──2006年──
 
⇒目次 ⇒2005年 ⇒2007年 ⇒表紙
 
  
■1月4日 後ろ向きな抱負。
 
 新年あけましたおめでとうございました。今年も変わらず、華も実も備えたサイトが百花繚乱するワールドワイドウェブの隅っこで細々と更新していきますので、よろしければお付き合い続けて下さい。
 この挨拶、去年と一緒です。去年は去年で一昨年から流用してたりして、リサイクル精神もここまで徹底しては考えもの。
 
 最低でも2日置きにアップロードしていた日記、今年は更新頻度を落ち着けます。他の自サイトを更新する為の時間を捻出したい面もありますが、文章にして伝えたい感情が次々に浮かんでは書き表していた当初と違い、最近は自分で決めた日付の戒めに追われて内容が薄過ぎるからです。優先すべきは中身であり、締切ではありませんでした。
 
 更新頻度が落ち着いても、どうかよしなに。
 
■1月6日 Mー1グランプリ全貌。
 
 昨年末の予告通り、Mー1グランプリ2005の感想を切々と。2002年2003年2004年もあります。
 
 
・笑い飯
 まさかの大ハズレをしでかした昨年の反省が活かされるか、期待半分不安半分。後半の歯切れ良い畳み掛けはそこそこでしたが、振りが長い割にオチが弱い前半のせいで、笑う意欲が冷めてしまいました。もっと流れを大切にして欲しいです。70点。
 
・アジアン
 決勝に残れなかったイシバシハザマを新人賞レースで蹴落とした実績のある彼女たちですが、女性コンビにありがちな貶め言に終始した時代遅れの笑いしか持ち合わせが無い上に、今回は十八箱のネタで失敗が多くて問題外。今は亡き高僧・野々村のごとく、性別を超越した若手女性漫才コンビはいつになれば現れるのでしょう。55点。
 
・南海キャンディーズ
 アジアンと同じく安易なネタに走ってしまい、本来の持ち味が失われてしまいました。でも、今年は全国ネットのテレビ番組に出突っ張りだったから、精一杯なのかもしれません。60点。
 
・チュートリアル
 毎週聞くラジオ番組のタイムスケジュールの関係で、彼らの声の断片が耳に入る機会が多かったのに、口元を緩まされた経験は一度もありませんでした。たまにネタ番組で見掛けても同様で斜に構えていたら、先入観を覆して破顔する自分にびっくり。イケメンの迫真の弾けっぷりと、テカテカの戸惑い含有量の高いツッコミが花丸。トーマス・マッコイ。87点。
 
・ブラックマヨネーズ
 毎週聞くラジオ番組のタイムテーブルの関係で以下同文、ただし、こちらはリスナーの耳を惹き付ける魅力がありました。また、関西のマスメディアから伝えられる下馬評も非常に高かったものの、互いのコンプレックスを刺激し合うだけの十把一絡げなネタしか自分が知らなかった為、事前評価は低かったです。しかし、WボケならぬWツッコミを明後日の方向に飛ばす様に加え、笑いの度合いを相乗効果で増幅していく構成にうっとり。あと、ツッコミの得意技「ヘイヘイオーライ」を出さなかったのも賢明。85点。
 
・品川庄司
 予想と寸分違わず本当に寒い…あれ、意外にいけるかも…ゴメンなさい、飽きました。熱演が実らなかった原因は、相次ぎ放たれるツッコミに笑いのかけらも込められていないこと。65点。
 
・タイムマシーン3号
 安田大サーカスのHIRO君くらいの巨漢ならともかく、ボケの体格が中途半端。それがネタの根幹なので、感情移入出来ないまま素通りしていった印象。来年までに頑張ってもっと食べて下さい。65点。
 
・麒麟
 何度か見たネタである個人的な事情を除いても、田村が実演・川島が影アナの形は構成もボケもワンパターン。その代わり、合間に挟んだ小喧嘩は可愛いらしかったので高評価。オチは内容も決まり方も普通に感じました。70点。
 
・千鳥
 敗者復活で見参。2003年と2004年は1番手で、今年はトリと、登場順で目立つことに掛けては他の追随を許さないコンビです。あと、ネタの選択に失敗するのも得意中の得意。後半のボケ倒しは尽く不発に終わり、わざと優勝しないように振る舞っているとしか思えませんが、過去の悲惨な戦績からすれば最高の出来ではありました。75点。
 
 
 最終決戦進出は得点上位からブラックマヨネーズ・麒麟・笑い飯となり、如月さん評価のチュートリアル・ブラックマヨネーズ・千鳥から離れた結果に。
 
 
・麒麟
 自分たちの可能性を閉じ込めていた殻を破り、プライドを投げ捨てて挑んだ入魂のオチは、不幸にも逆効果。その反面、あの緊張感に包まれた大舞台で客席に的確な対応が出来たのは、本来すべき評価とは無関係な事柄ですが感心しました。68点。
 
・笑い飯
 Wボケで色々などうでもいい悩みが登場するのかと予想させて、ハッピーバースディだけで膨らませてやり抜いたのが凄い。ボケに対するツッコミの間隔が短過ぎて笑いを途中で掻き消されたり、最初の「ツトム君」が最後の「プレジデント」の伏線でないのが惜しかったです。もう一押しあれば。80点。
 
・ブラックマヨネーズ
 ツッコミの方がボケよりもピントが外れた台詞を怒鳴り、自然な流れでWツッコミと化す構成は決勝戦から踏襲。出だしは緩くてのほほんと眺めていましたが、次第にテンポが早まって話題が格闘技から熊に飛躍した時には参りました。85点。
 
 
 最終審査は笑い飯の3票に対しブラックマヨネーズが4票を獲得し、関西圏での下馬評通り優勝を飾りました。でも、彼らが全国ネットのテレビ番組でフリートークやコントをしている姿を想像出来ないのって、決して如月さんだけではありますまい。今年の12月頃、この発言は撤回されるのでしょうか。
 それはさておき、敗者復活にも選ばれなかったイシバシハザマですが。神宮球場からの中継では抜群の立ち位置で画面に映り込んでいたので、彼らにとっては有意義な時間を過ごせたのではないでしょうか。次は期待してます、数日後の『オールザッツ漫才』で晒した醜態は見なかったことにしますし。
 
 余談。出囃子前のコンビ紹介が上半身裸なのは、約10年前に同局で放送されていたランキング形式のネタ番組『すんげーベスト10』のオマージュ…?
 
■1月9日 戌年にはこのイラスト。
 
 何時ぞやにも書いた通り、年賀状は毎年決まって手描きのイラスト。その題材は干支を完全無視して本の表紙やCDのジャケットから、絵心に見放された者でも描けそうな女の子の絵を拝借し、色鉛筆で模写します。模写のはずなのに誰とも似付かない仕上がりになるのもしばしばですが、それは如月さんの指先が醸し出す持ち味に他ならないので、決して責めないで。
 ここ5年間の題材と資料を振り返れば、2005年はTVゲーム『だいなあいらん』の説明書から、2004年はコミック『苺ましまろ』のカバー見返しから、2003年はCD『まなもぉん』のジャケットから、2002年は児童書『魔女の宅急便』の背表紙から、2001年もCD『まなもぉん』のジャケットから。そして2006年に選ばれたのは、TVゲーム『仙窟活龍大戦カオスシード』の設定資料集。1999年の発売当時に購入したら、高価な割に内容が薄くてあまり目を通さないまま本棚に飾られていたのですが、ふと読み直したのが幸いしました。
 
 鉛筆で下絵を描き上げると出来も良く、準備万端になったのが11月の下旬で、実際に作り始めようとしたのが12月の下旬。そこまでは順調に推移していましたが、いざ作業に取り掛かろうとした瞬間に意外な情報が飛び込みました。2006年の干支はどうやら、戌らしいと言うのです。
 如月さんにとって戌年には、特別が意味がありました。この干支が巡ってくる時は絶対にあのイラストを描こうと、遠い昔から心に秘めていたんです。この機会を逃すと12年も待たないといけませんでした、危ない危ない。そこで予定は急遽変更、下書きが放棄された代わりに新たな資料探しが始まり、最終的には干支に関係する男性のイラストを描いた、自身にとって珍しい年賀状が仕上がりました。
 
 そんなこんなで、2006年はアニメ『名探偵ホームズ』のフィルムコミックから。
 
■1月15日 かるたクィーン目指して。
 
 ふと、小倉百人一首を覚えようと思い立ちました。正月になると紳士淑女がこぞって嗜むことで、有名で高尚でハイカラな遊戯です。
 
 今まで興味も無ければ遊んだ経験も無くて当然、知識の持ち合わせは微塵です。何せ、小野小町の「はなのいろは うつりにけりな いたづらに」までは知っていても、下の句はあやふやなくらい。大の大人がこんな体たらくではいけません。
 善は急げとその手の文庫本を購入したのが、去年の12月8日。知識が真っ白な状態から100首を記憶するのは大変でしょうが、無理せず無茶せず1日1首ずつ確実に覚えていけば、ちょうど気候が穏やかになる頃には完遂出来ます。三十一文字に作者名を足した数を24時間で割ったら…1時間当たり2文字以下の計算で、これなら余裕ですね。
 
 現在、如月さんが暗唱可能な和歌は以下の通り。
 
 
天智天皇「あきのたの かりおのいおの とまをあらみ わがころもでは つゆにぬれつつ」
持統天皇「はるすぎて なつきにけらし しろたえの ころもほすちょう あまのかぐやま」
柿本人麿「あしびきの やまどりのおの しだりおの ながながしよを ひとりかもねん」
 
