく」やら「檄を飛ばす」やら、これらの誤用について散発的に世の中へ発信され続けているにも拘らず、その当事者であるマスメディアの誤用が止まらないこと。上記の言葉より頻度は低いものの、2年半前に書いた「逆王手」も然りです。新聞・テレビ・インターネットから同じ情報がとめどなく流れてくるのに、どうして物心が付いたばかりでもない大人の誤りが今の今まで修正されないのでしょう。
 
 そんな風に問う者が昨年に受けた最大の衝撃は、自分にとって30年来の常識中の常識の「正午=午後12時」が覆されたことだとか。
 
■2月18日 どっちやねん。
 
 眠気について、寝られない時は温かい飲み物を摂取すべしと言いつつ、起きられない時は熱いシャワーを浴びるべしとも言う。
 
 冬季の室内について、ウィルス対策の為に加湿すべきと言いつつ、結露対策の為に除湿すべきとも言う。
 
 女性の体形について、お腹や太股は揉めば引き締まると言いつつ、胸は揉めば膨らむとも言う。
 
 
 有識者の統一見解を求めたい。
 
 
  
■3月7日 ナップルテール 春。
 
 インターネット接続用端末から家庭用ゲーム機に還元されて1年半以上の、我が家のドリームキャスト。ほとんどの家庭で常時接続が使えない当時に接続者を増やそうとした工夫か、公式ウェブサイトからデータをダウンロードせねば「選べないモード」「使えないキャラ」「見られないグラフィック」を含んだ多数のゲームソフトの存在が、旧機種との明確な差異でした。今で言えば、ダウンロードコンテンツですね。
 大半はアンロックキーだから親切な開発者であれば裏技で解除出来たり、それらのデータを纏めて収録したディスクがあったり、一般ユーザーが管理するインターネット上の配布サービスも未だ健在だったりしますが、今日に欲しいデータを入手出来る可能性は低くて。故に、自分みたくコンプリート欲が強い性格は、初起動の前にダウンロードコンテンツへの対応を確認しなければ安心して遊べません。規定数の通信対戦をこなすみたいな、現在では逆立ちしても実現不可能な条件で諦めざるを得ない時もたまに。
 
 そんな2013年のレトロゲーマーを振り回す引き金となった、ラブリーPOPアクションRPG『ナップルテール』について、次回から。
 
■3月14日 ナップルテール 夏。
 
 前回の続き。『ナップルテール』は坂本真綾と菅野よう子の起用を売りにした2000年発売のアクションRPGで、声優と作曲家らしい2人の名前を知らない自分もキャラクターの可愛さに惹かれました。しかし、直前にプレイした体験版の印象が非常に悪く、その判断を咎めるような評判が後に語られる程の名作でもなかった為、一度離れた気持ちを再び繋ぎ止める機会が訪れなくて。今年に入ってようやく、購入に至ります。
 まずは説明書で、ダウンロードコンテンツの有無を確認。どうやら「パフェットチャレンジ」なるステージの出現には、公式ウェブサイトのhttp://napple.dricas.ne.jp/からアンロックキーをダウンロードしないと駄目みたいで、意表を突かれました。なぜなら、いつかはプレイするはずと発売数年後に、公式ウェブサイトは閲覧したはずだから。まさかの見落としを悔やみつつ、裏技による解除や手持ちの「それらのデータを纏めて収録したディスク」を調べても無駄足となり、もう諦めるしかない──と思いきや、ゲームを所定の手順で進めれば「パフェットチャレンジ」は現れて、頭の中で疑問符が騒ぎます。
 