 
 今日の日付が2005年12月10日でないことに、動揺を隠せません。
 
■1月22日 見知らぬ人の葉書。
 
 読み掛けの本に、栞を挟んで一対。
 
 根気の持ち合わせに乏しい如月さん、本に目を通す時は1日で読み切ることも1冊に集中することもありませんから、便利な栞は欠かせない存在です。そんな大切な役割を10年以上前から担い続けているのは、児童書風の愛らしいイラストに惹かれて神戸の南京町で購入したもの、2枚。丸めた体を横に向けてこちらに微笑む猫と、木の枝に腰を掛けてバイオリンを弾く子どもが描かれています。
 イラストには40文字程の中国語の文章が添えられ、猫には「多用一點心」と、子供には「最眞的心」の題字付。どちらも日本語で出力可能な漢字で、日記で扱うついでに翻訳サイトで意味を解き明かそうと思い立ったのは、当然の流れでしょう。
 
 しかし、如月さんの知的探究心は文字コードと言う厚い壁によって台無しにされてしまいました。こっちが文字化けすればそっちも文字化けで、頼りの綱のあっちを仲介させようが、中→日に拘らず中→英でも良いやと妥協して試したどっちすら駄目と、自分の見通しの甘さを痛感する事態に陥りました。社会からバリアフリーが叫ばれるこの時代に、ドリームキャストユーザーはインターネット上で障害だらけです。
 
 
 それはさておき、栞。同時に読み進める本が増えて2枚では足りなくなった時には、ここぞとばかりに代用品が活躍します。本と一緒に我が家に訪れた帯や宣伝チラシが代表格で、あとは近くに居合わせた手紙や葉書に白羽の矢が立つ時も無きにしもあらずでした。
 ここにある1枚の絵葉書は、そうして本の中で栞の役目を務めたまま忘れ去られ、新古書店を巡り巡って如月さんの手元に届いたようです。
 
 受取人の住所は特急に乗って30分程の所で、消印は平成15年の9月。内容は服屋・刺繍屋のダイレクトメールで、勝手に捨てても構わなさそう。ただ、宛先やメッセージが手書きで、悩みが生じて一月以上経過。処分すべきか、返すべきか。
 葉書が眠っていたのは、杉浦さやか『おしゃべり12ヵ月』でした。心当たりのある方がいらっしゃいましたらお伝え下さい。
 
■1月27日 アニメで見る夢。
 
 睡眠中に見る夢の種類は大別して、映像がカラーかモノクロで区別されます。一般的には前者が多数と言われ、10年以上に渡って夢日記を記す夢収集家の如月さんとて、色彩の失われた世界が瞼の裏に描かれた経験はありません。
 その代わりか。今年に入ってからなぜか、上記の範疇に入らない新系統の夢を見られるようになりました。それはセルアニメで流れる夢です。
 
 夢の中でテレビやモニターでアニメを見る、とは異なります。本来は実写で流れるべき映像がアニメによって、終始かつ全視野において代替されるのです。わざわざ「セル」と付け加えないといけないのはきっと、当事者が昨今のデジタル彩色のアニメと縁遠いのが原因でしょう。
 展開される物語もアニメ風で、先日見た内容を事細かに綴ってみたいと思います。舞台は18世紀〜19世紀のヨーロッパと説明された時の第一感、絵柄は『世界名作劇場』を想像して下さい。夢の中に本人もしくは自分と同一化されるキャラクターは登場せず、神視点です。
 
 
 何らかの理由で壊滅することが判明して突然、住民全員に避難命令が下された街。救出用の大型船が碇泊する港には混乱した人々が溢れており、自分が乗り込む順番まで少し余裕があるだろうと踏んだ主人公の少年は、この間を利用して無茶を承知で遠く離れた草原の丘に向かい走り出す。なぜならそこには、別れの挨拶を済ませていない母親のお墓があったから。
 人気が完全に消えて然るべき街で彼は、ある民家の開け放しの出窓から零れた意外な光景に動揺する。それは友人の少女が机に向かって勉強に励む姿で、彼女の傍らには自分たちよりも幾年か年長の女性。女性は実はアンドロイドであり、少女の家庭教師として幼少期から一緒に過ごしている。容姿は人間と大差無く多少の自我すら備わっているアンドロイドも、今回の非常事態には器物として扱われ避難する資格は与えられず、少女は家族と絶縁して自身の最も大切な存在と運命を共にする決心らしい。
 
 主人公○○の無茶な行動を知った少女はアンドロイド××に話し掛けるも、平淡な返事しか返って来ない。
 
「××は○○みたいなことした駄目だからね」
「はい、ご主人様」
 
 この会話に、主人公はそこはかとない淋しさを覚える。彼女にとって××が掛け替えの無い存在なのは重々承知しているものの、アンドロイドは所詮はモノでありプログラムでしかないのに、人間と違って。
 
 その場を離れた主人公は友人の少年宅でも同様に、少女が少年に置き換えられた光景に出くわす。机の隣のベッドには他にアンドロイドが2人して手持ち無沙汰に寝転がっているが、これは少年の所有物ではなく余所の家で避難時に捨てられたものが、巡り巡ってここに転がり込んだらしい。
 そのアンドロイドは××よりも人間的な感情を持つのか、少し揶揄するような口調で「真面目ねぇ」と、お付きのアンドロイドに教わりながら勉強に励む少年を評する。そう、逃げなければ死んでしまうであろう状況下での勉強なんて、何の価値があるのだろう。
 
 
 おしまい。
 
■2月4日 かばんでなぐる少女。
 
 このフレーズを覚えているのは世界中で自分だけかもシリーズ、脳内会話で問い合わせ殺到なので第四弾。第一弾「僕、かりんとう…」はチャーリー・ブラウンから、第二弾「光らないのもあるよ」は電気グルーヴから、第三弾「ぞっこんラバーズ」は千原兄弟からと、引用元が多彩です。
 
 それでは、今回の「かばんでなぐる少女」の解説を。出典は昔々のゲーム系エッセイコミック、めるへんめーかー『わんだりんぐWONDERLAND』第1巻から。内容は『お願いご先祖さま』と言うテーブルトークRPGのリプレイで、作者演じる高校生の女の子キャラクターが「よぉーし必殺電撃学生カバンアターック」とあれやこれやに暴力を巻き散らしながら、8ページ後には地球の平和を保ってくれているありがたいお話です。うん、何のこっちゃですね。
 数年前の韓国映画の題名に『猟奇的な彼女』なんて妙に可笑しくさせられた語感がありましたが、それをいたく気に入ったのは「かばんでなぐる少女」を大好きなのと全く同じ感覚。当時の如月さん、前者の名付け親は後者に影響を受けたに違いない、とか妄想したとかしなかったとか。ちなみに映画は観てません、題名だけでお腹いっぱいです。
 
 第一段から第三段まではウェブ上に使用実績が認められましたが、今回は本当の意味で自分だけな淋しい惨状なので、今後は誰も彼もがこぞって真似してとお願いしたい。特に、ご先祖様に。
 
■2月11日 モーグル実況担当。
 
 今朝の4時に設定したアラームを眠気で打ち負かした睡魔信奉者の如月さんですが、フェラーリのF1マシンが登場する直前に目が覚めてテレビのスイッチを入れたのは、神様の存在をほんのり感じさせる出来事でした。作り物だと思いきや、実際に走り出すわドーナツターンは披露するわの大パフォーマンスで、世界中がエンストを心配しつつ見守っていたことでしょう。ドライバーはイワン・カペリかルカ・バドエルか、どちらにしても微妙です。
 
 そんなこんなで、開幕したトリノオリンピック。注目の度合いで言えば春からのF1やプロ野球の方に強く向いている如月さんも、フリースタイルのモーグルだけは必ずチェックするつもりです。これは里谷多英と上村愛子が云々とか、メダルの期待がどーのこーのとかではなく、自力で実況を務められて観戦がより楽しめる唯一の競技だから。
 フィギュアスケートの6種類のジャンプは全然判断がつきませんが、そこそこ過去に興味を持ち始めたモーグルのエアは見た目と技名がちゃんと一致しているので、中継でアナウンサーと共に声を出せるのが面白くて。この週末は「ダフィー・ダフィー」やら「ツイスト・ツイスト・スプレッド」やら「アイアンクロス・ヘリコプター」やらと、テレビに向かってリズミカルに呟いていること請け合いです。選手の皆さん頑張って下さい、如月さんも頑張ります。
 
 ところで。モーグル界隈で最近よく耳にする「すりぃでぃえあ」って、一体何でしょう。
 
■2月18日 長文との付き合い方。
 
 他人のそれと比較して判断したのではなく自分の思い込みですが如月さん、文章を読む速度は早い方だと自覚しています。そして自負もしており、たまに自慢までする、自惚れ屋さんです。
 ただ、残念ながら「読むのが早い」のではなく、正確に表現すれば「読み終えるのが早い」なのが困りもの。新聞でも書籍でもウェブページでも、改行や段落に乏しく視野全体に敷き詰められた文字列を目の当たりにすると、瞬時に真価が発揮されます。手始めに斜め読みになり、次第に飛ばし飛ばしへ移行し、やがてばっさり省略して一気に最後の行へ。丁寧に一文字ずつ追って読み進めるのは面倒で、不可抗力ですよね。
 
 そんなだから、長文の文末に「こんなに長い文を最後まで読んで下さって、本当にありがとうございました」なんて感謝の言葉を見掛けたりした日には。ちょっと、気まずいのです。
 
■2月26日 見知らぬ人の葉書の行方。
 
 新古書店で購入した書籍の中に栞のごとく挟まっていた、見知らぬ人への絵葉書。優柔不断で名高い如月さんらしく、1月22日分ではその扱いにてこずっていましたが、偶然の巡り合わせにより数日後に郵便物を発送する別の用件が生じたことに乗じて、持ち主の元に帰すべく尽力していました。
 上手い具合に葉書が入るサイズのレターセットが手元にあり、準備に手間は掛からなかったの反面、少し考えさせられたのが差出人。見知らぬ人に伝えるのは個人情報保護との兼ね合い以外にも、お礼を要求しているように思われるかもしれません。かと言って、連絡先未記載では到着の成否が絶対にわかりませんから、妥協案として入手の経緯を記した便箋にメールアドレスを添えます。「わざわざありがとうございました」なんて返事が貰えればと、純粋無垢な気持ちを込めて投函しました。
 