 実はコントローラーに挿し放しのビジュアルメモリに「NAPPLE_T.DLD」と言う、容量2ブロックでコピー不可のダウンロードファイルが大昔より存在していて。これは当時の公式ウェブサイトからダウンロード出来た、ブラウザで再生可能な坂本真綾扮する主人公の音声ファイルだと記憶していたものの、どうやら意中のアンロックキーみたい。確かに、Rトリガーのメニューからロードが出来ないのと、1分程の音声ファイルがブックマーク1つと同容量で済むはずがないのを、訝しんではいました。最近だと、ドリームキャストからパソコンへの移行が決まり、ブックマークやメールアドレスを整理した2011年の初夏に。
 記憶違いの理由をInternet Archiveに求めれば、ブラウザで聞ける音声ファイルと、アンロックキーのダウンロードが両方存在したと判明。ダウンロードは『ナップルテール』内蔵のブラウザ専用とありますが、実情を踏まえればパソコンへの制限だけだったのでしょう。尚、音声ファイルに限ってはアーカイブに収集されており、パソコンでPC向けを聞くのはもちろん、ドリームキャストでDC向けに接続しても相当な待ち時間を経て、きちんと再生されました。推定十年振りに耳へ届いた雑音交じりのCMは、懐かしくて懐かしくて。
 
 この懐かしさの代償で小1時間を消費させられた、ドリームキャスト本体のトラブルを次回に。
 
■3月21日 ナップルテール 秋。
 
 前回の続き。己が記憶違いに苦笑しつつ、『ドリームパスポートプレミヤ』によるインターネット接続から『ナップルテール』のプレイに移ると、不可解な現象に気付きました。それはオルゴールの音色で奏でられる曲「ポーチ」において、メロディの特定の数音が明らかに鳴っていないこと。ゲームミュージックではありがちな、音源や読み込みを因とした一時的なものとは違うみたいです。
 ケーブル挿抜・ソフトリセット・電源再投入と試し、セーブデータを疑ってビジュアルメモリを挿さずに起動しても冤罪で、ディスクにゴミや傷は見当たらず、数年振りにレンズクリーニングを行っても変化無し。もう他に手は思い浮かばないと、仕方無しに予備の本体を引っ張り出してみれば…うん、ちゃんと鳴る。これで原因は元の本体と確定しましたが、こんな「特定の曲の特定の音のみが鳴らない」なんて不具合、初耳なので素直に納得出来ません。
 
 そもそも、『プレミヤ』でインターネットに接続した直後と言うタイミングは、偶然なのか。何か見逃していそうだと、元の本体で『ナップルテール』のサウンドテストに耳を傾けながら悩んでいたら。さっきは気付けませんでしたが、全ての音がモノラルで流れているような。そこで『ナップルテール』の音声出力の設定を確認したらやっぱりモノラルで、普段通りのステレオに戻して「ポーチ」を聞き直せば…うんうん、ちゃんと鳴る。
 今件の真相は、『プレミヤ』のシステムデータがあるのは別のビジュアルメモリ→挿し直すのは面倒→新規のシステムデータから効果音・画像・音声ナビ等の設定を変更して対処→意図せずに音声出力の設定までステレオからモノラルに→本体の設定が『プレミヤ』に準じて変更→『ナップルテール』の設定も本体に準じて変更→「ポーチ」にはモノラルだと特定の音が鳴らないバグが存在、となります。この曲は流れる頻度が高いからきっかけになっただけで、同現象は他曲にも潜むかもしれませんね。
 
 6種類のエンディングと351枚のカードをコンプリート後、上辺だけ楽しむつもりで挑んだらハマってしまったスコアアタックについて、次回に。
 
■3月28日 ナップルテール 冬。
 
 前回の続き。ドリームキャストではセーブデータをアップロードし、スコアをネットランキングに登録出来るゲームソフトが少なくなく、『ナップルテール』も該当。そこで、Internet Archiveに残る2006年時点のハイスコアと、自己記録を照らし合わせてみました。発売当時からやり込み中の上級者から見れば低次元でしょうけど、2013年に初プレイの自分は古い記録の方が公平な競争を望めます。
 