 そして、一ヶ月以上経過した今日現在──音信不通で行方不明。
 
 持ち主に届いていないとすれば、郵便事故で消滅したとか、引っ越し済で転送期間も終了していたとか、怪しまれて受け取り拒否されたとか。届いたとすれば、メールアドレスが間違っていたとか、メールを送信出来る環境が無い人だったとか、ありがた迷惑で無視されたとか。今の絵葉書が置かれた境遇を想像すれば拡散して止まりそうもなく、その原因である差出人を隠蔽した判断は誤りの恐れが大です。
 約十年前に郵便局のアルバイトで仕入れた知識では、受取人への配達も差出人への返送も出来ない封筒は手掛かりを探す為に、郵便局の権限で開封も辞さないはず。配達中に「郵便法××条に基づき開封しました」なる定型文が貼られた封筒を何度か目にしたので、信憑性あり。
 
 それが事実なら、今頃は便箋に添えたメールアドレスが郵便局員に晒されている訳で。如月さんの善意は個人情報流出と言うオチで終わりました。
 
 
  
■3月7日 夢で交わした約束。
 
 自室のガラス窓を覆うカーテンに見え隠れして、数年の年月が一瞬で過ぎてゆく象徴の光彩が窺える。輝きが終わった後に目の前に広がった光景は、深い青空の下で廃虚と化して誰もいなくなった近所の町並みで、俯瞰視点から。第一感は内戦が起きた跡のようだけど、自分のいる部屋が無傷で窓ガラスも割れていないのはなぜか。
 部屋にはいつの間にか姉弟がいて、その2人のことを自分はよく知っている。唯一購読しているコミックのキャラクターであり、この弟が主人公だから。弟は現状認識が不確かなのか存在感に乏しいが、しっかり者の姉からは「こっちの世界で起きたことを、あっちの世界に戻れたら伝えて」と頼まれる。この会話により、自分が夢を見ていると自覚。
 青空は夜空へと移り変わっており、窓から外を覗くと十数人の人々が繰り出してお祭りの準備をしている姿が、辺りに装飾された明かりによってわかる。それは町内会のお祭りのようなごく小さな規模のものではあったのだけど、立体的なハートに象られたライトアップの中のベンチに座るカップルの微笑ましい様子を見ると、戦禍の傷跡の深い「こっちの世界」の行く末は心配せずとも大丈夫だろう。
 
 場面転換で別の部屋、ラジカセから流れるナレーションに耳を傾けている。どうやら今まで自分が体験していた世界はラジオドラマの中の出来事らしく、作品名は『失われた世界』とのこと。今日の放送が全4回中の最終回に当たり、お約束としてご意見ご要望ご感想の受付先を詳しく案内しているが、それがどう解釈してもパソコン通信で脱力感を覚える。セガサターンでも専用のディスクで繋げられます、なんて言われても時代錯誤甚だしいぞと。
 
 
 そんな夢を見ました、の報告でした。元ネタとして、コミックはゆうきまさみ『鉄腕バーディー』で、ラジオドラマはNHK−FMの『青春アドベンチャー』です。前者のキャラクターは実在の人物としてではなくモノクロの線画として現れており、それを不可思議には感じていました。1月27日分に全編セルアニメで展開される夢を書きましたが、三次元の世界に二次元の登場人物が紛れ込んだのは初経験です。
 
 これで姉──千川はづみとの約束は果たせたっと。ちょっと昔にこんな感想を洩らした縁でしょうか。
 
■3月14日 あれもF1これもF1。
 
 半年間の沈黙を経て開幕したF1世界選手権が、その日を待ち焦がれていた者に重大な問題を突き付けるなんて、思ってもみなかったのです。
 
 ここ数年は専門誌を買う訳でもなければ、フジテレビのスポーツニュースをチェックする訳でもなく、インターネットで情報収集する訳でもない体たらくで、結果としてオフシーズンに起こった変化に開幕戦のテレビ中継で初めて触れることも多いのですが。観戦に絶対必要な知識である、参戦ドライバーのフルネーム・国籍・所属チームさえ記憶していれば、特に不都合は感じませんでした。
 しかし、先日の開幕戦では画面に映るマシンがどのチームなのか判断が出来ないと言う、致命的な足枷が発生。今年は買収されて身も心も生まれ変わったチームが多く、スーパーアグリのような新規参戦までいて、見慣れない色をしたマシンがたくさん走るのだろうとは想像していました。でも、その新しいカラーリングが似通っているなんて…!
 
 それも「AとBが似ていて、CとDも似ている」ではなく、「AとBとCが似ていて、CとDとEも似ていて、EとFとGまで似ている」と、複雑怪奇でしっちゃかめっちゃか。脳年齢の低下が著しい如月さん、全チームを覚えられそうにありません。
 
■3月19日 かるたクィーン遠からず。
 
 1月15日分で小倉百人一首を覚えると高らかに宣言した如月さん、懐に忍ばせた書物を人目を忍んで読むと言う、後北条家のごとき生活を続けた成果を発表します。2ヶ月前の失態は恥ずかしいばかりでしたけど、本気を出せば暗唱なんてちょろいもんです。
 
 
山部赤人「たごのうらに うちいでてみれば しろたえの ふじのたかねに ゆきはふりつつ」
猿丸大夫「おくやまに もみじふみわけ なくしかの こえきくときぞ あきはかなしき」
中納言家持「かささぎの わたせるはしに おくしもの しろきをみれば よぞふけにける」
安部仲麿「あまのはら ふりさけみれば かすがなる みかさのやまに いでしつきかも」
喜撰法師「わがいおは みやこのたつみ しかぞすむ よをうじやまと ひとはいうなり」
 
 
 今日の日付はえっと…?
 
■3月26日 (パラケルススの娘)。
 
 括弧をほとんど使わないのは、文筆における心掛けの一つ。文脈を補足したり、難解な用語を説明しなり、語尾で感情を表したり、色々な用途があっても心掛けに例外はありません。今も昔も実践してきたはずなので、3年前の日記から全部読み返されたとしても全然困りませんが、もし規格外品を見付けたらこっそりお知らせ下さい。証拠隠滅します。
 こやつには読み手が刻むテンポを阻害してしまう特性があり、綺麗に整列した文字中に記号が紛れるのは見た目にも美しくありませんから、誰にとっても無い方が好都合だと思います。どうしても必要不可欠な場合は僅かで、大抵は表現方法を変更したり語順を入れ換えたりするだけで簡単に消去可能でしょう。
 
 無い方が好都合で簡単に消去可能なのに、無闇に目立つのは如何なものかと苦言を呈したのが先日記した、五代ゆう『パラケルススの娘2 地下迷宮の王女』の書評。著者は主観・客観的評価の両方で「娯楽性に劣るが技術力は秀逸」とされており、読書中には違和感が付き纏いました。以下に、文章の素人が素人なりに首を傾げた箇所の一部を引用してみると。
 
 
・49ページ
「わたくし、できればお姉さまのおそばにずっといたいわ。こちらの方はまあ、どうでもいいのですけれど(と遼太郎を馬鹿にしたように一瞥し)、このお家に宿をお借りできれば、親から言われたことと、自分の好きなことを二つ同時にできることになりますもの。お金でしたら〜」
 
・85ページ
 それなりに家の仕事もこなせるようになったし、シシィを(クリスティーナの力添えはあったとはいえ)助けたし、自分を頼ってやってきた妹も守ってやらねばならない。
 
・242ページ
 唯一の囚人側の弁護人(ただしあまり事情はよくわかっていない)である和音が、とまどった顔で遼太郎を見ていた。
 
 
 1つ目は台詞に情景描写を混入させるのが不可解で、2つ目は括弧の必要性が認められず、3つ目は「あまり事情はよくわかっていないにしろ、唯一の囚人側の弁護人である和音が、とまどった顔で遼太郎を見ていた」が無難でしょう。
 他にも問題を含む括弧が数多い上、作中に出突っ張りな人物が喋る度に口から発する擬声語を鉤括弧の中に括弧で毎回記述したせいで、やたらめったらページ内の括弧率が高かったのも付け加えて。これは2003年10月25日分で書いた、新井素子の記録的莫迦量に匹敵するかもしれません。
 
 以上で前置きが終わり、本題は次回に。
 
■4月4日 (ミリダス)。
 
 長い前置きに続いて本題。前述の『パラケルススの娘2 地下迷宮の王女』を読書中に生じた違和感を源に、思い起こした書籍がありました。それは数年前に購入した、大波篤司『ミリダス 軍事・世界情勢キーワード事典』です。
 内容は副題通りで、アメリカ同時多発テロより前の発刊な為に古びてしまった記述は多いものの、著者曰く「辞書より詳しく、専門書よりやさしく」「サラリーマンや主婦、作家志望の若者などを対象に」の匙加減により、専門用語を解説する為に別の専門用語を使うような難解さと無縁で、この種の知識に明るくない自分には好適でした。読み終えてからも本棚に眠らせず、特に耳かきのお供に重宝しています。
 
 ただ、解説文における括弧の用い方が酷いのが玉にキズで、少し引用しましょう。
 
 
・85ページ 口径
 一つは「砲の内径」のことである(大砲から発射される砲弾の直径で、「120mm砲」などと表記される)。
 もう一つは「砲身の長さ」を表す単位である。これは「50口径」などと表記され、砲身の長さが砲弾直径の何倍かを表している(50口径は砲身の長さが砲弾直径の50倍であることを示す)。