 
●ザ・ワイルドウインド
1位…313000点 08:05 187枚
自分…343600点 08:40 191枚
 
●ワンダーベッド
1位…468650点 07:09 192枚
自分…497950点 06:55 200枚
 
●アジサイ
1位…263950点 07:57 190枚
自分…363200点 06:34 182枚
 
●ワンス・サマー
1位…294200点 06:39 198枚
自分…317600点 05:31 184枚
 
●フェスティバルナイト
1位…107150点 09:29 184枚
自分…168300点 08:46 189枚
 
●レッド&ゴールド
1位…173800点 06:10 189枚
自分…343550点 05:41 183枚
 
●セシルの秘密花壇
1位…168550点 08:11 186枚
自分…209400点 08:44 178枚
 
●うめき井戸
1位…228850点 06:28 193枚
自分…239300点 05:17 173枚
 
●フィヨルランド
1位…152150点 10:24 132枚
自分…157550点 09:42 134枚
 
●氷月の雪回廊
1位…186050点 03:59 148枚
自分…241000点 07:09 191枚
 
●パフェット・トライアル(パフェットチャレンジ)
1位…371100点 04:24 155枚
自分…479150点 04:41 185枚
 
 ユーザーのインターネット接続率は3割と公表されていた当時、数十万本売れてネットランキングも盛り上がった『ソニックアドベンチャー』や『シェンムー 第一章』とは異なり、廉価版を含めても販売本数が約1万本の本作。ハイスコアへ真剣に取り組んだプレイヤーは少数らしく、以上のステージは各数回通せば1位を上回れました。
 
 
 以下は1位を諦めたステージ。他作と違ってID毎の管理をしていない為、同一人物のスコアが幾つも並んでしまっており、自己順位は人単位で。
 
●ニューイヤーズ・デイ
1位…747750点 03:15 200枚
自分…737600点 04:18 200枚⇒2位相当
 
 全てのコインをコンボで繋げており、仮にタイムを短縮出来ても1秒=50点なので、どこで点差が開いているのやら。
 
●クリスタルパレス
1位…567900点 05:14 200枚
自分…407250点 07:40 191枚⇒2位相当
 
 正攻法だと300000点がやっとで、コンボを繋げる為に上階から落ちて季節の穴に飛び込む荒療治で対抗しても駄目。タイムとコインを見比べば、この攻略手段が誤りなのは明白です。
 
●スコア・アタック
1位…822300点 01:50 200枚
自分…819900点 02:10 200枚⇒4位相当
 
 このステージに限ってはハイレベルな成績が集まっており、こちらも録画をチェックしつつ計10時間は挑みましたが、僅かな点差に潜む絶望的な実力差を痛感。時間停止をあと1回使わねばならないのはわかるものの、他との兼ね合いで難しくて。
 
 
 スコアランキングに「如月 弥生」さんがいて、同じハンドルは珍しくないとは言っても時と場所が合わさった偶然に、ここの「如月 弥生」さんはびっくりしつつ。『ナップルテール』本編への言及はおしまいとし、少し触っただけなのに購入意思を覆した体験版について、次回に。
 
■4月4日 ナップルテール 戻る時。
 
 前回の続き。当時の自己判断を再確認すべく、その体験版を十年以上振りにプレイしての、メモを下記。まだまだ開発段階のバージョンで、「タイトル画面で『しっぽのうた』のフルコーラスが」「オープニングが簡素で即チュートリアルに」「吹き出しの背景色が金色と赤色のみ」「効果音が少ない」「街でポリゴンの当たり判定が厳しくて移動しにくい」「キラカードではなくレアカード」「ゲームオーバーになってもその場復活」「ボス戦専用のゲームオーバー画面無し」や、「進入禁止区域に漂うトラップ」「昇降機から下りられなくてリセット」等々、製品版との差異やバグが目立つのはさて置き、以下の2点に注目を。
 
 
・イカを倒した時のポーチの台詞が酷い
 製品版は「さよーならーー!」「夏はかえしてもらうねー」なのに、「……さよならー」「やーい、やーい!えらそーなこと言ったくせに負けたじゃないかー」「このばかイカー!!焼きイカにして食べちゃうぞ」と、笑顔で手を振りながら。ストレイナップも「ポーチさんは本気デス。とっとと逃げたほうがいいデスよ〜〜」とのこと。本作のシナリオを手掛けた門倉直人氏が言う、「最初は、もっとぶっとんだ会話してたけど」の一つですね。
 他の大きな台詞違いとして、ストレイナップの家に初めて案内された際に、店名を見て「はて、どこかで聞いたことがあるような」との返しが。製品版ならばオープニングムービーにリアルワールドの「13ICE」らしき看板が見えますが、体験版ではオープニングムービーが流れないので、元ネタの「サーティーワンアイスクリーム」を踏まえたメタフィクションでしょうか。
 
・クリアが超困難
 詳細は覚えていないものの未クリアなのは確実で、単純に印象が悪くて放り投げたのかと思いきや、収録ステージの「アジサイ」「ワンス・サマー」の内、後者の最終盤において必要な2つの足場が存在せず、ゴールに辿り着けません。スイッチや昇降機の見落としを徹底的にチェックした上での結論で、これがクリアまでプレイを続けられなかった原因なのかも。
 クリアが不能ならば上記のイカも出て来られませんが、体験版では活用の場が無いにも拘らず、大量のアイテムを含めてパフェットの合成システムが入っているのを利用し、製品版でレシピを確認→体験版でキッキュの合成は無理→ブリジーノなら可能→岩場のギリギリに橋→橋のギリギリからジャンプ→ギリギリで2段ジャンプし、何とか渡れました。ただ、シビアなタイミング勝負が三連発な上、その場復活制のせいでブリジーノの使用回数が切れたらリセット必須と、クリアは製品版体験者でも一苦労です。
 
 
 おまけの話を、次回に。
 
■4月11日 ナップルテール 進む時。
 
 前回の続き。2個の小ネタと2枚の画像を。
 
 
・ガンバットの効果
 「使用中はスコアの加減算が2倍に」は不正確で、コンボボーナスに限り4倍になります。
 
・音符集め
 このイベントは無視しても、ボス戦直前のシーンが「ジャンプが少しシビアに」「通常のBGMが鳴らない」と変化するだけだったり。
 
ナップルテール 体験版
 
 体験版をクリアした時のご褒美画面で、製品版では見られない特別感が花丸。でも、ここまで辿り着けたプレイヤーは前述の事情から、極少数でしょう。
 
ナップルテール クリアファイル
 
 裏面はアートカードの55番と同一な、販促用のクリアファイル。これは2006年、セガ公式サイトのコンテンツ『杉リンのビビビカメラでズババババーン!』で開催された「クイズ セガリアンは誰だ!?」にて、賞品とは別個のおまけの一つとして頂けました。とても見栄え良いデザインで、使うのは勿体無い感じを受けます。
 
 
 2ヶ月間で約80時間をプレイし、色々な話題を提供してくれた『ナップルテール』について、これにて一区切りです。
 
 
  
■5月14日 野球の同音異義語。

  • 球の「ボール」と、ストライクに対しての「ボール」
  • 四球の「しきゅう」と、死球の「しきゅう」
  • イニングの「回」と、日常的意味での「回」
  • 捕手の「リード」と、走者の「リード」と、点差の「リード」
  • 本塁の「ホーム」と、動作の姿勢としての「フォーム」
  • 変化球の「シュート」と、遊撃手の「ショート」
  • 上記の「ボール」と、反則の「ボーク」
 
 こんなにも紛らわしい言葉が存在して尚、ラジオと相性が良いスポーツだと一般的に言われているのを、少し不思議に思いつつ。春から秋に掛けては昔々と同じく、今でも携帯ラジオでプロ野球中継を聞いています。
 