 
・185ページ 電子戦闘機
 しかしアメリカやロシア以外の国では専用の電子戦闘機を保有する余裕がなく、戦闘機や攻撃機に妨害電波の発信装置やチャフ散布用のポッドを搭載して代用している(こうした代用機は専用機よりも電子戦能力が低く、あまり役には立たない)。
 
・253ページ 爆発物の設置場所
 橋などは完全に爆破しなくとも適度に壊しておけばよい。近代橋は絶妙なバランスの上に成り立っていることが多く、ダメージを受けた橋は戦車などの重量物に耐えきれず崩壊してしまう。敵とっては完全に破壊されていなくても「橋が落ちる可能性がある」だけでそのルートを閉鎖しなければならなくなるのである(ただし古い石造りの橋は意外に頑丈なので注意しなければならない)。
 
・373ページ 破氷ローター船
 また、船体の前部と後部にはバラストタンクが備えられており、内部の水を調節して船体の傾きや喫水を変化させ氷の状況に対応する(この機能を応用することで船体を前後に揺らし、破氷効果を高めることも出来る)。
 
・410ページ 西欧同盟
 現在では、EUが結合を進め独自の軍事組織を必要としてきたことから、EUの軍事機構としての役割を大きく持つようになった(ポルトガル、スペイン、ギリシアが加盟国に加わり、本部も1991年にロンドンからブリュッセルに移された)。
 
 
 不作為に開けたページから拾っただけで、こんな調子なのです。
 
■4月11日 自己矛盾。
 
 いざ眠りの国に旅立たんと心に誓い、必需アイテムの耳栓を装着しようとした瞬間、重大なトラブルに見舞われました。
 
 いつもの悪戯好きな妖精さんの仕業か、なぜか決められた保管場所に片方しか見当たらないのです。耳栓は二つ揃ってようやく一人前になれる道具ですから、もう片方を見つけられるまで決して眠れません。でも、一生懸命に探しても全然見つからず。実はこんなこともあろうかと予備も準備していたりしますが、妥協は即ち敗北なので不許可です。
 気の短い如月さんは思わず、こんな台詞を呟いたと言います。
 
「なんでここにないねん…!」
 
 
 数分後。片方が本来あるべき場所にあったのだから、もう片方が本来ないべき場所にある可能性は非常に低い、と頭では理解しつつも別の場所を捜索開始。それもまた無駄足に終わり、徒に時を過ごす自分に嫌気が差して妥協でも敗北でもいいやと投げやりになった頃。最初に探した場所をもう一度、最後の正直で探しました。そしたらこれがお約束通り、今度はあっさり見付かったんです。
 意表を突かれた如月さんは思わず、こんな台詞を呟いたと言います。
 
「なんでここにあんねん…!」
 
■4月17日 放送禁止4隣人トラブル。
 
 昨年の最後に書いたテレビ番組『放送禁止4 恐怖の隣人トラブル』を、昨日に見終えました。録画から4ヶ月弱も経過しているのに、どの辺りが待望だったのかと自分を責めたくなりますが、如月さんの日常はそんなこと尽くしなので本人も諦め顔。有言不実行、大得意です。
 番組が潜ませる趣旨から、最大の恐怖となって立ちはだかるネタバレについては、華麗なネットサーフィン術で完璧な回避に成功。しかし、その努力が無駄になってしまったと言うのが本音です。伏線やオチに確固たる正解を導き出させる為の深みが足りず、旧作より手軽に制作した様子が窺えたのは私だけではありますまい。とは言っても、シリーズを継続してくれるのは嬉しいので、期待は次回作に引き継ぎます。
 
 尚、昨夏に番宣で放送を知った時には尻尾振って喜んだ『猫の恩返し』の録画は、未だ1秒も再生していません。
 
■4月26日 生傷への対処。
 
 肌の弱さに定評のある如月さんは今も昔も生傷が絶えなくて、特に小さい頃は迂闊にシャワーを浴びたりタオルで擦っては「うぎゃ」と悶えるのが日課だったと言います。大人になっても飽きもせずに同じ過ちを幾度も繰り返して、ちっとも懲りない奴です。
 そんな愚か者にとって心強い存在だったのが水を弾くメンソレータムで、米国メンソレータム社とロート製薬には足を向けて眠れません。商品名をメンタームに、会社名を近江兄弟社に入れ換えても良しとします。ただ、塗り忘れて後の祭りになることもあれば塗布が不完全で隙間から染むこともあり、決して万能ではありません。どうにかこの悩みを完全に解決出来ないかと、幼少期の如月さんは試行錯誤を重ねました。
 
 やがて、ほんの小さな痛みだけで済む「傷口を手で塞ぎながらシャワーを少しずつ当てる」と言う画期的な入浴方法を、いつの日にか発見。何がどう転んで気づいたのかは忘れてしまいましたが、超便利なお役立ち技として未だに現役で愛用されているところが、この解決方法の素晴らしさを物語っています。未だに痛くならないメカニズムは不明ですけど。
 
 ちなみに。小学六年生の時に読んだ『ちびまる子ちゃん』の第3巻に似た内容が書かれていて、自分流だと確信していたので結構な驚きでした。
 
 
  
■5月2日 春の君は目玉焼き。
 
 再度の寒の戻りに淡い期待を抱いたり、桜前線に置き去りにされようが意に介さなかったりと、恒例行事の現実逃避に忙しい如月さんですが。最近になってようやく冬への未練を断ち切り、渋々ながら春の到来を認めたのこと。さて、ここでクエスチョンです。
 
 
問題:この度、如月さんに春の到来を認めさせた出来事とは、一体何でしょう。
 
正解:歯磨き等の後に口をすすいでも、冷たい水が歯に染みなくなって嬉しかった。
 
解説:チューチューへの愛を綴った、2004年8月5日分をどうぞ。
 
 
 無意識に前回から「染みる」と「さくらももこ」ネタが連続して、書いた本人が一番驚いています。
 
■5月9日 それもちゃいますやん。
 
 ヤフーにはインターネット上の全てのウェブサイトが登録されていると信じていたものだから、記念すべき初めての検索で「カヒミカリィ」の結果が2件だけで、ワールドワイドウェブにおける日本語勢力の貧弱さを嘆いてしまいました。
 
 ドリームキャストのブラウザがスタイルシートに非対応だと知らず、行間の大きさが指定出来ないのは自分のミスに違いないと、何度もテレビ画面と書籍を照らし合わせては首を傾げていました。
 
 日本語が堪能な外国人と外国に住む日本人の存在が頭に無くて、外国のプロバイダが記録されたアクセス解析を見る度に、この人たちはどうして読めもしないページに足を運ぶのだろうと不思議がっていました。
 
 インターネットに接続したての頃の勘違いや思い込みで、2005年4月22日分の続編でした。
 
■5月16日 アップロードされ立て。
 
 炊き立てのご飯に、焼き立てのパンに、干し立ての布団に、洗い立てのパジャマに…なんて風に、いくつもの「〜立て」を羅列したところで、否定的な意味を持つ言葉は現れそうにありませんが。このサイトでアップロードされ立てのページ、これだけは例外中の例外です。犬も食いません。
 ドリームキャストにはローカルに保存する概念が無いに等しく、作業の効率性を考えて表示確認がアップロードの後になってしまいがちなことに加え、ケアレスミスの多さを自覚している癖に見直しは別にしなくても大丈夫だろうと、根拠に乏しい自信を制作者が抱いているのが原因。特に日記では、誤字脱字は言うに及ばずリンクの張り間違いにタグの書き間違いその他諸々、毎回のようにミスは発見されます。何度も何度も繰り返している単純作業なのに、アップロードする前には全然気づかないのに、本当に悩ましいです。
 
 そんな事情により、更新されたばかりのページに間違いを見掛けた際には、物は試しで読み込み直してみて下さい。目下精鋭更新作業没頭中の如月さんを、インターネット越しに見付けられるかも。
 
■5月23日 不条理を享受。
 
 新聞の書評欄を斜め読みし終えてめくろうとすると、視野の隅に「世界は不条理」との見出しが差し込んで、巡った思考。
 
 世界は不条理──そんな主張を突き付けられたら、今の日本では肯定する人が大半を占めて。それは「恵まれた環境に生まれられなかった自分」や「地位も名誉も得られなかった自分」のように、不条理は常に不幸をもたらす悪としての共通認識を築いた上で、正義の名において駆逐されるのが理想となるはず。
 しかし、異なる立場から見れば「貧しく危険な国ではなく豊かで平和な国に生まれられた自分」がいるのもまた不条理で、不条理を許さない世界では得られなかった特権とも言える。世界は不条理──そんな主張を肯定する時には、善良な一般市民や悲劇のヒロインを気取らず、自分に利益を与えてくれた不条理の存在も認めなければ不公平だろう。
 
 そこまで考えて、次の頁に。
 
■5月30日 かるたクィーン実現間近。
 
 昨年12月の思い付きに端を発した挑戦の件で、今日は2ヶ月に一度の定例報告をしたいのですが、お願いなので呆れないで下さい。
 
 
小野小町「はなのいろは うつりにけりな いたづらに わがみよにふる ながめせしまに」
蝉丸「これやこの ゆくもかえるも わかれては しるもしらぬも おうさかのせき」
参議篁「わたのはら やそしまかけて こぎいでぬと ひとにはつげよ あまのつりぶね」
僧正遍昭「あまつかぜ くものかよいじ ふきとじよ おとめのすがた しばしとどめん」
 
 
 約半年を経て尚も残る88首、未来予報能力に秀でた如月さんは既に再来年の正月を見据えています。それでもこの調子では全然間に合いませんが。
 
■6月6日 個人情報保護シール。
 
 カタログギフトに同封された返信用葉書に、住所と名前の欄を隠す為のシールが付属していました。そこまでしないといけないのかは疑問ですけど、葉書は記録情報の重要度が高い割に無防備な代物。個人情報の流失が社会問題化している昨今では、守秘義務を負う郵便局員とて信用のし過ぎは禁物でしょう。
 実はアルバイト時代の我が身を振り返っても、ご近所さんや同級生の知らざるべき秘密を図らずも知ってしまい、悶々とさせられた経験がありました。つまり、このような自らの身を守る工夫が葉書にあれば、送る側と配達する側の双方に有益となりますね。
 