■5月28日 ジオシティーズ報告書。
 
 1999年にドリームキャストでウェブサイトを作り始めて以来の付き合いな、この無料サーバースペースのジオシティーズに今月、良き変化や悪しき事件が連続発生しました。
 
 
・無料会員の使用可能容量が50Mから100Mに増加
 今や無料でも100Mはあまりに小さな数値とは言え、昔はほんの4Mしかありませんでした。イラストや写真をコンテンツの中心に据えたら、瞬時に尽きてしまいますね。尚、2009年11月4日分には2Mだった自分の使用量は、 不可抗力の移転で二つのサイトを合体させた効果が著しく、今は7Mに肥大…うん、テキストばかりで100Mは遥かに遠い。
 
・縦長と横長から選べる広告表示の内、後者が下部にも
 横長はセガサターンBBSライブラリィで選択。今回は改悪無しの縦長だって、以前からアナウンスを一切しないままに表示範囲が拡大していますが、広告に貪欲過ぎて「ドメインが○○○だからアクセスしない」とまでの拒否反応すら生じさせがちな同業他社と比較すれば、未だ良心的かと。
 
・IDが2200万件、パスワードが148万件流出
 ジオシティーズに限った話ではない、大本のヤフーが大騒ぎの大問題。幸いにも自分の4件のIDは全て対象外でしたけど、当初はパスワードの流出は無しと発表されており、安心は出来ません。
 
 
 何だかんだで、サーバーを借りて個人で作るウェブサイトと言う括りが失われつつある時勢に、ジオシティーズはサービスの継続意思を表明してくれており、利用者にとっては心強いのです。
 
■6月15日 インターネットベガ終了。
 
 2009年4月18日のウェブログにちらりと書いた、地域密着プロバイダについて。ドリームキャストの購入と同時にインターネットへ導いてくれるセガプロバイダが、数ヶ月の無料期間延長を経て1分5円の有料となるのを前に、「市内にアクセスポイント」「月3000円程で使い放題」「銀行引き落とし」「オンラインサインアップ」に対応のプロバイダを探し、そこへ辿り着きました。セガプロバイダと関係が密接なぷららへの乗り換えを本来は希望していたものの、当時は公式掲示板で苦情が出る程に入会希望者向けの電話が繋がらず、クレジットカードを持たざる者は選択肢が一気に狭まってしまう時勢もあり、急いで決めざるを得なかったのです。
 速度が28.8Kbpsに落ちるとは言えど上記の条件を満たし、特に入会申請終了で接続が即可能になった「オンラインサインアップ」には、ユーザーを随分と信用した仕組みだなとびっくり。ただ、実際にはセガプロバイダがまさかの無料期間再延長を表明し、地域密着プロバイダとは最初の3ヶ月契約が終了した時点で解約しました。つまり、セガプロバイダがメンテナンスやトラブルの時の保険だけに、約2万円の出費也。
 
 そんなお付き合いをしたインターネットベガが、2013年6月にサービス停止及び営業終了とのことで、昔のよしみで1年に1度は現状を見守ってきた者として感慨深いです。有名なプロバイダさえ無数に消えていった中、今の今まで名前を残したことが凄い。更に、自分が初めてアクセスした1999年3月と比較しても、公式ウェブサイトの内容がほとんど変わっていないのが、物凄い。
 
 
  
■7月13日 Internet Explorer 10.
 