 ただ、このシールは剥して貼ってもまた剥せるタイプで、証拠を残さずに覗き見が可能なような。
 
■6月13日 莫迦の訳+おまけ。
 
 バカを「馬鹿」でなく「莫迦」と書くのは昔からで、詳細は2003年10月25日分に。先日、如月さんの指先をそのように仕込んだ新井素子さんの非常に古いエッセイ兼対談本『ネリマ大好き』を読み、ご本人さんにおける「莫迦」のきっかけを知れました。
 真似っこの如月さんですらもっともらしい理由を持つのですから、漢字を扱うことに関しては本職の作家ともなれば一般人には及びもつかない高尚な訳があるに決まっています。登場人物の名前に画数が多い漢字を使うと、手が疲れるから大変だと言う話の流れから、以下引用です。
 
 わたし「莫迦」って書くじゃない?あれって漱石の書き方で、年輩の方が「なつかしい字を使う」とか好意的に言ってくださるんだけど、本当は「馬鹿」って書くより画数が少ないからなの。
 
 さ、さようでございましたか…。
 
 
 えっと、気を取り直して。今回は特別文末おまけに、ドリームキャストのブラウザのお莫迦な漢字変換能力で、莫迦と入力し終えるまでの苦難の工程を世界初公開します。青色は確定前の文字、赤色は変換中の文字、黒色は確定させた文字です。
 
しゃか釈迦→釈迦→迦→ばく迦→迦→迦→迦→迦→迦→莫迦。
 
 華麗なタイピングとカーソル捌きでこの間、僅か5秒の早業。なぜか後ろから入力を始めているのは癖以外の何物でもなく、余計な面倒が掛かるのに全然直ってくれないのが悩みです。
 
■6月22日 知るも知らぬも親知らず。
 
 先週から突如として不健康が波のように押し寄せて、生気が弱っています。色々と、痛いんです。
 
 まずは、頭痛。そして、耳痛。更に、喉痛。おまけに、歯痛。頭と耳と喉は慣れっこなので我慢もお茶の子さいさいですが、最後の歯の駄目押しにより相乗効果が現れてしまいました。それは奇しくも1年前、2005年6月25日分に書いた、右下に生えかけた親知らずを元凶とする継続的な歯茎の痛み。擬音で表すとズキズキではなく、ツーッになります。
 数日で治った前回とは異なり、今回は自然治癒力で痛みが小さくなったところで、食事と歯みがきによる刺激でぶり返すと言った負の連鎖が止まらず、現状維持のまま早くも一週間以上が経過してしまいました。はい、自業自得だと責められるべき過ちを少なからず犯していることを、否定はしません。でも、痛さに屈して食事と歯みがきで配慮したり手を抜くのは、何だか悔しいじゃありませんか。
 
 長期間の蜜月が破局を迎えるかもしれない今日この頃、なぜだかちっとも名残惜しくならないのは、とうの昔に関係が冷え切っていた証拠でしょうか。
 
■6月29日 ファイル整理のお知らせ。
 
 ファイルを思いきって整理しました。日記の題名一覧や更新履歴のように小分けにしていたページを結合させたり、トップページにあるメニューの区分けと実際に保管するディレクトリィを対応させたり、それらの作業で無効になる相対リンクを修正したり、前から気にしつつ見て見ぬ振りでやり過ごしてきた問題の大半を解決。大掃除を終えた時みたく、とても気持ち良いです。
 最も変化が激しいは『Be influenced』で、ページを纏めるのと同時に削除した項目も少なくありません。これは過去の砕けた言葉遣いが何だかこそばゆく、近い内に全てを修正予定ですが本や音楽と違い再確認の方法が手元に無くて書き直しが困難な、2002年〜2003年の『F1』『アリー・myラブ』『高校教師』等のテレビ番組の感想が該当。当時は日記代わりで週に何回もアップロードしていた為、内容・リスト・更新履歴から抹消するだけで一苦労でした。
 
 ただ、完全に消し去ってしまうのも淋しくて、ミラーサイトには残しています。如月さんは重度の捨てられない病で、それはデジタルの世界でも変わらないのです。
 
 
  
■7月5日 ほんのり不思議体験。
 
 部屋のソファーに座る如月さんの素足に触れた紙の切れ端を床から拾い上げると、小さいながらも「ニメ情報」との文字が確認出来ました。
 
 ニメ情報…アニメ情報誌…むむ、これは1991年から1992年に約1年間購読していた『アニメディア』の表紙の一部、と思考回路が正体を見破ります。材質や色合いもそれっぽいですし、他に思い当たる節も無いので正解でしょう。うん、懐かしい。
 当時は連日強制のクラブ活動のせいで日常の楽しみが極度に奪われていて、少しでも生活に潤いを与える為に自分で自分に用意したご褒美でした。既にアニメから卒業していたのに選んだ理由は、ちょうど耳を傾けるようになったラジオ放送に声優の担当番組が目立っていたから、だったはず。あと本来なら『アニメージュ』が良かったけど、経済的事情で『アニメディア』で妥協した人は私だけではありますまい。
 
 この紙切れの存在は、矛盾に塗れる悩ましいものでした。頭の中の疑問符を共有して欲しいので、状況証拠を箇条書きにして奇妙さを洗い出しましょう。
 
・『アニメディア』は1993年に全て処分。
・紙切れが落ちていた部屋は1995年に増築。
・ソファーの購入は1999年。
・床をコロコロクリーナーで掃除するのが大好き。
 
 1993年に捨てた雑誌の切れ端が、1995年に増築された部屋で、頻繁に床は掃除しているのに、1999年に購入したソファーに座ると足に触れる場所に落ちていた。謎が謎を呼ぶ紙切れに、今までどこに潜んでいたのか問い掛けつつ。後ろ髪引かれる思いにもならず、次の瞬間にはゴミ箱にポイしましたとさ。
 
 似た経験が2003年11月19日分に。
 
■7月12日 あと5つ、探そう。
 
 室内で起こる不思議を続けて。
 
 最近、ドライヤーを使用中にCDラジカセが唸っているのに気付いたんですけど、何なんでしょう。ドライヤーの電源を入れる→一瞬遅れてCDラジカセから「ウィーン」と継続的な低い音が小さく鳴り始める→ドライヤーの電源を切る→CDラジカセが沈黙を取り戻す、となります。まるで共鳴です。
 唸るのは部屋に2台ある内の片方のみ該当して、思い当たる原因としては壁に密着させている点が挙げられます。音はスピーカーに限らず全体から発生し、ドライヤーを部屋の外で使用しても同じ。ちなみにこやつ、2004年10月17日分に登場したCDもカセットも壊れ中の欠陥品ですが、それは無関係っぽい。
 
 謎の紙切れと、謎の共鳴。こうなったら七不思議の成立を目指し、あと5つの謎を見付け出したい。
 
■7月18日 残り4つになりました。
 
 室内七不思議を探し始めた如月さん、偶然にしては出来過ぎなタイミングでまた奇妙な現象を体験してしまいました。今回は携帯電話に届いたメールの内の一通が読んだ覚えが無いのに既読になっていて、更にそのメールに対しての返信が保存されていました。
 
 なんて精一杯に不思議がっても、冷静に考えれば奇妙の度合は低い。読んだ覚えの無いメールの着信時間には確実に睡眠中でしたし、書いた覚えの無い返信も文章が入力されていれば興味深かったのですが、保存されていたのは「メールを表示→返信を選択→電源ボタンを押して強制終了→保存か破棄かの確認→保存」の空っぽ。もちろん、送信もされていません。
 これらの証拠に基づき、自然な説明をすると。着信音で起こされて寝ぼけ眼で開封した後、メールボックスを閉じようとして誤って返信を選択し、キャンセルする為に電源ボタンを押して終了させつつ保存、そのまま夢の中に戻って記憶が消去されたのが正解でしょう。発見時には胸が踊らされた割につまらない結論に落ち着き如月さん、随分と悔しかったそうな。
 
 以上のように穴の多い事象ですが、七不思議の不足に困り中の身としては候補の一つに仮採用しました。
 
■7月27日 アリスからスヌーピー。
 
 1995年の11月29日から使い始めた『不思議の国のアリス』のノートを、2006年7月15日に使い終えました。5ミリ程度の厚みで10年以上もお勤めを続けたのですから、文房具として素晴らしい活躍に違いありません。本当にお疲れ様でした、これからは引き出しの奥で余生をお過ごし下さい。
 用途は日々見た夢を記録する、夢日記。購入したのは修学旅行の自由行動で足を運んだ東京ディズニーランドで、本来であればお土産として帰宅後には離れ離れになる運命だったのですが、装丁の可愛さに魅せられた如月さんがまんまとせしめたそうな。いや、その、これは近所のお店でも普通に販売されてそうな代物で、別に構わないと判断したのです。あと『不思議の国のアリス』のノートを夢の記録に利用するのって、相性としても抜群ですから。
 
 そんな過去の悪行はさておき、最初の日付を転載してみます。
 
 11月29日(水)
 地震がせまる
 裏のモータープールがつかえない
 
 この時の如月さん、家にいると建物が崩れるような大地震が起きることがわかり避難する必要に迫られるも、家の裏にある駐車場を避難場所にするのを許されずに困らされていました。漢字の使用率が低くて駐車場をモータープールに置き換えているのは、忘れない内に早く書き上げるべく焦っていた気持ちの現れでしょう。あと阪神・淡路大震災が発生した年だけに、少なからず影響も窺えます。
 時間の経過で急速に記憶が失われる夢を文章化するのは難しくて、初期は数行で簡単に纏めるだけで限界でしたが、段々と慣れて次第に長文化。携帯電話のメモ機能に保存した単語の羅列を、文章に変換してノートに載せる二段階作業になってからは、特に顕著になりました。視界に入った景色や小道具は大筋と無関係でも、夢日記の材料としては捨てるに惜しいのです。
 
 今までの『アリス』の仕事は『スヌーピー』のノートに受け継がれ、筆者としては再び使い終える日が迎えられるように望みます。無事に叶うとしたならそれは、いつのどのような未来に。
 
■8月3日 金縛りと現実の迫間。
 
 視覚と聴覚を閉ざされた、金縛り。
 
 真っ暗闇と無音の中に自分の意識だけがはっきりと漂っている、そんな隔絶された世界での金縛り体験が稀にあります。目と耳で周囲の状況を確認出来る通常の金縛りと異なり、時間経過の感覚が失われてしまう為、いつまで我慢すればこの縛めを解かれるのかが不明なのが恐ろしや。
 幸いにも生還率は100%で不安の度合いも徐々に下がってはきましたが、目覚めた後も精神的に疲れるので勘弁して頂けるよう、金縛りの神様に願いつつ。ふと、こんな疑問を抱きます。
 
 全盲全聾の人が同様の体験をした時に、これを正確に認識するのは可能なのか。目は覚めているけど体が動かないのか、睡眠中に明晰夢を見ているのか、判別が難しいのでは。
 
■8月10日 天使の諺。
 
 アイルランドでは、眠っている子が笑うと「天使と話をしている」というそうだ。
 
 
 先日読み終えたばかりの『天使のひきだし 美術館に住む天使たち』からの引用で、以前に似た話題を書いた記憶があり探してみれば、題名がそのままだったので即発見。天使を単語として用いる慣用句について扱った、2004年7月19日分です。
 個人的には「天使と話をしている」と「天使にあやされた」なら、後者が万人に好まれる素敵な表現だと思ってしまいますが、客観的にはどうでしょう。ここはアイルランド人の意見を伺いたいところで、もし気に入ってもらえたら使って頂けると幸せです。上手く事が進めば近い将来、日本発祥のアイルランドの諺が誕生するかも。
 
 いつの日か、眠っている子が笑った瞬間に起こして「天使と話していたのか、天使にあやされていたのか、どっち?」と問い詰めて、真実究明したいです。
 
■8月17日 お盆でしたね。
 
 その日の夜は、とても怖かったんです。
 
 ちょうど、お盆の時期。テレビ番組や雑誌で心霊特集でも見てしまったのか、何かしらのオカルトな現象に遭遇したのか、今となっては定かではないのですが。布団の中に潜り込んだ如月さん、ただひたすらに「今夜は絶対に幽霊が出る」と強迫観念に苛まれ、極めて強い恐怖心に身を震わせていました。こう書くと小さい頃の微笑ましい出来事みたいに読めるんですけど、実際には中学生だったと言う情けなさは告白しておかなければなりますまい。
 祈るような気持ちで助けを求めた先は、就寝前に勉強机から枕元に移動させておいたCDラジカセ。今夜の自分が巻き込まれるかもしれない不測の事態への対応として、少しは気を紛らわしてくれるだろうと予め準備しておいたのです。電源を入れるとヘッドホンから男性と女性の楽しげなお喋りが流れて、その聞き慣れた2人の声により思考の全てを支配していた恐怖心も緩やかに溶けていき、待望の安堵感は徐々に夢の中へ誘い込まれます。うとうと…。
 
 そして、CM明け。気味の悪い曲を従えて唐突に始まった怖い話特集に、ぎゃー!
 
■8月25日 ポップ→ナイナイサイズ!
 
 先週の土曜日夜中、テレビの電源を入れると『ナイナイサイズ!』の放送時間で、ナインティナインの岡村さんがミキサーに黒い野菜や果物をたくさん入れて、怪しげなジュースを作っていました。問題は番組の内容ではなく、その時に流れていたBGMです。
 いかにもフレンチポップスしたお洒落指数の高い曲調に、女性ヴォーカルのスキャットが「ナナナナナー♪」と乗せられる、どこからどう聞いても如月さんが好みそうな品です。うん、こーゆーの好き…と女性のスキャットに自分のハミングをなぜか同調させられて悦に入ったところで、重大な事実に気付きました。この曲が収録されたCD、持っているはずと。
 
 それには気付けたものの、それ以上の情報を思い出せない自分が許せない如月さん、意地で一枚一枚を総当たりで調べてやっとこさ発掘しました。そんな訳で纏めれば、8月19日放送の『ナイナイサイズ!』で岡村さんがジュースを作っていた時のBGMはINSTANT CAFE RECORDSのマキシシングル『MUSIC SHEET』より、4曲目『The Star Watcher's Song』です。番組をきっかけに探していた方がいらっしゃいましたら、お役に立てて何より。
 このCDを購入したのは、確か2000年。縁もゆかりも無かったバンドだったのに、店員さんの手書きポップに影響されてレジに提出してしまいました。詳しい文面は覚えていませんが、フレンチポップ+女性ヴォーカルとの証拠から「カヒミカリィが好きな人にお勧め♪」とか書かれていたであろうことは、想像に難くありません。
 
 現在まで接点が無かったINSTANT CAFE RECORDSは、初めての検索で公式サイトを発見し、現在も活動中の様子。ただ、曲名はほとんどヒットせず、あのBGMを聞いて出典がわかった人は少なそう。そんな特権を数年越しで授ける奇跡のポップの文面を書いた、見ず知らずの店員さんは流石プロ。
 
 
  
■9月3日 痙攣の運動。
 
 団体旅行で向かった温泉旅館に着いたばかりの如月さんが、これから玄関先で行われる「体操」に参加せねばならず、仕方無く移動する──そんな大筋の夢を夢日記に記述中、CDからヘッドホンを経て耳に届いたヴォーカルがこんなでした。
 
 
♪TAISO TAISO MINNA GENKI NI
♪KEIREN KEIREN KEIREN KEIREN……

 
 
 この奇妙奇天烈な歌詞は、YMOの『体操』ではありませんか。体操に纏わる夢を頻繁に見るはずもなければ、収録されたアルバム自体も数年振りに取り出した品で、不意の特異な巡り合わせに面食らってしまいました。
 
 当曲とは小学校入学前に初遭遇した如月さん、歌詞が意味のわからない単語ばかりで「ブルマって?」「トレパンって?」「ケイレンって?」と、周囲の大人に質問を連発。知識欲旺盛ですね。
 
■9月10日 森絵都のこと。
 
 森絵都が『風に舞いあがるビニールシート』で第135回直木賞を受賞されて、好きな作家に挙げている者にとっては、自分が受賞したも同然の喜びです。ファン暦高々2年半の癖に。
 本棚に並ぶ彼女の著作は現在6冊で、初めて読んだ『カラフル』から『リズム』と『ゴールドフィッシュ』は新品で買いましたが、その後の『あいうえおちゃん』『宇宙のみなしご』『永遠の出口』は新古書店の100円の棚に移動するまで購入を控えました。この原因は、リンク先の三作の感想で理解頂けるかと。一番最初に受けた強烈な衝撃が、急速にフェードアウトしてしまったんですよね。
 
 そんな事情により見知らぬ人から所有権を受け継いだ『永遠の出口』が、偶然にもサイン本で。今回の受賞によって価値が上がらないかなーと、邪な欲を抱く不届き者がここにいます。
 
■9月17日 集団的過熱取材。
 
 報道の自由や知る権利を盾にして、加害者側のみならず被害者側までにも過剰な取材が行われてしまう、メディアスクラム。そんなマスメディアの横暴さについては、自己反省の弁を交えて定期的に取り上げられます。そしてその内、改善されずに繰り返されるのがお約束です。
 幸か不幸か普通の一般市民である如月さんですから、自分が実害を受けた経験はありません。ただ、ニュース番組で報道被害の一端が垣間見えたせいで腹立たしい気分になるのは頻繁。例えば未成年者が殺害された事件や大規模な災害等で、泣きじゃくる友人や呆然自失の被災者にマイクを向ける、無神経なインタビュアーが登場したら殴りたくなります。ゴツン。
 
 だけど、これは今のところは必要悪。マスメディアは建て前に過ぎないとしても、弱者の味方かつ権力の監視役を実際に務めているのは否定出来ません。それは時として横暴さを伴う方法で成される訳ですが、もしもマスメディアが極めて紳士的な存在に変化したなら、この世の中に蔓延る白日に晒されていない罪に対して、社会的制裁を加える機会が皆無になってしまうでしょう。明らかに罪を犯した人間が存在するのならやっぱり、裁判で有罪が確定するよりもずっと前から何らかの裁きを与えたいものです。
 推定無罪の原則が上から下まで守られる程に理性的な社会って、絶対に嫌ですね。当然、いつか自分が謂れ無い被害を受ける恐れが生じますけど、そこはトレードオフの関係なので仕方ありません。個人の利益は個人の利益でしかありませんが、公の利益は個人の利益を含みますし。
 
 ちなみに、同じロジックから警察の誤認逮捕に関しても寛容です。
 
■9月24日 前振り+前振り=事件。
 
 ここ半年の傾向として、新聞やインターネット上で見出しが気になって目に通したニュースの発信元が、偶然にも自分の生活圏である率が非常に高かったんです。それらは地域限定の暇ネタのみならずで、生活圏だと呼べる4つの市町村の人口や知名度が突出している訳でもなく、可能性は相当低いはずなのに。
 