 Internet Explorerが9から10へ勝手にアップグレードして、非対応のウェブサイトが多いやらクラッシュし易いやらと、散々な感想が巷に溢れていますが。2年前までドリームキャストでインターネットに接続していた、極めて異常な立場の自分に特有であろう困ったことが2つ。
 
 
・オフラインエディッタで不具合発生
 ドリームキャストでウェブサイトを制作したい人向けのオフラインエディッタを、未だに愛用しています。これでプレビューと同時にウィンドウ内が無反応になってしまうと同時に、クリップボードが消去される事態が頻発。やがて、プレビューした際に相対パスの関係上、存在しない外部のスタイルシート用ファイルを読み込むのが原因と突き止め、ここを適切に修正すれば大丈夫だとわかりましたけど、余計な手間を強要されてイライラです。
 
・空白行が消滅する
 ウェブページに空白行を入れたい時は、「<br><br>=改行タグ+改行タグ」や「 <br>=半角スペース+改行タグ」だとInternet Explorer5では反映してくれないから、「 <br>=全角スペース+改行タグ」と記述しましょう──そんな知識を得てから約15年間も守り続けてきたにも拘らず、Internet Explorer10では「 <br>」を反映しなくなり、ウチを含めて少なからずのウェブページから空白行が失われ、大変読み辛くなってしまいました。しかも、なぜか「<br><br>」と「 <br>」なら反映するみたいで、何だか莫迦にされた気分です。以上の理由により、下記のお願いへと繋がります。
 
 ⇒Internet Explorer 10でご覧の方へ
 
■8月1日 電子書籍化に不向き。
 
 人生最大の後悔と言えば、1986年から1991年まで本誌・別冊・増刊号と欠かさず購入した、漫画雑誌のコロコロコミックを捨ててしまったこと。うん、半分冗談ながら半分本気で。定期購読を止めたと同時に全部を処分したら、大人になって再読願望が高まる一方で、軽率な当時の自分を叱りたいのです。未来の己の為に必要そうなページは切り抜いておこうと、どうして慮れないのでしょう。
 小林たつよし『獅子王伝』みたく本誌の連載作品のコミック未収録分や、坂井孝行『ロボット先生ソーセキ28号』みたく別冊に掲載の読み切り群も捨て難いものの。取り分け再読願望を強める存在が、主に増刊号で発表された「藤子不二雄賞の受賞作」です。これの情報は何が原因か、今も昔もインターネット上だと受賞作は粗筋どころか一覧との照合すら絶望的で、Wikipediaもあまり頼りになりません。そんな後悔を帳消しにすべく、昔のコロコロコミックが一気に電子書籍化されたらと期待しているので、小学館はどうぞよしなに。以下、記憶に残る作品を。
 
・時浦兼『かがやけ!太陽のマユ』
 「四の五の」と言う表現を初めて覚えたり、ヒロインの大胆な着替え姿にドキドキしたり。
 
・じぃぺん『山のくまさん』
 ゴールドラッシュ時代のアメリカが舞台で、素朴な絵柄と詩的な物語だったような。
 
・鈴木伸彦『アンドロポリス』
 受賞時、滅多に出ない「入選」なこと以上に、「エッチだけど下品ではない」との論評が、小学生に刺激的でした。ただ、同賞出身漫画家・樫本学ヴ『刑事ボットB.B』と、記憶が少し被っているかも。
 
 あと、「夜の校舎を前に、男子に宥められつつ、首を伸ばして泣く女子のろくろ首」と言う一コマを覚えており、久間正昭『さとる×2』が時系列なら当てはまりますが、題名と内容が合致しないので保留としました。
 
 
 ここでようやく、閑話休題。別段の理由無しに、電子書籍に不向きな作品とは何かを考えてたら、泡坂妻夫『しあわせの書 迷探偵ヨギ ガンジーの心霊術』『生者と死者 酩探偵ヨギ ガンジーの透視術』が究極──そう思い付いたのが、この日記のきっかけでした。
 
■8月22日 IE10+name+table.
 
 7月13日分に続き、Internet Explorer 10で発生する不具合を見付けました。<a name>でページの特定の行にリンクを指定した際、それが <table>の中であれば一行下に飛んでしまいます。CSSに完全非対応のドリームキャストで制作してきた我がウェブサイトは当然、レイアウトを構築する為に全ページが上から下まで<table>の中にあり、修正は不可能。これもまた、互換表示をオンにしたらきちんと動作しますけど、こんなややこしいことにどうしてなるのやら。
 
 以上の理由により、下記のお願いを更新しました。
 
 ⇒Internet Explorer 10でご覧の方へ
 
 
  
■9月18日 プチ将軍/メールチャム!
 
 タイトル:プチ将軍じゃ。
 
 かーっか喝!ヨがプチ将軍であるぞよ。よう来た。よう来た。くるしゅうないぞ。そうか、○○ともうすか。そなたのことはしかと覚えておくぞよ。ヨはプチ将軍が好きじゃ。

 
 
 これはドリームキャストユーザー向けのセガ公式ウェブマガジン──dricas.comにおいて、架空のキャラクターとメール交換を無料で楽しめるコンテンツ『メールチャム!』を、1998年に1回だけ利用した時の返信。名前通りな設定の「プチ将軍」に対しての送信は「好きな戦国武将は誰ですか?」で、自動返信やテンプレートとの予想を裏切る素敵な切り返しが、今でも少し笑えます。
 その仕組みは皆に不思議がられましたが、担当者がキャラクターに成り切って本当に返事を書いていたのでしょう。キャラクターはアニメ風(ジェットガールズ)や美少女ゲーム風(ラズベリーフォー)のような男性向けが当初は多く、中期からサブカル風(シグナルキッズ)やアメコミ風(アストロシスターズ)な一般向けの他、完全に女性向けの新企画(カウントダウンサバイバー)も盛り込まれ、約20人の大所帯に。当時のドリームキャスト専門誌やセガ伝言板を見れば局地的大人気と言った印象で、dricas.comの消滅後も有料サービスとして一部が存続したものの、淋しくも現在のインターネット上には痕跡が僅かに認められるだけです。例えば、ドリームキャスト用のビジュアルメールソフト『ドリームフライヤー』で使う、ダウンロードアイテムのページとか。
 
 ドリームキャストでインターネットを楽しむ際に辛いのが、ローカルへの保存が不可能同然なこと。ゲームソフトのデータセーブと兼用のビジュアルメモリは容量128Kバイトで定価2500円と、テキストメールすら満足に手元へ残せない状況は永遠に改善されず、ビデオテープへの録画が推奨されました。それが今回、プチ将軍からのメールを15年越しで転載出来た理由です。
 
■10月13日 留守番君/メールチャム!
 
 タイトル:MailChum!からのお知らせ。
 
3月22日からのスケジュール。
→JetGirlsの5人組
 みんなの応援メールに励まされて、元気いっぱい!
 4月も期待してて!
 
→プチ将軍
 家来の中間報告は近日行います! もっともっと普通
 のメールも送ろう!
 
→ラズベリー4
 ひよりが誕生日だよ。 似顔絵送ってあげてね!
 
→元気いっぱいのBOYS集団シグナルキッズ
 いよいよメール受付開始! 仲間になろうぜ!
 
※この(お知らせ)メールはMailChum!の
ユーザーにお送りしております。
 
〒150━8681
東京都渋谷局留
ドリキャス編集部 「MailChum!」係

 
 
 前回に続いて『メールチャム!』における、今度は「留守番君」からのお知らせメール。このように『メールチャム!』はメールを実際に交換するキャラクター以外に、皆のスケジュールを管理する「マネージャー」やマナー違反者に警告する「ポリス」等と裏方のキャラクターが数人おり、そちらでもメールを受け付けていました。今となっては当時の実情が知りにくい『メールチャム!』について、こんな風に自分の手元に残された小さな記録をここに記しておくことは、いつか誰かの役に立つのでは。
 
 
  