 そんな個人的な前振りがあった為、先日から全国に向けて報道される大きな事件と話題が極めて近所で連続したことに、如月さんは驚きを禁じ得ません。特に重大なのは事件の方で、2004年4月3日分に書いた事故が発生したスーパーも徒歩5分と結構な近さだったのですが、今回の事件で証拠品が遺棄された歩道なんて徒歩3分。人の行き来の少ないそこってば、ほぼ毎晩通っている立場なので洒落になりません。
 そして、前振りはもう一つ。本件の発生から報道を見聞きするまでの数日間の現場において、少し違う雰囲気を感じていました。具体的に言えば、普段は誰もいない妙な場所に人影がぽつんとあったり、まるで定点観測を行っているかのごとく視線を向ける人物がいたこと。視力劣悪な如月さんはいずれの日も裸眼で、街灯やネオンが滲むソフトフォーカスの世界に、ほんの僅かな怪しさが紛れていたに過ぎませんけど。
 
 携帯電話の応対で立ち止まったとか、待ち合わせ中で顔を確認しているとか、どうとでも説明出来るので深くは考えなかったけど。あれは不審者を監視する刑事たちだったのかも。
 
■10月5日 RSSリーダー超便利。
 
 ドリームキャストでインターネットと言う非文明的な環境にも拘わらず、RSSリーダーなんて便利ツールを利用しているのは、先に根本的に改めるべき箇所があるだろうと、手厳しい指摘をされそう。思い起こせば約5年前、回線をADSLに変更した時には実際に言われてしまいました。
 でも、生まれ付き心配性な如月さんは更新が少し途切れたフィードを見つけると不具合でも起きたかと不安が募り、すぐに自ら読みに行ってしまうのが愚か。更新情報を収得して効率良い閲覧の手助けをするツールの役割を果たさせていませんが、自分の目で見ないと信じられない性格なので当然の行動です。じゃあどうして利用するのかと問われれば、それはもう「ドリームキャストからでもRSSリーダーが使えるなんて嬉しいな」なる、自己満足の世界に他なりません。実に複雑な心理構造ですね。
 
 尚、登録数はたったの5つで、ログインの手間を含めれば自力で見回った方が早いとか。
 
■10月11日 中日が負けますように。
 
 昨日、中日ドラゴンズの優勝が決まりました。
 
 夜道を歩きつつ携帯ラジオで試合動向をチェックしていた如月さん、帰宅後にテレビで中継をやっていない現状を突き付けられても動じなかったのは、一昨年の優勝と同じだから。うん、予想的中。とは言え、男泣きした落合監督のインタビューが胸を熱くさせる素晴らしい内容で、2回連続で胴上げをリアルタイムで見られなくてもは許せましょう。
 ただ、頼りの綱のラジオにしても巨人戦なのに中継がNHK第1だけだったのは、少し面食らってしまいました。関西の民放ラジオ局では5局中2〜3局が巨人戦中心で、セリーグの優勝が決する可能性ありの試合なのに、どんなに注目度が低いのか。
 
 それはともかく、罰当たりなことに中日の負けを望んでいた者としては、喜ぶべきか悲しむべきか微妙だったり。これは優勝決定が12日の阪神戦まで延びてくれれば、テレビ中継が確実だったから。大阪生まれ・大阪育ち・大阪在住の中日ドラゴンズファンと言う、特異な環境が生み出した心境です。
 
■10月17日 gobbledygook.
 
 NHK総合が通常番組終了後の深夜に流していた環境映像のBGMが、川本真琴『桜』のオフヴォーカルで。久々に彼女のアルバム『gobbledygook』を歌詞カードに目を通しながら聞いてみれば、購入から5年半を経て新発見が2つありました。
 
 チョコレートを「チョコレイト」と記す感心させられたのは『プラスチックガール』等のcapsuleからですが、川本真琴も『ピカピカ』にて「チョコレイトのサラサラ銀紙」と使われていました。こちらの方が数年早い上に、My profileにお気に入りとして載せている曲だったりして、気付けなくてゴメンなさい。
 あと、『桜』のAメロ2は「春の風うらんだりしない/桜が髪に/ほら/こぼれた」ではなく「春の風うらんだりしない桜が/髪に/ほら/こぼれた」で、春の風を恨んだりしないのは「私」ではなく「桜」ですね。意味が全然違うのに、これまた気付かなくて反省しています。
 
 歌詞カードの重要性を痛感する体験でした。
 
■10月23日 『しあわせの書』に敗北。
 
 ある調べものの最中に目にした「ブックテスト」の意味が気になり、本来の目的をそっちのけにして検索の趣旨を切り替えました。どうやら本を用いたマジックの一つで、偶然の要素で指定されたページの先頭の単語を言い当てる読心術とのこと。トリックを大っぴらに明かしているページも見付けましたが、それを否定出来る過程でも演じられているようです。
 これは確か、数年前にマジシャンのナポレオンズが特定の書籍を使ってタネ明かしをやっていたはず…と記憶を辿っても思い出せなかったので再び検索すれば、2001年の年末特番だとわかります。ただ、肝心のトリックは「ピー」で完全に隠されていた模様で、小さい頃から大好きなナポレオンズに裏切られた気持ちだったことでしょう。
 
 その特定の書籍こそ、泡坂妻夫『しあわせの書 迷探偵ヨギ ガンジーの心霊術』で、ブックテストを検索すれば付き物のように提示されます。知的好奇心を過度に刺激されて我を失っていた如月さん、著者と書名をメモすると素早い身のこなしで新古書店に駆けました。普通の書店に行かないのは心が貧しい、なんて失敬を言ってはいけません。なにせこの人、本を買うつもりすら無かったのですから。最初から「本に仕掛けがある」とわかっていれば立ち読みでも簡単に見破れるだろうと、自意識過剰な確信を抱いていたのです。
 しかし、その考えは愚かで。左右にページをめくって先頭の単語を読み比べても、自分が想像していた類のトリックでないのはすぐにわかります。そもそも、粗筋に「この文庫本で試みた驚くべき企てを、どうか未読の方には明かさないでください」とあり、ナポレオンズに教えられなくても仕掛けについて読者に知らされていたのです。かと言って、最後の方の本文からタネ明かしだけを覗くのはプライドが許せず、5分程の葛藤の後──素直に105円を支出。以上、如月さんの戦は負け戦に終わりました。
 
 仕掛けを見破るまでの所要枚数は、60ページでしたとさ。あれ、うんと、もしや…な、なるほど。
 
■10月31日 高額書籍ベスト3。
 
 今夏に新しい本棚を用意した時には「これで2〜3年は凌げる」とご満悦だったのに、調子に乗ってダンボール箱や押し入れに眠らせていた本まで並べて差し上げたせいで、早くも収納効率の改善化を求められました。隙間の開いた本棚は淋しい印象が隠せなくて、手段を選ばず埋めたくなってしまうので仕方ありません。枯れ木も山の賑わいです。
 今回は2003年7月13日分に書いた本の組み替えだけに止まらず、棚板の高さ調整まで含めた抜本的改革を行いました。その為、普段なら触れるのも憚るような大切な本も取り出してはまた片付けていたら、作業中にふと気になったんです。値段が一番高い本って、この中でどれなんだろう。
 
 そんな訳で調べました、本棚における高額書籍ベスト3。新刊で購入して実際に自分で支払ったものが対象で、中古で安値で買ったが定価高額・中古でプレミア価格で購入・頂き物や譲り受け物は除外しました。
 
 
・第1位 3444 片山右京写真集…3800円
 彼がF1ドライバーを引退した1997年の年末に発売された写真集で、題名の数字は決勝で走った総ラップ数だそうな。F1での全成績やインタビューも収録された、ファン必携の一冊です。
 
・第1位 カオスシード設定資料集 点心爛漫…3800円
 ダンジョン育成シミュレーション『仙窟活龍大戦カオスシード』の設定資料集。内容は残念ながら、雑誌からの再録が多くて価格に見合わない薄さですが、発売が危惧されていた時期にキャラクターデザイン担当の船戸明里さんが配布した宣伝バナーを自サイトに貼った者としては、思い出深い書籍と言えます。
 
・第3位 eternal SUEZEN画集…2913円
 NHKアニメ『ヤダモン』のイラストを中心に収録。このアニメを見ていないのに、友人宅で当画集を見せてもらった時に感動して、借りるだけでは物足りずに自分でも買ってしまいました。
 
 
 以下、書名だけを。
 
・第4位 LUNAR 公式設定資料集…2718円
・第5位 映画「耳をすませば」より 「バロンのくれた物語」の物語…2427円
・第5位 ソフィーの世界 哲学者からの不思議な手紙 (ヨースタイン・ゴルデル)…2427円
・第7位 極楽遊戯 ー鈴木雅久画集ー…2330円
・第8位 骨牌使いの鏡 (五代ゆう)…2300円
・第9位 だれも知らなかったアイルトン・セナ 五年目の真実 (クリストファー・ヒルトン)…2200円
・第10位 RPGカードゲームの作り方 (鈴木銀一郎)…1845円
・第10位 戦国武将ガイド (米沢二郎/小山内新)…1845円
 
 
  
■11月7日 低額書籍ベスト3。
 
 高額書籍を調べたなら逆も調べたくなるのが人の性で、新品にて購入した本の中で安い値段ベスト3を、超高性能蔵書検索エンジンを駆使して見つけ出しました。エンジンの動力は人力かつ自力です。
 
 
第1位 SNOOPYのちいさな恋ものがたり (チャールズ M. シュルツ)…194円
第1位 SNOOPYのときめき恋ものがたり (チャールズ M. シュルツ)…194円
第1位 SNOOPYのしあわせ恋ものがたり (チャールズ M. シュルツ)…194円
第1位 ファンタジーRPGバトルクイズ52 (菊池たけし&F.E.A.R)…194円
 
 
 横並びにも程がありますが、続いて惜しくもランクインを逃した者共をどうぞ。
 
第5位 ふだん使っている日本語ものしり辞典 (日本語を考える会)…200円
第5位 まぎらわしい社会常識語ものしり辞典 (日本語を考える会)…200円
第5位 道士リジィオ 虹色の封印 (冴木忍)…200円
第5位 道士リジィオ 久遠の微笑 (冴木忍)…200円
 