■11月24日 DCのセキュリティ。
 
 ドリームキャストでインターネットに接続する数少ない利点は、コンピューターウイルスの心配が皆無なことで、当時はパソコンユーザーからも「怪しいページを見たい時はドリームキャストで」なんて声が聞かれました。そんな中、唯一と言えるネットワーク上のセキュリティの問題がウェブログの休止時にちらりと書いた、「ネットゲーム『ぐるぐる温泉』の名刺交換を悪用したセーブデータ上書き事件」でしょう。
 正式名称『あつまれ!ぐるぐる温泉』は1999年9月に発売の、オンラインでチャット・大富豪・麻雀等が楽しめるセガのゲームソフトで、定価4800円也。サーバー利用料として300円/月が掛かるとか、ユーザーの回線はほぼ全員がダイヤルアップだとか、利用料の支払いに必要なウェブマネーを購入する方法すら限られていたとか、今とは別次元なくらいにインターネットを取り巻く環境が不便にも拘らず、同時接続数が連日2000人以上を記録しました。また、販売本数は約8万本と中堅クラスながら、半年後に配布された新ブラウザへ簡易版が搭載された為、ドリームキャストユーザーにおける体験率は相当高いと思われます。
 
 本作は利用者同士の交流に重点が置かれ、アバターや戦績が記録された名刺を交換する機能が備わり、試合終了後に皆で交換してゆくのがお決まりでした。これは本当に無警戒で行われており、初めてさんと試合をしてそのまま退室したら、初期ではマナー違反と捉えられていた程かもしれません。
 しかし、「本体に登録されたメールアドレスも自動的に交換」「メールの添付ファイルでセーブデータを送信可能」「添付ファイルは如何なる形式でもメモリーカードに保存しないと再生不可」「本作のセーブデータはメモリーカード1つに1個」「セーブデータの上書き保存時の警告が不十分」の仕様が重なり、名刺交換の相手からメールで本作のセーブデータが届く→何気無しにメモリーカードに保存→自分のセーブデータに上書きと言う悲劇が、複数人に発生した模様。これは仮に善意で送っても起こり得る事例とは言え、セガ公式のメールマガジン『Daily DC News』にて注意喚起されており、悪意で行った人物がいるようでしたね。
 
 余談として、10年以上前で取り上げている「ことり占い」は、本作に収録された本格的な占いモードなんです。
 
■12月27日 モデムのリダイヤル規制。
 
 ドリームキャストでインターネットにデビューして間も無い1998年12月から半年程の記憶で強烈なのが、6年前に「セガプロバイダ」で書いた、アクセスポイントの凄まじいビジー率。この平均1時間の苦行を少しでも短縮したくて、モデムのリダイヤル規制の回避を実践した人は多いはず。ドリームキャストに限った話ではありませんけど、TVゲーム機は特殊な環境故にパソコンユーザーよりもプロバイダを乗り換えるハードルが高い分、悩みを改善しにくかったんですね。
 これは特定の電話番号には3分で3回までの発信しか出来ない法的な決まりで、流れはアクセスポイントに発信→ビジーで接続せず→発信→ビジー→発信→ビジー→数分間の規制となります。面倒だけど電気通信云々の法律なら仕方無し…と思いきや、「特定の電話番号」の末尾に数字を一つ加えれば、発信は「特定の電話番号」だがモデムは「別の電話番号」と扱い、規制に引っ掛からない──そんな昔ながららしきテクニックが、セガ伝言板で幾度も紹介されていました。接続への挑戦回数が若干増えるだけで大きな効果を望めないとは言え、自分だけの特権ならばアクセスポイントを奪い合う見知らぬライバルたちに有利なのは確かでしょう。
 
 当時は他に、ビジーを乗り越えられるまでの退屈を黙って過ごさず、セガサターンのゲームソフトをプレイするのが個人的対策。AVケーブルの音声はドリームキャストを、映像はセガサターンを繋ぎ、セガサターンを目で遊びつつもドリームキャストの状況も耳で、同時にチェックしていました。我ながら有効な時間の使い方だと、自画自賛しつつ。
 
 
 
⇒目次 ⇒2012年 ⇒2014年 ⇒表紙