 消費税率が3%だった時代に税込み定価200円と言う破格値を提示した角川mini文庫が、揃いも揃って堂々の1〜8フィニッシュを果たし、ベスト3とは何ぞや。上下に分断されたのは、時世により定価が税別200円に値上げされた為。
 既に読者の記憶から忘れられているであろうこのレーベル、100円ショップや新古書店が台頭するまでは存在意義があったと思うんですけど、新刊は二度と発売されないのでしょうね。
 
■11月13日 前振りの後日談。
 
 9月24日分に書いた極めて近所が舞台の一つとなった事件は、別件で容疑者逮捕→殺害自供→近場の空き地で遺体発見の流れとなり、表面上は大方が解決。犯行自体が珍しくない類ですし、報道量も発生時から急速なフェードアウトを見せた為、既に事件を忘れ去った人が大半でしょう。自分も関心は薄かったです。
 それはそれとして、この話題の続報に当たり最重要なのは何より、前振りの後日談。毎晩通る道で感じていた普段と異なる雰囲気は日記以後も継続していたものの、容疑者逮捕の報道がされてからは一切合切消えました。うん、やっぱり、そうだったのかなーと。
 
 尚、遺体の発見現場については、報道から目を逸らしました。どうしてって、場所がわかってしまえば夜中に通るの怖いじゃありませんか。
 
■11月19日 最善を祈り最悪に備えよ。
 
 90年代後半、味覚障害を扱ったNHKのドキュメント番組で、患者が症状を自覚した瞬間について「何を食べても砂を噛むよう」と仰っていました。ふむふむ、味を感じられないと食事が凄く大変だと文字通りの意味で受け取った如月さん、実は「物事に味わいや情趣がなく、無味乾燥に感じることのたとえ」の慣用句だと知識を得たのは、割と近年のこと。幼少期に自ら本物の砂を本当に噛んだ経験のせいとは言え、勘違いにも程があります。
 文章の勘違いについて、以前から気になるのが「最善を祈り最悪に備えよ」です。聖書のような有名なテキストからの一節か外国の諺だと思っていたら、フレーズ検索では数件しか引っ掛かってくれず、この言葉の出所がどこにあるのかすら不明で、微妙に勘違いして覚えているのかもしれません。
 
 如月さんのインチキ透視術では、かのチャーリー・ブラウンが最後のコマで「最善を祈り最悪に備えよか…」と呟く光景が見えます。これが正解か不正解か、いつの日か判明するでしょうか。
 
■11月25日 虫愛ずる若君。
 
 虫や両生類や爬虫類に成人男子としては規格外の弱さを誇る如月さん、子どもたちに大人気な『ムシキング』とてグロ画像に等しいと公言する過激さです。一般的な感覚を持つ人々にも「気持ち悪い」と拒絶されるのが珍しくない生物ではありますが、如月さんの場合は「気持ち悪い」に「恐ろしい」が加算され、これはもう拷問同然。生理的嫌悪感と防衛本能のコラボレーションの強烈さに生身の人間が耐えられるはずもなく、まさにもう失神寸前。同じ出くわすなら「恐ろしい」だけで済む、幽霊や妖怪の方がマシでしょう。
 ただ、小さい頃の記憶を掘り起こしてみれば、正反対の属性を持っていたのも確か。近所の草原でバッタを採るのは好きでしたし、動物園で一番のお気に入りは様々な蛇が集合する爬虫類館。入館前には胸の高鳴りが止められず、幼稚園や小学校の遠足で行った時には感想文に詳細を記すくらいでした。
 
 少年の頃に大丈夫で青年になって苦手と化したのなら、老年になれば元に戻るかも。
 
■12月2日 Stop ticking.
 
 ふとアナログ時計に目をやってしばし見つめ合うと、秒針が止まったままの時間が長く感じられる時があります。1秒未満に限られる間が体感では3秒程に引き延ばされ、自分と時計の僅かな距離に気まずい空気まで流れます。見てはいけないものを見てしまった、見られてはならないものを見られてしまった、みたいに。
 本現象の原因は何か。視線を移すと脳の処理速度が早まり秒針が動くまでの間隔を相対的に長く感じるとか、秒針が時を刻むテンポは意外に不正確で実際に長かったとか、それっぽい説明は思い浮かびます。あと、空想癖持ちの如月さんが提唱する新説は…アナログ時計の秒針は要領の良い奴で、誰も見ていないと密かにサボっている。いつもは見られた瞬間にささっと動き出して上手く誤魔化すのだけど、たまに気付くのが遅れて「ヤベェ!」となったところを目撃したとか。
 
 如月説では動機が不純で厳罰ものですが、アイドリングストップみたく省エネに通じるのを踏まえ、黙って見逃してあげるのが人間の務めかもしれません。
 
■12月9日 匿名の情熱。
 
 自身の検索能力の欠如から、11月19日分で捜索願いを出した「最善を祈り最悪に備えよ」ですが、ありがたくもご教授頂けました。英語の諺で「Hope for the best and prepare for the worst」を訳した言い回しらしく、如月さんのインチキ透視術の信憑性も増したってなものです。
 英語由来のフレーズで、他に長年覚えているのは「匿名の情熱」です。いつの日か使いたいと胸に秘めつつ、秘められたまま一生を終えてしまいそうな情勢だったところ、ようやく日の目を見ました。出典の長尾剛『ファンタジーRPG100の常識』より引用しましょう。
 
 
 この言葉を初めて使ったのは、ルーズベルト大統領の首席補佐官だったホワイトだそうです。彼は、ルーズベルト大統領の死後、大統領の名演説と称えられた多くの原稿は実は自分の作だったと告白し、「在任中、わたしの仕事に取り組む意欲をかき立てていたのは、匿名の情熱だった」と語りました。作家の堺屋太一氏は、この「匿名の情熱」というものを「名前は残らないが組織としての実績は残る。そこに密やかな喜びを感じることである」と、説明しています。誰も知らない、大事件の真の原因、世界を動かす真の力、それらを自分だけが知っている。自分が密かに動かしている、そういう実感と喜び。これは、一般大衆はもとより、政治家など第一線の表舞台で働く人間にも、決して味わうことのできない感動だそうです。

 
 この文章からの印象では、非常に有名なように思えます。だけど、お約束のフレーズ検索だと…?
 
■12月16日 かるたクィーン完結編。
 
 己が予想に違わず、定例報告を数回で途絶えさせて行方不明になった、百人一首暗唱計画。1月15日分によれば挑戦開始は昨年12月8日だそうで、1年以上に及んだ猛勉強の成果を発表して完結となります。
 
 
陽成院「つくばねの みねよりおつる みなのがわ こいぞつもりて ふちとなりぬる」
河原左大臣「みちのくの しのぶもぢずり たれゆえに みだれそめにし われならなくに」
光孝天皇「きみがため はるののにいでて わかなつむ わがころもでに ゆきはふりつつ」
中納言行平「たちわかれ いなばのやまの みねにおうる まつとしきかば いまかえりこん」
在原業平朝臣「ちはやぶる かみよもきかず たつたがわ からくれないに みずくくるとは」
藤原敏行朝臣「すみのえの きしによるなみ よるさえや ゆめのかよいじ ひとめよくらん」
伊勢「なにわがた みじかきあしの ふしのまも あわでこのよを すぐしてよとや」
元良親王「わびぬれば いまはたおなじ なにわなる みをつくしても あわんとぞおもう」
素性法師「いまこんと いいしばかりに ながつきの ありあけのつきを まちいでつるかな」
文屋康秀「ふくからに あきのくさきの しおるれば むべやまかぜを あらしというらん」
大江千里「つきみれば ちぢにものこそ かなしけれ わがみひとつの あきにはあらねど」
菅家「このたびは ぬさもとりあえず たむけやま もみじのにしき かみのまにまに」
三条右大臣「なにしおわば おうさかやまの さねかづら ひとにしられで くるよしもがな」
貞信公「おぐらやま みねのもみじば こころあらば いまひとたびの みゆきまたなん」
 
 
 えっと、来年より「かるたクィーンへの道・2ndシーズン」が始まらざるを得ないです。
 
■12月23日 今年のM1展望。
 
 笑い飯が強引な爆発力で、フットボールアワーが完成された技術力で、ザ・プラン9が巧みな構成力で決勝進出と予想します。スミス夫人とシェイクダウンがお気に入りのコンビだった如月さん、ザ・プラン9が良い結果を残してくれると喜ばしいものの、彼らは「面白い」より「上手い」の印象が上回り、審査が客席の反応に影響され易い大会では苦戦必至でしょう。
 麒麟とチュートリアルは新機軸を打ち出す程の潜在能力があるとは思えず、無難に纏まってしまうか。POISON GIRL BANDはネタの緩さと登場順の相性が悪そう。ダークホースの変ホ長調は、ある深夜ラジオで聞いた評価を真に受ければ上位は無理。トータルテンボスは芸風が苦手なので評価不能とします。
 
 敗者復活枠の客観的な本線をNON STYLEやダイアンとすれば、個人的に推したいのは鎌鼬。昨年の今頃に推していたイシバシハザマや、先日の上方お笑い大賞新人賞選考会で上出来なコントを見せてくれた恋愛小説家が、出場者一覧にいないのは残念だけど。
 
■12月31日 次第に遅く消えるように。
 
 開始当初は3日に2回以上と快調に飛ばしていたものの、やがて掛かったリタルダンドにより2日に1回で何とか下げ止まりさせたはずの更新頻度が、遂に今年は7日に1回程度まで急落したこの日記。それでも構わず読んで下さった方に、心からの感謝を毒電波に託してお伝えしたくて仕方がありません。着信拒否せずにどうか受け取って下さい。
 
 自然な流れのまま来年、スモルツァンドはしないように努めたい。
 
 
 
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